イギリスのマスメディアというのは、日本人記者にはないウィットとユーモアセンスを持っている。正直、羨ましい。何歩も先を行かれている感じがする。日本というのは、政治的成熟が全然足りない。討論や議論という面においても、未だ足元にも及ばないだろう。
女王陛下、それは良いご質問です なぜ誰も金融危機に気づかなかったのか――フィナンシャル・タイムズフィナンシャル・タイムズ - goo ニュース
それにしても、この記事は秀逸だ。
今回の金融危機の間抜けぶりを一言で表せばこうなる、というのが、まさに「女王陛下のご質問」だ。
※※ そんなに「おおごと」なのに、「なぜ誰も金融危機に気づかなかったのか?」
いやはや、人間の考えるようなことというのは、得てしてこんな有様でして。
これも一つの勉強というやつです。
LSEの教授をもってしても、愚か者ばかりであった理由を発見することは難しいかもしれない。
以下に記事の一部引用。
=====
またデリバティブの実際の価値がどれくらいなのかも、誰もよく分かっていなかったのです。イラク戦争の比喩をさらに使い続けますなら、賢明なエコノミストたちは(ラムズフェルド前米国防長官が言うところの)「知らないと知られている、知らないもの(known unknown)」としてデリバティブを扱いました。賢明なエコノミストたちは、自分たちがデリバティブについて実はよく分かっていないということを、自覚していたのです。
しかし、分かっていなくてはならなかった政治家や規制当局者たちはどうやら、分かろうとしていなかったか、あるいは分かろうとする姿勢が不足していました。なので彼ら政治家や規制当局の担当者たちは今になって、デリバティブの問題は「そもそも存在すら知られていなかった、知らないもの(unknown unknown)」だったという、フリをしております。つまり、連中の言うことを信じてはなりません。
そんないい加減なことで、どうして政治家や規制当局者はやっていられたのか? ひとつには、いつも都合よく「心配ありません。大丈夫です」と言ってくれる御用学者ならぬ御用エコノミストが常に都合よくそばにいたからです。エコノミストたるもの本来は(社会科学の分野における)科学者であるべき存在です。なのにそうやって科学者たるべき者を、宮廷お抱えの魔術師のように扱いはじめると、危険なことになって参ります。つまり、彼らの言葉の中から自分に都合のいいことばかり選り好みして聞いているのは、危ないということです。
=====
どうです?
アランは中々ツボを心得ていらっしゃる。
「御用学者ならぬ御用エコノミストが都合よくそばにいる」
「科学者たるべき者を、宮廷のお抱え魔術師のように扱いはじめると、危険なことになる」
まさしくその通りなのですよ。
で、極めつけは「unknown unknown」。うまいこと言うってやつですな。
引用部以外にも、『人当たりのいい口達者な男』とか、『巨大な拳と剛腕を誇るあの男、つかみあいの内部闘争にかけては天賦の才能に恵まれた、あのむっつり不機嫌なスコットランド男』とか、読みながら思わず笑いで吹き出してしまう部分が盛りだくさんです。
歴史のある英国ならでは、ということでいえば、次の部分も素晴らしい。
『どこかで似たようなことをお聞きになった覚えが、陛下にもおありでは? ウィンザー城とか火事とか、そのようなことで?』
『それに歴史を振り返りましても、権力者が国民への責任を負わないまま巨額の借金を積み上げた挙げ句、最後には首を切られるという事例は過去に数多あります。』
『せめて今回のこれは、ピューリタン革命のような内戦などなくして、なんとか切り抜けたいものでございますね、陛下。』
記事を書いたアランは、本当に才能があるね。洒落てる。
思わず笑ってしまうように書かれているのですから。
ところで、日本人の私にはちょっとよく判らないが、多分、「東京モンには負けへんで」というライバル心むき出しの大阪人とか、「東京に”下る”予定」とかのような「東の方の方々はがさつな成り上がりのおヒトが多くて…」みたいにニッポンの都(中心地)を自認する京都の人といった違いに似てるのが、大英帝国なのかな、と。
で、英国に是非実現して欲しいことが一つだけあるのですよ。
それは、サッカー代表チームを、「UK統一チーム」のひとつだけにして試合に出てもらいたい、というもの。
イングランド代表、スコットランド代表、ウェールズ代表、みたいに分かれているのを、喧嘩しないで一つの代表チームにして出場して欲しいんです。もしやったら、内戦が勃発してしまいますか?(笑)万が一にも、負け試合だったりしようものなら、違う地域のサポーターからリンチに遭ってしまいますか?
そこまで仲が悪いとは思わないんですが、「スコットランド人とイングランド人を一緒になんかするな」みたいに現地の人たちは思っているのかなあ、と考えてしまうわけですよ。いつだったか、DVDで観た『ナルニア国物語』なんかも、スコットランド神話っぽい作りなのかな、と思ったんですよね。兄弟姉妹が東西南北を治める王につくのですが、一番偉いのが北の王だったから。
まあウェールズには「アーサー王」伝説があったりするから、スコットランド人としても黙ってられませんぜ、みたいに考えたとしても不思議ではないかも。ロビン・フッドの物語がイングランドかどうかは知りませんが、弓兵が特徴的と言えばやはりイングランド軍でありましょう。すると、スコットランドには英雄がいないということになってしまい、寂しいでしょう?負けたみたいで悔しいでしょう?
そういう「心のスキマ」を埋めるには、やはりヒーローが必要なんですよ。ファンタジー世界でなら誕生させられますからね。
そういうわけで、サッカーの統一チームをお願いしたいな、と(笑)。
女王陛下、それは良いご質問です なぜ誰も金融危機に気づかなかったのか――フィナンシャル・タイムズフィナンシャル・タイムズ - goo ニュース
それにしても、この記事は秀逸だ。
今回の金融危機の間抜けぶりを一言で表せばこうなる、というのが、まさに「女王陛下のご質問」だ。
※※ そんなに「おおごと」なのに、「なぜ誰も金融危機に気づかなかったのか?」
いやはや、人間の考えるようなことというのは、得てしてこんな有様でして。
これも一つの勉強というやつです。
LSEの教授をもってしても、愚か者ばかりであった理由を発見することは難しいかもしれない。
以下に記事の一部引用。
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またデリバティブの実際の価値がどれくらいなのかも、誰もよく分かっていなかったのです。イラク戦争の比喩をさらに使い続けますなら、賢明なエコノミストたちは(ラムズフェルド前米国防長官が言うところの)「知らないと知られている、知らないもの(known unknown)」としてデリバティブを扱いました。賢明なエコノミストたちは、自分たちがデリバティブについて実はよく分かっていないということを、自覚していたのです。
しかし、分かっていなくてはならなかった政治家や規制当局者たちはどうやら、分かろうとしていなかったか、あるいは分かろうとする姿勢が不足していました。なので彼ら政治家や規制当局の担当者たちは今になって、デリバティブの問題は「そもそも存在すら知られていなかった、知らないもの(unknown unknown)」だったという、フリをしております。つまり、連中の言うことを信じてはなりません。
そんないい加減なことで、どうして政治家や規制当局者はやっていられたのか? ひとつには、いつも都合よく「心配ありません。大丈夫です」と言ってくれる御用学者ならぬ御用エコノミストが常に都合よくそばにいたからです。エコノミストたるもの本来は(社会科学の分野における)科学者であるべき存在です。なのにそうやって科学者たるべき者を、宮廷お抱えの魔術師のように扱いはじめると、危険なことになって参ります。つまり、彼らの言葉の中から自分に都合のいいことばかり選り好みして聞いているのは、危ないということです。
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どうです?
アランは中々ツボを心得ていらっしゃる。
「御用学者ならぬ御用エコノミストが都合よくそばにいる」
「科学者たるべき者を、宮廷のお抱え魔術師のように扱いはじめると、危険なことになる」
まさしくその通りなのですよ。
で、極めつけは「unknown unknown」。うまいこと言うってやつですな。
引用部以外にも、『人当たりのいい口達者な男』とか、『巨大な拳と剛腕を誇るあの男、つかみあいの内部闘争にかけては天賦の才能に恵まれた、あのむっつり不機嫌なスコットランド男』とか、読みながら思わず笑いで吹き出してしまう部分が盛りだくさんです。
歴史のある英国ならでは、ということでいえば、次の部分も素晴らしい。
『どこかで似たようなことをお聞きになった覚えが、陛下にもおありでは? ウィンザー城とか火事とか、そのようなことで?』
『それに歴史を振り返りましても、権力者が国民への責任を負わないまま巨額の借金を積み上げた挙げ句、最後には首を切られるという事例は過去に数多あります。』
『せめて今回のこれは、ピューリタン革命のような内戦などなくして、なんとか切り抜けたいものでございますね、陛下。』
記事を書いたアランは、本当に才能があるね。洒落てる。
思わず笑ってしまうように書かれているのですから。
ところで、日本人の私にはちょっとよく判らないが、多分、「東京モンには負けへんで」というライバル心むき出しの大阪人とか、「東京に”下る”予定」とかのような「東の方の方々はがさつな成り上がりのおヒトが多くて…」みたいにニッポンの都(中心地)を自認する京都の人といった違いに似てるのが、大英帝国なのかな、と。
で、英国に是非実現して欲しいことが一つだけあるのですよ。
それは、サッカー代表チームを、「UK統一チーム」のひとつだけにして試合に出てもらいたい、というもの。
イングランド代表、スコットランド代表、ウェールズ代表、みたいに分かれているのを、喧嘩しないで一つの代表チームにして出場して欲しいんです。もしやったら、内戦が勃発してしまいますか?(笑)万が一にも、負け試合だったりしようものなら、違う地域のサポーターからリンチに遭ってしまいますか?
そこまで仲が悪いとは思わないんですが、「スコットランド人とイングランド人を一緒になんかするな」みたいに現地の人たちは思っているのかなあ、と考えてしまうわけですよ。いつだったか、DVDで観た『ナルニア国物語』なんかも、スコットランド神話っぽい作りなのかな、と思ったんですよね。兄弟姉妹が東西南北を治める王につくのですが、一番偉いのが北の王だったから。
まあウェールズには「アーサー王」伝説があったりするから、スコットランド人としても黙ってられませんぜ、みたいに考えたとしても不思議ではないかも。ロビン・フッドの物語がイングランドかどうかは知りませんが、弓兵が特徴的と言えばやはりイングランド軍でありましょう。すると、スコットランドには英雄がいないということになってしまい、寂しいでしょう?負けたみたいで悔しいでしょう?
そういう「心のスキマ」を埋めるには、やはりヒーローが必要なんですよ。ファンタジー世界でなら誕生させられますからね。
そういうわけで、サッカーの統一チームをお願いしたいな、と(笑)。