三島由紀夫の数多い作品の中でもっとも私が最も好きなのは、「青の時代」である。これは、戦後に起きた、「光クラブ事件」の山崎晃嗣をモデルとして、かなり事実に忠実に書いてある。再読三読に耐える。なぜ私がこの小説を好きなのかといえば、この小説は、一人の人間の生まれてから死ぬまでの物語であるからだ。私はそういう小説が好きである。それと、長編ではあるけれど、短かめである。文庫本で180ページである。私は、あまりにも長い長編は好きではない。それと。これは、事実をフィクション化したものだから、込み入った奇抜なストーリーのお話ではない。その点も好きである。それと、三島由紀夫は、この小説で、ふんだんにアフォリズム、衒学を盛り込んでいる。アフォリズムの中に埋め込まれた小説である。それは詩的ではない。そもそも、この小説の性格からして、詩的であったら、かえっておかしい。三島由紀夫自身は、あまりにも衒学をひけらかしていることに対してか、俗悪な文体とまで、自戒している。しかし作者の意図と読者の受け止めは、全く食い違うこともある。(少なくとも私には)私は、三島が思考の限りを尽くして書いた、アフォリズムや衒学の文章こそが好きである。三島は小説で読者に「俺はこんなに思考が深く、知識があるんだぞ」と読者に挑戦しているきらいがある。それをも三島は、俗悪な文体、と自戒した理由だろう。しかし、その挑戦がまた面白いのである。小説というものは、読者は作者の思いとは違う見方で読まれ、それが成功することもあるのだ。
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