「音みる(音のみるふぃ~ゆ)」ブログ...♪

100名を超える音楽教室「音のみるふぃ~ゆ」のレッスンノート。また3人娘の子育て日記。

音の色

2024年02月05日 | 日記
銀座の街をぶらぶらと歩きながら、約束の時間に楽器店にたどり着く。

平日の夕方だ。
黒くて艶やかなピアノたちが並ぶフロアに、他にお客様はいない。

閑散としてはいるが、堂々たるその沢山のピアノに圧倒されて、所有する楽器がまた増えることにちょっと緊張、そして困惑しながらも
(いろいろ決意はしてみたものの、その大きさと値段に、やっぱり気押されてしまう。)
なじみの担当者さんを探す。

今後、新しくなる教室に置くピアノについての話を進めていた、しばらくは静かだったが、突然、ピアノの音がした。
エリーゼのためにだ。
指弾してる方がいるようだ。

担当の方が私にカタログを持ってこようと席を外したその間だったので、しばし想像した。
背の高いピアノのせいで、弾いてる方のお顔が見えないのだ。
どんな方が弾いてるのかな?

ゆっくりだけど、丁寧に一音一音を置いていく。
まだ、曲をさらい始めて間もない感じ。
家の外で弾いてるせいだろうか、緊張している少し硬い音。

音は、色に例えるならば「濃紺」かな。

まだ自信がない感じだけど、チラチラと見え隠れする、音へのこだわりもわかった。

音の強さから、大人ではないなと思う。
何度も、同じテーマの部分だけを繰り返す。
フロアは静かなのに、ほとんど話し声が聞こえてこない。

間をおいて何度か繰り返されたその折に、
担当者さんは戻ってきたので、
私も立ち上がって、チラリとそちらを見た。

5年生位の男の子。
メガネをかけている。
姿勢を正して座り、
神妙な面持ちで鍵盤に向かっている。

私の予想通りの男の子だなと思って、
その的中さに、驚いてしまった。

28年間、ほぼ毎日いろんな生徒さんのピアノの音を聞き続けている間に
それぞれの性格までもがわかるようになり、
何かに一生懸命向かわせるにはどうすれば?そして、どうやって短い子どもの間の時間に、多くのことを吸収させてあげられるか
その子自身のピアノのお稽古、成果の着地はどうすれば納得なのか、、

そこまで、その子の音で、読めるようになってしまっていた。

音楽が好きで、ピアノの音にしか興味がなくて、先生として自分の演奏テクニックを上げるための練習をしなくては…と考えるよりも、
今いる生徒さんがどんな気持ちで、ここに来て、どんなふうに音を奏でてくれるかということに、いつからか、重きを置くようになった。

また新しいピアノが欲しいのは、弦がきちんと床と平行に並んでいるグランドピアノで、今まだ小さくて、お母さんと一緒にレッスンを受けている生徒さん、数年後、1人ずつが奏でる音がどんななのか知りたいのだ。

だから、ここに来たんじゃないか。
と、考えたら、腑に落ちてしまった。

会場を同じ場所で継続すると決めた時もそう。
結局、バチっと頭の中にイメージが湧いたのだから、
もうそれでやるに充分の理由なのだ、と。

結局、私は新品のピアノをお願いすることにした。

あの子があそこで弾いてくれなかったら??
まだ、私は迷っていたかもしれないな、
と思いながら、帰路に着いたのでした。















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