かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  344

2021-10-28 14:53:06 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究41(2016年8月実施)『寒気氾濫』(1997年)
     【明快なる樹々】P139
      参加者:泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:渡部 慧子    司会と記録:鹿取 未放


344 群れざるを矜恃のごとく帰る道ヘッドライトに晒さるる道

      (レポート)
 大勢のなかで仕事か何かを済ませ帰路をたどる。群れないことを矜恃として帰って行く道、どんな道かといえばヘッドライトに晒さるる道だ。思えば、どの道であれ、ヘッドライトに終始照らされているとは思いがたい。また、矜恃にしても折にはかげったりゆれたりしてつねにつねにはりつめている状態ではないだろう。その微妙なところを照らさるるではなく、晒さるるとの語を選んでいる。いずれにしても上句の虚と下句の実がひそかにひびきあっている。(慧子)


   (当日意見)
★「ヘッドライトに晒さるる」のは〈われ〉ではなく道そのものではないですか。「晒さるる」は
 連体形で道に掛かっていますから。(鹿取)


   (後日意見)
 後で読んでみると、「矜恃のごとく帰る道」と「ヘッドライトに晒さるる道」は対句になっているので、鹿取の(当日意見)には誤解があるようだ。対句だと「ヘッドライトに晒さるる」のは〈われ〉という解釈になるのだろう。独り帰ろうとしている〈われ〉の車は、いつも群で行動している人たちの車のヘッドライトに晒されている、ということか。いや、ヘッドライトは一台分しか届かないか。まあ、理詰めで考えなくても、「ヘッドライトに晒さ」れているような気分なのだろう。(鹿取)

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