個別開花
「世界に一つだけの花」は解散してしまったSMAPの楽曲で、槇原敬之氏により作詞作曲された作品だ。
2003年に発売されたシングルは、オリコン週間シングルランキングで第1位を獲得した。
「No.1 にならなくてもいい」
「もともと特別な only one」
のフレーズが多くの人の心をノックした。
もっとも人間はもともとonly one であるが、ある時期からいろいろなレッテルを貼られてある一群にはめ込まれる。
が、いずれ元に戻ってくる。
多くの人にとってそれは定年退職という形でやってくる。
先ずは解放感。
その次は何をやるか、と気持ちは移る。
ここが人生で大事だという認識はある。
だから、
「俺はこれをやりたい」
と決めた人の前途は明るい。
目標を決めた人は強いからだ。
社会人経験もある。
家も貯金も資産もある。
あるあるだらけの中、ゆとりもあるから条件的には非常に有利だ。
そのうちの何割かが起業を実行する。
全員が最初から成功する訳ではないが、お金を注ぎ込まなければ再挑戦は容易い。
加えて今までの経験を活かせれば、つなぎ目のショックは最小限で済む。
ゴルフや釣りなどの趣味も楽しむから、年金副業組はイキイキしている。
手慣れた仕事をマイペースで行えば冴えが出る。
仕事時間は減るが手は抜かないという具合だ。
こうなれば一種のマイスターで、これからの人生を模索する人のお手本になるだろう。
充実した人生を送りたい。
自分の人生に納得したい。
などは人間の根源的な欲求だから、それぞれの目標に向かって歩む姿は美しいし、そうなりたいと思う人が増えるだろう。
その意味ではSOHO社長も同じである。
一方でお金に不自由せず、趣味に没頭するのも悪くはない。
この中に心躍る瞬間を見つけられれば幸せだ。
しかし「楽しいからやっている」レベルでは、特別なものは得られないだろう。
「人生の充実とは意味ある事に向けて格闘している時に訪れる」
という意味のことを、第二次世界大戦でホロコーストを経験したヴィクトール・フランクルが言っている。
私はこの言葉に触れたとき、三鷹のSOHOと年金副業組の顔を思い出していた。
Only one の花を咲かせる人々のことである。
コーチングの世界では、このような状態を個別開花という。
それへの努力は実に有意義なものだ。
そして同時にそれは格闘でもある。
とすれば自分に合った目標を持ち、実行し、結果としてある程度の経済力を保持する。
それへの人生デザイン力と試行錯誤はこれから生きる人のための重要事項だと思われる。
決して与えられる種のモノではない。
だからそれまでに「俺はこれをやりたい」を持とう。
並行して、ここら辺にポストモダンへの回答~生きるに値する人生~の意味成分が多く含まれていると思われる。
そして「もともと特別な only one」への入り口とは虹のかなただけにあるのではなく、実は身近にもあるというのが私の見立てだ。