内容紹介
文学史を裏事情からよみとく
名作誕生の裏には出版人あり
名作誕生の裏には編集者・出版者・書店あり。手練手管、権謀術策、偶然と必然──作家たちとわたりあった6人の出版人の奮闘物語。
「ひとりの作家、ひとりの文学者は、たいていの場合、男とは言えないね。そいつは金を払って手に入れる女で、他の男にもいつでも身を任せるってことを肝に銘じておかなければならん。つまり娼婦だよ。」
——ガストン・ガリマール(書店主、1881-1975年)
「〔…〕出版者たちが作家たち以上に時代と格闘していたのは確かである。彼らは刻々と変化してするりと指先を逃れ去っていく「いま」を掴まえ続けなければならない。自分の読者は五十年後に現れるだろう、などとうそぶくのは作家の勝手だが、書店のほうは半世紀も在庫を抱えているわけにはいかないのだ。」――「プロローグ」より
名作誕生の裏に編集者・出版者・書店あり
19世紀フランスには多くの優れた小説・詩が生まれ、200年近く経った現在でも世界中で読み継がれている。これらの作品が世に出るためには、当然ながら、企画を立て、原稿を受け取り、編集・印刷して書店に並べる編集者・出版者がいた。作品の受容を通じた作家同士の影響関係や、文学潮流の形成も、彼らの存在なしにはありえなかったであろう。それにもかかわらず、今日、文学史が語られる際に、こうした出版人の存在はせいぜい時代背景として説明される程度である。
本書は、書簡や史料から史実を丁寧に拾い上げ、これまで脇役とされてきた当時の出版人たちに光をあてる。登場するのは、エッツェル、ラクロワ、シャルパンティエ、フラマリオン、ルメール、ヴァニエなど。対する作家・詩人は、ユゴー、フロベール、ヴェルヌ、ゾラ、ボードレール、マラルメ、ヴェルレーヌ……。
書名はガリマール社の創設者ガストン・ガリマールの「著者というのは、すきあらばいつでも他の男に身をまかせる娼婦のようなもの」という言葉から。権謀術策、手練手管、偶然と必然、さまざまな要素がからみあって「名作」や「大作家」が生まれる過程をたっぷりと堪能できる1冊。
[目次]
プロローグ
第1章 エッツェル書店とラクロワ・ヴェルブックホーヴェン書店
——ユゴー、フロベール、ボードレール
I『レ・ミゼラブル』争奪戦
『レ・ミゼラブル』の完成まで/ダークホースの登場/
ブヴロン遠征譚/エッツェルとラクロワ――確執から接近へ/
「世紀の契約」は不当だった?
II 国際書店をめぐる作家たち
『レ・ミゼラブル』に見る十九世紀出版事情/
「世界一短い手紙」――小咄から出た史実/フロベールの「売名」/
プーレ=マラシとエッツェルの間で/ボードレールと三人の出版者/
……そして、ゾラ
第2章 マルポン・フラマリオン書店とシャルパンティエ書店
——ゾラ
I エミール・ゾラの修業時代
重なり合いとすれ違い/エッツェルからラクロワへ/
ラクロワによるゾラ/共犯関係/〈ルーゴン=マッカール叢書〉の誕生/
ラクロワ・ヴェルブックホーヴェン書店の最期
II 国際書店の遺産相続人たち
――エルネスト・フラマリオンとジョルジュ・シャルパンティエ
兄弟たち/営業出身の叩き上げ/はじめの一歩/書店から出版へ/
ゾラの「移籍」/ 『居酒屋』から『みんなの天文学』へ/文学の外へ
第3章 ルメール書店
——「パルナシアン」たち
「ノルマンディの出版者」/パサージュ・ショワズール/詩人の暗黒時代/
『現代パルナス』/「パルナシアン」の誕生/自費出版という装置/書店の飛躍/
「パルナシアン」の栄光/ブールジェとの訴訟/アナトール・フランスとの因縁/
終焉
第4章 ヴァニエ書店
——ヴェルレーヌ
「ヴェルレーヌを殺した男」/「軍隊もの」からの出発/追放と流謫/
「左岸のルメール」/ビブリオポール・ヴァニエ/
「ヴァニエ=象徴派」対「ルメール=パルナシアン」/マラルメの不興/
ヴェルレーヌの晩年/『罵言集』/ヴァニエの死―未亡人と回転式拳銃(リヴォルヴァー)
エピローグ ——十九世紀から二十世紀へ
関連年表
単行本: 280ページ
出版社: 白水社 (2016/10/15)
言語: 日本語
ISBN-10: 4560095159
ISBN-13: 978-4560095157
発売日: 2016/10/15
文学史を裏事情からよみとく
名作誕生の裏には出版人あり
名作誕生の裏には編集者・出版者・書店あり。手練手管、権謀術策、偶然と必然──作家たちとわたりあった6人の出版人の奮闘物語。
「ひとりの作家、ひとりの文学者は、たいていの場合、男とは言えないね。そいつは金を払って手に入れる女で、他の男にもいつでも身を任せるってことを肝に銘じておかなければならん。つまり娼婦だよ。」
——ガストン・ガリマール(書店主、1881-1975年)
「〔…〕出版者たちが作家たち以上に時代と格闘していたのは確かである。彼らは刻々と変化してするりと指先を逃れ去っていく「いま」を掴まえ続けなければならない。自分の読者は五十年後に現れるだろう、などとうそぶくのは作家の勝手だが、書店のほうは半世紀も在庫を抱えているわけにはいかないのだ。」――「プロローグ」より
名作誕生の裏に編集者・出版者・書店あり
19世紀フランスには多くの優れた小説・詩が生まれ、200年近く経った現在でも世界中で読み継がれている。これらの作品が世に出るためには、当然ながら、企画を立て、原稿を受け取り、編集・印刷して書店に並べる編集者・出版者がいた。作品の受容を通じた作家同士の影響関係や、文学潮流の形成も、彼らの存在なしにはありえなかったであろう。それにもかかわらず、今日、文学史が語られる際に、こうした出版人の存在はせいぜい時代背景として説明される程度である。
本書は、書簡や史料から史実を丁寧に拾い上げ、これまで脇役とされてきた当時の出版人たちに光をあてる。登場するのは、エッツェル、ラクロワ、シャルパンティエ、フラマリオン、ルメール、ヴァニエなど。対する作家・詩人は、ユゴー、フロベール、ヴェルヌ、ゾラ、ボードレール、マラルメ、ヴェルレーヌ……。
書名はガリマール社の創設者ガストン・ガリマールの「著者というのは、すきあらばいつでも他の男に身をまかせる娼婦のようなもの」という言葉から。権謀術策、手練手管、偶然と必然、さまざまな要素がからみあって「名作」や「大作家」が生まれる過程をたっぷりと堪能できる1冊。
[目次]
プロローグ
第1章 エッツェル書店とラクロワ・ヴェルブックホーヴェン書店
——ユゴー、フロベール、ボードレール
I『レ・ミゼラブル』争奪戦
『レ・ミゼラブル』の完成まで/ダークホースの登場/
ブヴロン遠征譚/エッツェルとラクロワ――確執から接近へ/
「世紀の契約」は不当だった?
II 国際書店をめぐる作家たち
『レ・ミゼラブル』に見る十九世紀出版事情/
「世界一短い手紙」――小咄から出た史実/フロベールの「売名」/
プーレ=マラシとエッツェルの間で/ボードレールと三人の出版者/
……そして、ゾラ
第2章 マルポン・フラマリオン書店とシャルパンティエ書店
——ゾラ
I エミール・ゾラの修業時代
重なり合いとすれ違い/エッツェルからラクロワへ/
ラクロワによるゾラ/共犯関係/〈ルーゴン=マッカール叢書〉の誕生/
ラクロワ・ヴェルブックホーヴェン書店の最期
II 国際書店の遺産相続人たち
――エルネスト・フラマリオンとジョルジュ・シャルパンティエ
兄弟たち/営業出身の叩き上げ/はじめの一歩/書店から出版へ/
ゾラの「移籍」/ 『居酒屋』から『みんなの天文学』へ/文学の外へ
第3章 ルメール書店
——「パルナシアン」たち
「ノルマンディの出版者」/パサージュ・ショワズール/詩人の暗黒時代/
『現代パルナス』/「パルナシアン」の誕生/自費出版という装置/書店の飛躍/
「パルナシアン」の栄光/ブールジェとの訴訟/アナトール・フランスとの因縁/
終焉
第4章 ヴァニエ書店
——ヴェルレーヌ
「ヴェルレーヌを殺した男」/「軍隊もの」からの出発/追放と流謫/
「左岸のルメール」/ビブリオポール・ヴァニエ/
「ヴァニエ=象徴派」対「ルメール=パルナシアン」/マラルメの不興/
ヴェルレーヌの晩年/『罵言集』/ヴァニエの死―未亡人と回転式拳銃(リヴォルヴァー)
エピローグ ——十九世紀から二十世紀へ
関連年表
単行本: 280ページ
出版社: 白水社 (2016/10/15)
言語: 日本語
ISBN-10: 4560095159
ISBN-13: 978-4560095157
発売日: 2016/10/15