目利き

取り壊す予定の家屋があり、大事な物は所有者が全て移設したので、使えそうな物を引き取って欲しいという依頼はよくあります。

半年ほど前に、不動産屋さんから御依頼いただいた物件は、しばらく家主不在のまま放置されていた家の様で、家具や家電は２０年以上前の商品で、引き取れそうな物は雑貨しかありませんでした。古く埃だらけの調度品の中に、ちょっと目を引く洋画がありました。その分は少々多めにお金を支払いましたが、店頭ではまともな価格では売れそうにありませんでした。もちろん齋藤求先生や今井繁三郎先生なら相当の場所にだしますが。

私の気に止まった事もありますが、半分責任を取る様な気持ちで私が購入しました。サインのイニシャルからネットで調べると、かなり前に亡くなった県内の著名な画家さんの様な気がします。私の高校３年間担任してくれた先生が、白甕社という鶴岡の芸術団体の委員長を務めていました。その先生に経緯を説明して見てもらったところ『○○先生の作品に間違いない、これに気がつくとは目が利くねぇ』と言われました。

先述のように、今井先生や斉藤先生の様な中央で評価されている方では無いので、それ程の価値はありませんが、この年になって恩師に褒められた事が嬉しく思いました。4号の小さな絵ですが宝物です。

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