西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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色彩語:黒と白

2010年10月18日 | 授業・講義・その他
日本フランス語学会第267回例会のお知らせ


日時: 10月23日(土) 15:00-18:00
会場:慶應義塾大学 (三田キャンパス) 西校舎 525-B 教室

発表者:

(1) 新谷 真由 (筑波大学 / カーン・バスノルマンディー大学大学院博士課程)

「色彩語にみる多義性: 黒と白を中心に」
本研究の目的は,仏語の色彩語であるnoirとblancに見られる多義性について考察を行うことである。色彩を扱う先行研究として,Berlin & Kay (1969),Kay & McDaniel (1978), Wierzbicka (1990) を参照したのち,noirとblancの概念化の過程を考察するが,本研究では身体性から立ち現れる意味と西洋文化に独自に根付く意味の両方の側面から,これらの色彩語が抱える多義性について分析を行いたい。本研究で明らかにしたいことは,我々を取り巻く環境がどのように我々の色彩語の概念化過程に影響を及ぼしているかを探ることである。ここで問題にする「環境」とは物理的・生物的環境だけではなく,社会的・文化的環境も含む,広義の「環境」のことである。そのような環境との相互作用的経験というダイナミズムが,どのように人間の意味づけ行為と言語活動を動機づけているのか明らかにしたい。

(2) 三藤 博 (大阪大学)

「『事実を表す si』 (si factuel) 再考 - 条件文の日仏語対照研究の観点から -」
フランス語のいわゆる「事実を表すsi (si factuel)」に関しては、そのさまざまなパターンを下位分類したStage (1991)、si factuelの前件の機能はテーマ(話題)の提供にあると明快に規定した石野 (1993)、基本的に条件文のカテゴリーの中でとらえて分析した林 (2001)などの先行研究がある。本発表では、現代日本語の条件文の研究として現在最も包括的なものである有田 (2007)における日本語条件文のカテゴリー区分、とりわけ予測的条件文と認識的条件文の区分を念頭に置きつつ、フランス語の si facuel を対応する日本語条件文と対照させ、「条件文」というカテゴリーにおける両者の位置づけについて考察する。その対照を踏まえて、さらには Dancygier and Sweetser (2005)を初めとするこの両著者の一連の条件文研究とも関連させつつ、本発表はフランス語の si factual をあくまでも条件文の一種として分析した林 (2001)の方向性が有力なものであることを再検証し、可能な限りその方向性を擁護する。しかし、日本語条件文との対照からもその限界が浮かび上がってこざるを得ないことも同時に指摘して、この問題点をどのように解決すべきかについて、日仏語条件文を対照した結果を踏まえて考察する。


司会: 酒井 智宏 (慶應義塾大学非常勤)

*三田キャンパス案内(西校舎は「キャンパスマップ」【12】)
 http://www.keio.ac.jp/ja/access/mita.html
*日本フランス語学会事務局
 〒560-0043
 大阪府豊中市待兼山町1-8
 大阪大学言語文化研究科内
 belf-bureau@lang.osaka-u.ac.jp
*学会ホームページ
 http://www.sjlf.org/
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