西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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間違い

2010年05月30日 | 海外のG.サンド研究

サンド学会の会員の方々へ

昨日の早稲田大学における総会およびサンド研究会、大変、お疲れ様でした。年に何度もお会いできる訳ではありませんので、久しぶりにお互いに元気な姿を確認しあえたことは、なによりもうれしいことでした。また、出版企画について今後の明確な予定を具体化できたことは、大きな収穫でした。バル研の水準の高い「風景」に関するシンポジウム、サンド研究会のドラクロワとサンドに関する充実した内容の発表、いずれも会員の方々は研究意欲を大いに刺激されたことと思います。今回、ご都合が悪かった方もおられますが、次回の秋学会(南山大)でお目もじ叶うことを楽しみに致しております。


フランスのサンド学会からニュースレターが会員に送られてきたところですが、それによると、昨今ショパンとサンドに関して出版された書や映画などに一つや二つではない誤った事実がみられるということです。

1. 最も問題となった書は 、Eve Ruggieri 著の "L'impossible amour" (Laffon)
本書の中で、著者は1994年に出版した "Chopin-Itinéraire sentimental " で犯した同じ誤りを繰り返しているうえに、日本でも翻訳本の売れ行きがよかった Sylvie Delaigue-Moins の "Sept étés à Nohant"(邦訳『ジョルジュ・サンド 木靴をはいて月をとろうした夢想者』)から、堂々と盗作している箇所があるとのこと。

フランス・サンド学会の会長は、出版社を通じて著者宛に抗議の手紙を送られたそうです。

2. 2月9日のFigaroの俳優デパルデユーへのインタビューで、彼が語ったことに関する誤謬 

3. Gallimard 出版社へ 『Pasteurの伝記』の中で
著者のJanine Trotereau(2008)は、ジュール・サンドーがサンドの夫であると書いている(p302)

4. F3 のテレビ映画「ジョルジュとファンシェット」
女優のAriane Ascaride の演技、ノアンの雰囲気や住民たちの間の緊張関係の描写には素晴らしいものがあったものの、
サンドの作家生活に関し、脚本にいくつもの時代錯誤や事実の混同がみられたたことは非常に残念であった。

確かに、テレビ番組などの制作者はサンド研究者ではないし時間にも追われるので、思い込みや予想で制作してしまうことが多いということなのでしょう。後の祭りですが、F3の番組制作者はサンド学会に問い合わせるなど手を尽くすことができたのではないかと思われます。

画像は「グランマ・モーゼス」の作品です。


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