政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は21日、調査観測計画部会を開き、大きな被害をもたらす可能性がある「主要活断層」に、関東、中国、九州の3地域で16カ所を加えることを決めた。国などによる重点調査の対象になり、地域防災に役立つことが期待される。これで全国計113カ所に増えた。

 3地域では先行して2013年から、地域ごとに地震発生の可能性を詳細に調査してきた。今後、別の地域でも実施する計画で、さらに主要活断層が増える可能性がある。

 新たな主要活断層は▽身延断層(山梨・静岡)▽大久保断層(群馬・栃木)▽鹿野−吉岡断層(鳥取)▽佐賀平野北縁断層帯(佐賀)▽緑川断層帯(熊本)−−など。中国電力島根原発(松江市)の南約2キロを東西に延びる宍道断層も加わった。

 地震本部は1995年の阪神大震災以降、マグニチュード(M)7.0以上の規模の地震を起こす恐れがある長さ20キロ以上で、活動の度合いが高い活断層を主要活断層としてきた。

 しかし、04年の新潟県中越地震(M6.8)など、主要活断層ではない断層で被害を出す地震が相次いだことを受け、それ以外の活断層も含めて調査研究を進めてきた。その結果、主要活断層の条件に満たないと考えられてきたものでも当てはまるものが出てきた。

 文部科学省地震・防災研究課の和田弘人(こうじん)地震調査研究企画官は「地域の活断層について一般の認知度が上がることも期待される」と話した。

 ◇【新たに主要活断層に決まった断層】

大久保断層(群馬、栃木県)

身延断層(山梨、静岡県)

宍道断層(島根県)

鹿野−吉岡断層(鳥取県)

弥栄断層(島根県)

小郡断層(山口県)

長者ケ原−芳井断層(岡山、広島県)

地福断層(山口県)

大原湖断層(島根、山口県)

筒賀断層(広島県)

福智山断層帯(福岡県)

佐賀平野北縁断層帯(佐賀県)

緑川断層帯(熊本県)

甑断層帯・甑区間(鹿児島県)

日向峠−小笠木峠断層(福岡、佐賀県)

宇美断層(福岡県)