震源はイラン国境に近いイラク北部クルド自治区で、地元メディアによると、家屋倒壊などのため、イランで少なくとも30人が死亡。イラクではクルド自治区とディヤラ県で少なくとも7人が死亡したという。割れたガラスでけがをするなど両国で数百人が負傷しており、死傷者は増える恐れがある。

 国営イラン通信によると、イラン国内では8つの町で電気の切断などの被害も出ている。脆弱(ぜいじゃく)な土レンガ造りの家屋が多く、被害の拡大が懸念されている。

これも関係あるの

今月14日、いよいよ「エクストリーム・スーパームーン」がやってくる。スーパームーンとは、地球を中心として楕円軌道上を周る月が、満月か新月のタイミングで地球に最接近することで通常よりも大きく見える現象だ。さらに、月が地球に最接近してから1時間以内に満月または新月を迎えた時、スーパームーンよりもさらに大きく見える現象、それをエクストリーム・スーパームーンと呼ぶ。そして今回は、実に68年ぶりに月が地球に大接近する“超”エクストリーム・スーパームーンとなるため、特別に話題となっているのだ。

 当日は月が異常に大きく見えるということだが、トカナ的には別視点からも注目しなければならない。それは「地震」との関係だ。というのも、エクストリーム・スーパームーンの前後には巨大地震が起きやすいという説が囁かれているのだ。今回は、その真偽を探ってみることにしたい。


■月の引力と地震発生には明らかに関係がある!

 これまで、月の位相(満月・新月など)と地震発生との相関を主張する学説は科学者たちから頭ごなしに否定されがちだった。しかし、現在の状況は変わりつつある。エクストリーム・スーパームーンと地震との関係について、『Newsweek』誌(日本版)が取り上げるなど、決してオカルト話では済まされない現実味のある話として認知されているのだ。

 過去の記事でも紹介しているが、東大の井出哲(さとし)教授らの研究グループが今年9月に英科学誌『ネイチャー・ジオサイエンス』に、月と地震の関係についての論文を発表した。それによると、1万件以上の地震データを検証した結果、M8.2以上の巨大地震12例のうち9例で、地球潮汐が最大となる「大潮」の日に起きていることが判明したという。大潮とは潮の干満の差が大きい状態のことだが、これは通常1カ月に2回、満月と新月のタイミングで発生する。

 東大の研究によれば、月の引力が特に強くなる大潮の時期には、潮汐によって海底地殻プレートに多大な力がかかり、そこに太陽や月の引力が加わることによって大地震が起こりやすくなるのではないかという。

 また、2年前の記事でも紹介したが、2012年12月には防災科学技術研究所(NIED)の田中佐千子研究員が、「東日本大震災は月や太陽による引力が『トリガー』となった可能性が高い」ことを示唆した研究も発表されている。前例多数、やはり14日は危ない!

 では、今月14日のエクストリーム・スーパームーンの時には、特に大地震が起こる危険性が高まるのだろうか? もちろん、月が地球に最接近して引力が特に強くなるということなので、その可能性はありそうだ。

 実は、2014年8月11日のエクストリーム・スーパームーンの前日には、青森県東方沖でM6.1の大きな地震が起きている。そこで今回、大地震との関係をより深く検証するためにも、過去のエクストリーム・スーパームーンの前後、あるいは満月・新月の頃にM6以上の大地震、特にM8以上の巨大地震が起きた例について筆者は独自に調べることにした。その結果を以下に示す。行頭の【エ】はエクストリーム・スーパームーン、【ス】はスーパームーン、【満】は満月、【新】は新月を示す。


・ 【新】1854/12/23 → (翌日)12/24 安政南海地震(M8.4)
・ 【新】1946/12/19 → (2日後)12/21 昭和南海地震(M8.0)
・ 【エ】1948/01/26 → (前日)1/25 フィリピン、パナイ島(M8.2)
・ 【新】1960/05/23 → (前日)5/22 チリ地震(M9.5)
・ 【新】1994/10/05 → (翌日)10/5 北海道東方沖地震(M8.2)
・ 【満】1995/01/17 → (当日)1/17 阪神・淡路大震災(M7.3)
・ 【新】2003/09/26 → (当日)9/26 十勝沖地震(M8.0)
・ 【ス】2005/01/10 → (2週間前)2004/12/26 スマトラ島沖地震(M9.3)
・ 【ス】2010/02/28 → (1日前)2/27 チリ・マウレ地震(M8.8)
・ 【ス】2011/02/18 → (4日後)2/22 ニュージーランド、カンタベリー地震(M6.1)
・ 【エ】2011/03/19 → (8日前)3/11 東日本大震災(M9.0)、(7日前)3/12 長野県北部(M6.7)、(同)3/15 静岡県東部M6.4、(5日後)3/24 ミャンマー(M6.8)
・ 【エ】2014/08/11 → (8日前)8/3 中国雲南省(M6.5)、(前日)8/10 青森県東方沖(M6.1)
・ 【ス】2015/07/31 → (3日前)7/28 ニューギニア(M7.0)


 このように、(エクストリーム)スーパームーンの前後に巨大地震が起きている例は少なくないのだ。このリストには、新月・満月の時にM8.0以上の巨大地震が起きた例も加えてあるが、すべてが偶然だと考えるのは無理があるだろう。また、特筆すべき点を一点加えるならば、(エクストリーム)スーパームーンの1週間前の下弦および2週間前の新月の前後にも、大きな地震が起きているようだ。

 では、今月14日の2週間前を考えてみよう。10月31日、新月だった。そのタイミングで大きな地震が起きていたかというと、前日の10月30日にイタリア中部でM6.6の地震が起きているではないか。やはり、68年ぶりに月の引力が特別に強くなるという14日前後は、大きな地震に十分警戒しておくに越したことはないだろう。