日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

コーヒーの1日上限量は5杯です。

2018-03-25 06:35:34 | 趣味
 私は珈琲が好きで、豆を購入して毎朝ミルで挽き、ペーパードリップで味わっています。
 最近のお気に入りは、ケニアの浅煎り。
 口当たりがフルーティーで、後味のほどよい酸味がたまりません。
 あ、「苦い珈琲が好き」という人には向かないと思いますので、あしからず。

 さて、「珈琲は体に良い、いや悪い」と未だに喧々ガクガクです。
 生活習慣病対策に良いというニュースから、カフェイン中毒で命が危険にさらされる、まで情報のバリエーションが広すぎ。

 科学的に分析した記事を紹介します。

■ コーヒーは有益か?有害か?/BMJ
ケアネット:2017/12/04
 コーヒーの飲用は、一般的な量であれば全般に安全で、1日3~4杯の飲用でさまざまな健康転帰のリスクが大幅に低減され、有害性よりも利益が勝る可能性が高いことが、英国・サウサンプトン大学のRobin Poole氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年11月22日号に掲載された。コーヒーは世界的に消費量が多く、とくに慢性肝疾患における利益の可能性が高いとされるが、コーヒー飲用の利益や有害性との関係は多岐にわたる。コーヒーと健康との関連を理解することは、介入研究に先立つ、有害性との関連の探索において重要であるとされている。


 この論文は、評価に値する質の高い論文を集めて解析したもので、口コミや噂よりも信用できます。
 1日3〜4杯ならベネフィット>リスクなのですね。
 心臓血管死、心臓血管疾患、眼発症リスクなどが軒並み減少するそうです。

 しかし一方で、妊婦さんがたくさん飲むと、低出生体重児や早産の頻度が増えるという一面もあるようです。
 でも「喫煙の有無で補正すると差がなくなる」ことから、タバコの害の方がハイリスクらしい。

 結論として「妊婦や骨折リスクのある女性を除き、1日3〜4杯程度のコーヒー摂取であれば健康に与える便益は害を上回る可能性が高いと考えられる」とのこと。

 よかった、よかった。

 次は珈琲専門家(ネスレ日本の福島洋一氏)による解説記事を。

■ カフェインが気になる コーヒーは1日何杯までOK?
日経Gooday:2017/6/17)より抜粋;
・・・
 カフェインは、苦みを持つアルカロイド類の化学物質です。植物が昆虫に食べられないように自らの身を守るため、作られた物質だと考えられています。カフェインは熱に強い性質を持っているためにコーヒー豆を焙煎してもその多くが残ります。
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 玉露はカフェインを多く含んでいる。コーヒーは100mL当たり約60mg程度とすると、1杯(150mL)当たり90mg程度。
 コーヒーは約100mL当たり、40~60mg程度含んでいます。1杯を150mLとした場合は、60~90mg程度となります。エナジードリンクのカフェイン量は種類にもよりますが、コーヒーと同じくらいか多めに設定されることが多いようです。デカフェといわれるカフェインレスコーヒーは、コーヒー豆からカフェインを除去する工程を入れたもので、カフェイン量は100mL当たり1~2mgくらいまで低減されています。
 カフェインの摂取量や主要摂取源は、国や食生活により異なりますが、日本ではコーヒーとお茶の2つが突出した摂取源となっています。
 医薬品では、眠気予防薬、鼻炎用カプセル、解熱鎮痛薬や咳止め薬などに、数十mgから200mgくらい入っています。
・・・
 カフェインは、コーヒーを飲んでおよそ20~30分で吸収されて血流にのり、全身を巡ります。
 カフェインの大きな特徴は、脳に作用するということです。多くの化学物質は、「血液脳関門」という脳のバリアによって脳内には入ることができませんが、カフェインはこの関門を通過して脳に到達するのです。
 脳には、ドーパミンやノルアドレナリンといった興奮性の神経伝達物質の放出を抑える「アデノシン」という物質がありますが、カフェインはアデノシンと似た構造をしているために、アデノシンの働き、つまり「興奮抑制作用」をブロックし、脳を興奮、覚醒させると考えられています。
 カフェインの半減期、つまり血中濃度が半分になるまでの時間は、個人差もありますが、4時間ほどとされています。
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 カフェインを75mg以上含むコーヒーを摂取した実験によって、「集中力を維持できる」という研究や、「カフェインが睡魔によるパフォーマンス低下を抑制する」という研究が報告されています。
 脳への働き、というところでいうと、カフェイン摂取によってパーキンソン病のリスクが低下するという疫学調査の結果が多く報告されています。パーキンソン病は、脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの増強が発症に関与するとされる神経変性疾患ですが、カフェインが神経細胞の保護に役立っているのではないかと注目されています。
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 欧州食品安全機関(EFSA)は、成人が摂取しても体に影響がないとみられる1日当たりのカフェインの最大摂取量を設定しています(EFSA J 2015,13(5),4102)。成人なら1日400mg、コーヒー1杯(150mL)当たりのカフェイン量をおよそ80mgとすると、5杯程度でカフェインの最大摂取量になります。
 なお、子どもは大人の4分の1ほど(体重30kgで1日90mg)と考えてください。妊婦や授乳婦は200mg(コーヒーだけなら1日2~3杯)までを目安にするといいでしょう。
 健康な成人なら、1日3~5杯であれば安心して飲んでいただける量だと思います。
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 就寝1時間前と3時間前に、合計200mgのカフェイン(コーヒー2杯強に相当する)をとると、10分ほど寝付く時間までの時間が長くなり、30分程度、睡眠時間が短くなるという報告があります。
 特に、高齢者は睡眠が浅くなり、カフェインの肝臓での代謝も落ちるためにカフェインの影響を受けやすくなります。夜にコーヒーを飲むと、睡眠の質が落ちやすいといえるでしょう。
 夜遅くにコーヒーを飲みたくなったら、カフェインレスコーヒーにするのがおすすめです。
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 「カフェインは基礎代謝を上げる」という研究が1980年にスイスのネスレ中央研究所によって報告されています。
 コーヒー6杯程度のカフェインを空腹時に摂取すると、基礎代謝は約16%上がり、脂肪燃焼のもとになる遊離脂肪酸が増え、脂肪燃焼が高まるというものです。コーヒー3杯程度でも、基礎代謝は約12%上昇しています。
 ただし、「じゃあ、コーヒーでカフェインをとればやせるの?」というとそんなに話は簡単ではありません(笑)。カフェインによる体重増加の抑制は、非常に限定された結果しか出ていません。
 運動とコーヒー摂取を組み合わせると、スポーツ時のパフォーマンスが上がります。実際、カフェイン入りコーヒーを飲むと中距離走(1500m走)のタイムが3秒ほど速くなることが分かっています。
 このため、2004年まではカフェインはドーピングの検査対象薬物とされていたくらいです。コーヒーやお茶からカフェインは日常的に摂取されることもあり、今は指定薬物ではなくなりましたが、競技会での監視は続けられています。
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 カフェインには強心作用(心臓の収縮力を高める働きのこと。心拍数や血圧が上がったりする)がありますからコーヒーを摂取した直後は血圧は上がります。ただし、その上昇の度合いはそれほど高くはありません。
「コーヒーを一度に3杯摂取した時、3時間後までに上の血圧は8mmHgしか上昇しない。しかも1日3~5杯を2週間摂取しても、血圧には変化がない」という研究結果があります。
 私たちの生活の中には、さまざまなタイミングで血圧上昇の機会があります。例えば緊張する会議では血圧は20mmHg上がり、通勤では14mmHg、歩行によっても12mmHg上がるといわれています。
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 空きっ腹でコーヒーを飲むのは良くない場合があるかもしれません。なぜなら、カフェインには胃酸分泌を促進する作用があるため、もともと胃酸過多の人が空腹時にコーヒーを飲むと、胃酸によって胃粘膜にダメージを与える可能性があるからです。
 ただし、「健康な人がコーヒーを飲むことによって胃を悪くするか」というと、そうではなさそうだと考えられます。8013人の健康な日本人男女を対象に行われた横断研究によって、コーヒーは胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎のいずれにも影響を与えないことが示されています。
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 カフェインにはマイルドな利尿作用があります。これは、カフェインを含む緑茶などでも同様に見られる現象です。コーヒーの利尿作用は実はそれほど強くないのですが、気になる方は、カフェインの摂取を控えたほうがいいかもしれません。睡眠の質への影響もありますので、コーヒーを飲んでもぐっすり眠れる、という人でも寝る前は、カフェインレスにすることをお勧めします。
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 コーヒーは世界中で多くの人に飲まれています。日本でも今では、コーヒーがたくさん飲まれるようになりましたが、それでも欧米よりも少なく、一人当たりの摂取量は北欧各国の半分以下です。


 カフェイン含有量は、珈琲より玉露の方が多いとは意外です(普通の煎茶は珈琲の1/3程度)。
 デカフェ(カフェインレス珈琲)に含まれるカフェインは、一般の珈琲の1/20まで除去処理されているのも驚きでした。
 それから、「珈琲を飲むと胃にくる」というイメージは、医学的には否定的だそうで、ではこの違和感は何だろう?

 結論として、「健康成人の上限量は1日5杯」。
 覚えておきましょう。

<追記>
□ 「コーヒーは予想以上に代謝に影響する」より
提供元:HealthDay News:2018.4.4
・・・米国では成人のカフェイン摂取量は、食事に関するガイドラインで1日400mgまでが安全域とされており、コーヒーを1日8杯も摂取するとカフェイン含有量が800mgと上限を超えてしまい、睡眠や精神面への悪影響が懸念されることも強調している。

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