日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

監視カメラとプライバシー

2018-02-10 17:39:04 | その他
 いろんな店舗に監視カメラを設置する時代になりました。
 まずは医療機関を受診後処方箋をもらい、処方薬を受け取る薬局内の監視カメラ。
 知られたくない病名がわかったりするとまずい?

※ 下線は私が引きました。

■ 薬局内の監視カメラは合法?
2018/2/1:日経DI
【相談】
勤務する薬局内に監視カメラが設置される予定ですが、プライバシーを気にする来局者もいるので、もめないか少し心配です。薬局として何かしておくべきことはありますか。 (40代男性)
【回答】
明らかな防犯目的での設置は合法
情報の管理や廃棄時の対応を明確に
【回答者】◎小林法律事務所(東京都千代田区)弁護士 小林 郁夫
 個人情報とは、特定の個人を識別することができる情報を指し、映像や音声なども含まれます。つまり、監視カメラに明確に顔が映っている場合などは、その画像も個人情報に当たります。
 改正個人情報保護法(「個人情報の保護に関する法律」)が2017年5月30日に施行されました。それまで個人情報保護法の適用除外とされていた、保有する個人情報が5000人以下の小規模事業者も、同法の対象となりました。つまり現在は全ての薬局が「個人情報取扱事業者」に該当します。そして、個人情報取扱事業者は、あらかじめ個人情報の利用目的を公表しておき、それ以外の場合で個人情報を取得した場合は、速やかに利用目的を本人に通知するか公表しなければなりません。
 薬局の場合、「防犯対策のため、店舗内にカメラを設置しています」と店内に利用目的を掲示してあれば、毎回来局者から個別の同意を得る必要はありません。また、個人情報保護法第18条4項4号にあるように、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」は、事前の通知は不要とみなされます。防犯目的で、薬品棚が映るように監視カメラを設置する場合などは、利用目的が明らかであると解釈される可能性が高いでしょう。
 実務上で重要なのは、撮影データの扱いを明確にしておくことです。具体的には、
(1)誰が管理するのか、
(2)いつまでデータを保管しておくのか、
(3)どういう場合に開示するのか
─といったことを決めておき、規約などにまとめておくことが求められます。情報の消去・廃棄に関わる取り決めも盛り込んでおくと、なお良いでしょう。
 個人情報保護法では、こうした安全対策について具体的に定めているわけではありませんが、同法第20条、第21条では、取り扱う個人情報の漏えいなどを防止するため、適切な措置を講じることが義務付けられています。これらの措置を講じず、データの流出などが起きた場合には、取扱事業者として責任を問われることになります。


 なるほど、なるほど。
 さらに私が気になるのは「スーパー銭湯」「健康ランド」の脱衣所に設置されている防犯カメラ。
 裸は究極のプライバシーですが、これも法律として問題ないのでしょうか?


■ 公衆浴場の更衣室に防犯カメラは違法か
花水木法律事務所:2017年09月21日:BLOGOS
 公衆浴場の更衣室に、防犯カメラが設置されるようになって、久しく経つらしい。
 新聞を見ると、最初の報道は平成11年3月24日の讀賣新聞朝刊「男子脱衣所に防犯カメラ 利用者から賛否両論 下仁田町営『荒船の湯』」との見出しで、男子脱衣所で盗難事件が発生したため、警察から防犯ビデオカメラ1台を借りて設置したが効果が無かったため、60万円を投じてビデオ二台を購入「防犯カメラ」と大きく表示したところ、盗難はなくなったという。
 記事は、「人権侵害とまではいえない」とする前橋地方法務局の見解や、利用客の賛否の意見を紹介したうえ、「『防犯カメラを購入するお金があるのならカギつきロッカーを備えたら』というもっともな意見もある」としている。
 平成21年3月30日、小泉郵政改革で名を馳せた東洋大学の教授(当時)が、東京都練馬区の温泉施設のロッカーから財布やブルガリの腕時計を盗んだとして、窃盗容疑で書類送検された。当時は世間の耳目を集めた事件だが、これを報じる3月31日の讀賣新聞には、「防犯カメラに容疑者に似た男が写っていた」とある。この防犯カメラは脱衣所に設置されていたと推測される。
 平成25年の中日新聞朝刊三重版には、銭湯の脱衣所で財布から現金を盗んだとして24債務職の男が逮捕されたと、ベタ記事で報じている。「脱衣所の防犯カメラの映像から割り出した」という。
 防犯カメラは女性用の脱衣所にも設置されている。「トリップアドバイザー」のサイトには、東京の温泉施設の女性脱衣所に監視カメラが設置されているという抗議の書き込みがある。その他、「温泉&防犯カメラ」や、「更衣室&監視カメラ」でググれば、会社や学校の更衣室に設置されたカメラについて、賛否両論(否定的意見の方が多いようだ)の書き込みがあるし、防犯サービスの会社のサイトを見ると、「銭湯、温泉、娯楽施設での防犯カメラ導入事例」として、火災報知器にカモフラージュした隠しカメラを宣伝している。
 これらのカメラ設置は違法だろうか。
 カメラ設置の合法性判断基準に決まりはないが、私は
①目的の正当性
②撮影と目的の合理的関連性
③合理的代替手段の不存在
④被侵害利益の重大性と比較し、撮影されても受忍限度内にあるといえるか
ーの4つの基準をクリアすることが必要だと考える。
 この基準に照らした場合、①の防犯目的は正当だし、②カメラの設置と防犯目的の達成の間には、合理的関連性がある。だが、問題は③と④だ。
 上の記事にもあるとおり、更衣室内の盗難は、カギつきロッカーの導入や、貴重品預かり所の設置によってある程度対処可能だから、合理的代替手段不存在の基準を満たすかは疑問がある。また、全裸を撮影されないという法的利益は、かなり重大なプライバシー上の権利である。これ以上プライバシー性の高い場所は、トイレの個室とベッドルームくらいしかないだろう。結論としては、違法の疑いが強いと考える。
 もし適法とされる余地があるとすれば、録画映像を人間が見るのは盗難事件等が起きた場合に限られることとし、平時は人間が見ることなく、一定の期間経過後に自動的に消去される、という運用がなされている場合だろうか。この場合でも、適正な運用を担保する手当は欠けているが、そこは信頼関係の問題といえるのかもしれない。
 更衣室の監視カメラが適法だというなら、JR大阪駅で通行人を撮影して人流統計データを作成したり、ジュンク堂が来店者を撮影して万引犯のリストと照合したりする行為が違法となる余地はないだろう。


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