西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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メルロ=ポンティとヴァレリーに関する研究集会

2019年03月23日 | 手帳・覚え書き
2019/03/07
メルロ=ポンティとヴァレリーに関する研究集会のお知らせ(東京大学)
Tweet ThisSend to Facebook | by 広報委員会
2019年3月27日(水)14時より、東京大学本郷キャンパスにおきまして以下の通り研究会を開催いたします。

フランスの哲学者メルロ=ポンティは1953年、コレージュ・ド・フランス着任初年度、『言語の文学的使用法の探究』と題して、ヴァレリーとスタンダールに関する講義を行いました。言葉の「文学的使用法」とはいったい何なのでしょうか。またなぜ、メルロ=ポンティはこの年、文学に関する講義を行ったのでしょうか。2013年、講義のための準備ノートが刊行されたことで、さまざまな疑問を解く鍵が与えられました。編者の一人ベネデッタ・ザッカレッロ先生をお招きし、メルロ=ポンティ研究者とヴァレリー研究者が集って、覚書第一部を中心に、この講義を読み解く研究会を以下の要領で開催いたします。

" Merleau-Ponty devant Valéry "
le cours au Collège de France en 1953 : "Recherches sur l'usage littéraire du langage"
日時 2019年3月27日(水) 14:00-19:30
場所 東京大学本郷キャンパス 法文1号館216番教室
フランス語、通訳なし、予約不要

(詳細は仏文HPをご覧ください。)

皆様お誘い合わせの上、ぜひお越しください。

問い合わせ先 フランス語フランス文学研究室:futsubun■l.u-tokyo.ac.jp(■は@に変えてください)

添付ファイル(PDF):Merleau-Ponty devant Valéry version définitive.pdf
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Gabrielle Houbre 氏の二つの講演会・報告

2019年03月23日 | 手帳・覚え書き
ガブリエル・ウーブル氏の二つの講演会は、2019年3月12日(火)および3月15日(金)に共立女子大学および奈良女子大学にて開催されました。


 共立女子大学の講演会「恋人たちだけに 19世紀フランスの高級娼婦ヴァルテス・ドゥ・ラ・ビーニュの遺言書(1848-1910)」で、ウーブルさんはゾラの『ナナ』のヒロインやマネの肖像画のモデルとなったヴァルテス・ドゥ・ラ・ビーニュという女性が残した遺言書についてお話し下さいました。ラ・ビーニュは、高級娼婦だけでなく女性実業家として大成功し莫大な遺産を残しましたが、彼女の遺言書は遺産を家族にではなく自分の男女の恋人たちを優先させて遺すとした点で他に類をみない特異性を有していました。友情や恋愛に対する彼女独自の捉え方をミッシェル・フーコーの構造主義の概念やパオラ・タベの人類学の観点を射程に入れ分析されたウーブルさんのご講演は、会場の19世紀文学研究者やジェンダー研究者、院生たちとウ−ブルさんとの間の活発な質疑応答を触発し、バルザックが描いた高級娼婦とラ・ビーニュとの比較、19世紀フランスの売春婦たちの階層性とピラミッド構造、フランスにおける売春制度の歴史的系譜、現代フランスの売春の問題、ラ・ビーニュと日本人・五来欣造との関係などをめぐり、終了時間を超えてまで積極的な議論が交わされ、 ジェンダー研究の斬新性と今日性という視点からも非常に中身の濃い精到な内容の講演会となりました。

 「フランソワ、ジャン、アンリエット=ジェニー:フランス19世紀におけるトランスジェンダーの三例」と題する奈良女子大学の講演は、まず「トランスジェンダー」という用語に関するtravesti (変装・異性装をおこなう人)との歴史的関連性について解説されたあと、精神分析、医学、法学、演劇、文学の分野におけるtravestiを俯瞰され、さらに、生まれた時の性とは異なる性のアイデンティティを生き結婚までした貧困階層のフランソワとジャンの例、またルイ16世の元金庫番の私生児を語って貴族たちの同情を買い、生涯を女性としてヴェルサイユ宮殿でつつましく生き、死後に相当な財産を残したアンリエット=ジェニーという男性に関するトランスジェンダーの例を紹介されました。
 参加者は19世紀文学、ジェンダー研究、日仏歴史研究ご専門の研究者の方々のほか地理ジェンダー学専門の男子学生など、この講演会に関心をもち自主的に参加した学生もいて、熱気あふれる雰囲気のうちに展開した講演会は、質疑応答時間が一時間を優に超えてしまうほど極めて刺激的かつ興味深い内容であり、盛会のうちに盛大な拍手喝采をもって終了しました。

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