西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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カルメンと女子大生

2017年07月15日 | 手帳・覚え書き

 オペラ・カルメンで思い出したエピソードをひとつ。

 かつてある音大で教えていたとき、声楽が専門の院生が聴講生として私のフランス語の授業を受講しに来ていました。
彼女はアルトで「カルメン」の練習をしているとのこと、彼女の嘆きは熟練の男性指導教授にカルメンをもっと女性的に当時の男性好みの女をイメージして歌うようにと強要されることでした。折しも私の授業では斎藤一郎著『カルメン』のテキストの購読をおこなっていたところで、彼女によれば、授業を受けてからというもの、カルメンが指導教授が言うような、男の言いなりになる女ではなく、力強く自立している逞しい女性だということが分かって自信が持てた、とうれしそうに話に来たものでした。
 この女子大学院生は、より上のレベルの芸大の大学院を目指して受験をし、実技試験の三次だったか四次だったか、とにかく最終段階まで残るものの、最後には芸大生が優先されて落とされてしまう、といった状態が二回ほど続いていたけれど、その後どうなったのか、学費を自分で稼ぐとアルバイトを掛け持ちしていた節もあり、祖母がヨーロッパ系とのことで色白の個性的な頑張り屋さん学生さんだっただけに、時折、思い出しては気になっています。


写真は、いつもパリで泊めてくれる20年来の友人宅のバルコンからの眺めです。

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