著者:佐藤初女(はつめ)、主婦の友社、2007年発行
NHKで「初女さんのおむすび~岩木山麓・ぬくもりの食卓~」という番組を見て興味を持ち、購入した本です。
初女さんは1921年生まれですから、御年88歳。
眼鏡の奥の優しい眼差しが印象的な、凛とした女性です。
彼女は青森県津軽の岩木山麓に「森のイスキア」という「家」を立て、苦しみや悩みを抱える人達を迎えて一緒に食卓を囲み、食べることの大切さを伝えてきました。ある映画で取り上げられたことをきっかけに全国的に注目されるようになりました。
その象徴が「おむすび」。
食べる人を想い、心を込めて握るおむすびは心のふるさとになります。
TV番組で感じたこと。
初女さんの行為は「母性」そのものです。
人の気持ちを受けとめて・受け入れて寄り添うこころ。
しかし、訪問者は母性に飢えた子ども達ではありません。
皆立派な大人なのです。
幼少時に自分の気持ちを受けとめてもらえずに不安な気持ちを抱えたまま大人になってしまった人は、こころのトラブルを抱えがちなのですね。
日本全国、母性が不足しています。
子育て中のお母さんでさえ「私の気持ちを誰か受けとめて欲しい」と思っているこの国。
さて、この本はそんな初女さんが子育て世代のお母さん達へ送るメッセージ集です。
人間を見つめる優しい眼差し・・・やはり、私の尊敬する児童精神医学者の佐々木正美先生の言葉と共通点が多いと感じました。
「食」をより大切にしているところが初女さんの特徴です。
人間の生きる基本である食べることがしっかりすれば崩れた生活を立て直すことができる、まずはそこから、という考えです。
心に残った言葉を一部抜粋します。
■ おむすびは心のふるさとなんです。
おむすびを握る、野菜を切る・・・ささやかなことでも、ひとつひとつ心を込めて、10の過程があるなら、すべての過程に手を抜かないで、ていねいにやったときに、人の心と魂に響きます。
■ 食は生命、食は生活の基本です。
同じようなものを作ったり食べたりしても、食べ物を生命として生かすのと、ただ食べているだけでは全く違います。生命だと思って、慈しむように、育むように食事を作ると、絶対においしくなります。おいしくなければ栄養になりません。
■ 小さい頃から本物の味を覚えさせると、大きくなってからも、本物の味を求めて家に帰ってくるし、自分でも作るようになります。
ぜひわが家の味を、小さい頃から食べさせてください。作り方を教えなくても、食べさせるだけで伝わりますよ。
■ 大人も子どもも、とにかく受けとめる。
「イスキア」にみえる方は、それぞれ悩みは異なりますが、どなたも根底にあるのは、受けとめられた経験が乏しく、満たされずに心に傷を抱えているということです。社会でどんなに活躍されている方でも、男性でも女性でもみな、等しく受けとめられたいと求めているのです。
■ 子どものことを受けとめないで、子どもに要求してはいけません。
子どもの言葉は、大人もきちんと受けとめましょう。子どもの言葉を感謝して受けとめなければ、子どもは素直になりません。
■ しつけには、周りの大人の行動すべてが反映されます。
子どもに伝わるのは大人の言葉より行動です。何も言わなくても、子どもはお母さんの言うとおりにやります。しつけというのは、親の行動がすべてと言えるのではないでしょうか。
■ 離婚はいけません。
「イスキア」では毎年、生活体験のために、養護施設に暮らしている女子高校生を2泊3日でお預かりしています。少女たちの多くは、幼い頃に家庭が崩壊した結果、親から離れている子たちです。
少女たちは家庭への憧れが強く、やがて18歳になって施設を出てしばらくすると、結婚して子どもを産みます。そうすると、また子どもを手放しているんですね。自分自身の体験から、自分の子どもには同じ思いをさせたくない、と思うのではないかと考えますけれど、そうはいかないんですね。
だからやっぱり、離婚はいけません。
離婚問題を抱えた夫婦は、ほとんどが恋愛結婚です。
■ 子育てはそう長い期間ではありません。
急ぐから、長いと感じるのではないでしょうか。
待っていればちゃんと結果が出るのに、結果が出る前に動くからまとまらないのです。子どもが不登校になったときにも「学校へ行きなさい」と言うのではなく、じっと待つことが大切です。
■ 子どもを「よくしよう、よくしよう」と急ぐからダメなんです。
調理と同じように、その素材の良さが、その子の個性が生かされるように育てればいいのです。
お母さん、どうか子どもの芽を摘まないでください。
・・・初女さんが「イスキア」をいう試みを始めたのは、四半世紀前の弘前市内の自宅にて。実はその頃、私は大学生として同じ街に住んでいました(当然、当時は知りませんでしたが)。
NHKで「初女さんのおむすび~岩木山麓・ぬくもりの食卓~」という番組を見て興味を持ち、購入した本です。
初女さんは1921年生まれですから、御年88歳。
眼鏡の奥の優しい眼差しが印象的な、凛とした女性です。
彼女は青森県津軽の岩木山麓に「森のイスキア」という「家」を立て、苦しみや悩みを抱える人達を迎えて一緒に食卓を囲み、食べることの大切さを伝えてきました。ある映画で取り上げられたことをきっかけに全国的に注目されるようになりました。
その象徴が「おむすび」。
食べる人を想い、心を込めて握るおむすびは心のふるさとになります。
TV番組で感じたこと。
初女さんの行為は「母性」そのものです。
人の気持ちを受けとめて・受け入れて寄り添うこころ。
しかし、訪問者は母性に飢えた子ども達ではありません。
皆立派な大人なのです。
幼少時に自分の気持ちを受けとめてもらえずに不安な気持ちを抱えたまま大人になってしまった人は、こころのトラブルを抱えがちなのですね。
日本全国、母性が不足しています。
子育て中のお母さんでさえ「私の気持ちを誰か受けとめて欲しい」と思っているこの国。
さて、この本はそんな初女さんが子育て世代のお母さん達へ送るメッセージ集です。
人間を見つめる優しい眼差し・・・やはり、私の尊敬する児童精神医学者の佐々木正美先生の言葉と共通点が多いと感じました。
「食」をより大切にしているところが初女さんの特徴です。
人間の生きる基本である食べることがしっかりすれば崩れた生活を立て直すことができる、まずはそこから、という考えです。
心に残った言葉を一部抜粋します。
■ おむすびは心のふるさとなんです。
おむすびを握る、野菜を切る・・・ささやかなことでも、ひとつひとつ心を込めて、10の過程があるなら、すべての過程に手を抜かないで、ていねいにやったときに、人の心と魂に響きます。
■ 食は生命、食は生活の基本です。
同じようなものを作ったり食べたりしても、食べ物を生命として生かすのと、ただ食べているだけでは全く違います。生命だと思って、慈しむように、育むように食事を作ると、絶対においしくなります。おいしくなければ栄養になりません。
■ 小さい頃から本物の味を覚えさせると、大きくなってからも、本物の味を求めて家に帰ってくるし、自分でも作るようになります。
ぜひわが家の味を、小さい頃から食べさせてください。作り方を教えなくても、食べさせるだけで伝わりますよ。
■ 大人も子どもも、とにかく受けとめる。
「イスキア」にみえる方は、それぞれ悩みは異なりますが、どなたも根底にあるのは、受けとめられた経験が乏しく、満たされずに心に傷を抱えているということです。社会でどんなに活躍されている方でも、男性でも女性でもみな、等しく受けとめられたいと求めているのです。
■ 子どものことを受けとめないで、子どもに要求してはいけません。
子どもの言葉は、大人もきちんと受けとめましょう。子どもの言葉を感謝して受けとめなければ、子どもは素直になりません。
■ しつけには、周りの大人の行動すべてが反映されます。
子どもに伝わるのは大人の言葉より行動です。何も言わなくても、子どもはお母さんの言うとおりにやります。しつけというのは、親の行動がすべてと言えるのではないでしょうか。
■ 離婚はいけません。
「イスキア」では毎年、生活体験のために、養護施設に暮らしている女子高校生を2泊3日でお預かりしています。少女たちの多くは、幼い頃に家庭が崩壊した結果、親から離れている子たちです。
少女たちは家庭への憧れが強く、やがて18歳になって施設を出てしばらくすると、結婚して子どもを産みます。そうすると、また子どもを手放しているんですね。自分自身の体験から、自分の子どもには同じ思いをさせたくない、と思うのではないかと考えますけれど、そうはいかないんですね。
だからやっぱり、離婚はいけません。
離婚問題を抱えた夫婦は、ほとんどが恋愛結婚です。
■ 子育てはそう長い期間ではありません。
急ぐから、長いと感じるのではないでしょうか。
待っていればちゃんと結果が出るのに、結果が出る前に動くからまとまらないのです。子どもが不登校になったときにも「学校へ行きなさい」と言うのではなく、じっと待つことが大切です。
■ 子どもを「よくしよう、よくしよう」と急ぐからダメなんです。
調理と同じように、その素材の良さが、その子の個性が生かされるように育てればいいのです。
お母さん、どうか子どもの芽を摘まないでください。
・・・初女さんが「イスキア」をいう試みを始めたのは、四半世紀前の弘前市内の自宅にて。実はその頃、私は大学生として同じ街に住んでいました(当然、当時は知りませんでしたが)。