某セミナーで広瀬宏之先生のお話を聞きました。
発達障害関連の講演では、病気の概説に終始し、
ピンとこないまま終わることが多いのですが、
広瀬先生のお話は腑に落ちましたので、メモを備忘録として残しておきます。
私が腑に落ちたポイントは、
・発達障害は「発達凸凹+困りごと」であり治るものではない
・だとすれば、治療ではなく支援が中心となる
・問題は個人にあるものではなく社会的障壁にある
・発達障害児に「失敗は成功のもと」は通用しない
→ (フォローなき)失敗は二次障害のもと
・支援のゴールはすべて自分でできることではなく、人を頼る術を知ること
等々。
▢ 発達障害=発達凸凹+困りごと
・発達凸凹:生まれつきの遅れ・偏り
・困りごと:凸凹と環境とのミスマッチ
▢ 支援モデル3つ
1.医療モデル:原因追及 → 治療
2.療育モデル:抽出 → 訓練 → 包摂
3.社会モデル:個々に応じた社会参加
▢ 社会モデル支援の内容
・対象:社会的障壁
・ToDo:合理的配慮
・場:全生活の場
・目標:社会参加
▢ 発達障害を治すとはできない、凸凹を活かす視点を
・社会的障壁を減らしていくことで困りごとや不適応は減らせるが、凸凹それ自体はあまり変わらない
・苦手なことは周囲がサポートする、“後付け”で獲得できるスキルもある、得意・好きなことは強みとして活かす
▢ 「できた!」が発達の原動力
・成功体験の積み重ねが大切
▢ 避けたい悪循環
・うまくいかないことが多い
・怒られる回数がうなぎ登り
・頑張っても怒られるだけ
・挑戦や努力をしなくなる
・自尊心の低下「どうせおれなんか・・・」
▢ 発達障害児に「失敗は成功のもと」は通用しない
・(フォロー泣き)失敗は二次障害のもと
・困る行動・“問題行動”が増え、その子本来の発達すら滞る
▢ 発達を促すコツ
・ハードルは低く
・こまめにほめる
・難しいことは手伝う
▢ ハードルを上げると・・・
・できないことばかり増える
・「どうしてできないの!」と叱られる
・自尊心・自信の低下
・チャレンジ精神の低下
▢ ほめるコツ
・小さな(良い)変化を見つける
・肯定的な注目を言葉で実況中継
・伝わる褒め方・・・皮肉・嫌みは禁句
・親もほめる
▢ ほめる目標
・やって欲しい行動が定着すること
・行動や人格の価値判断ではない
▢ できないことは・・・
・遠慮なく手伝う
・できたらほめる
・過剰な先回りはしない
・サポートは減らしていく
▢ 適応過程
・周囲の理解と配慮
⇩
・日々の生活が改善していく
⇩
・自分の凸凹を自覚できる
⇩
・自分で工夫するようになる
▢ 支援のゴール
・自分なりに人生に対処できる
・ただし、自立とは「困ったときにSOSを出せる」ことであり、
すべて自分でできることではない
・それぞれの社会参加や幸せな時間・・・それには当事者を含めた共同作業での支援が不可欠
むかしから「できの悪い子どもはかわいい」という言葉がありますが、
そんな子どもを大切に育てる極意としても通用する内容だと思いました。