かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 253 中国⑫

2023-06-12 10:38:55 | 短歌の鑑賞
2023年度版馬場あき子の旅の歌33(2010年11月実施)
   【砂の大地】『飛天の道』(2000年刊)192頁~
    参加者: N・I、Y・I、佐々木実之、T・S、曽我亮子、
       藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター: 藤本満須子 司会とまとめ:鹿取 未放


253 みだれ髪の王母の花鈿かがやくを『山海経(せんがいきやう)』記せり崑崙の西

     (レポート)
 西王母の髪は少し乱れていて、花鈿が輝いている、と『山海経』に西王母の記録がある。その場所は崑崙の西の方角である。この場合、崑崙は崑崙山脈ではなく伝説の想像された山ととりたい。作者にとって西王母は雪を降らせたり、白き虎の歯を持ったり、その髪に美しい花鈿を輝かせたりとあくまでも清らかで、侵しがたい無垢な仙女として存在するのであろう。『山海経』は、中国古代の神話と地理の書。(藤本)


      (当日意見)
★この頃は、実在と伝説の区別は無かったのではないか。「みだれ髪」にエロチックな
 ものを感じる。(実之)
★「崑崙の西」は実在でも想像でもどちらでもいいかなあ、と思います。いずれにしろ
 西王母自体がフィクションですから。ただそこに美しい花鈿の櫛をさしたみだれ髪の
 色っぽい西王母を想像することで、古代人ははるかなあこがれをいだいた。今でも、
 ロマンチックにひびきますよね。ふと昔うたった三校寮歌を思い出しました。やっぱ
 りはるかな憧憬をうたっていると思います。こん な歌詞です。(鹿取)
  千載(せんざい)秋の水清く/銀漢(ぎんかん)空にさゆる時/
   通える夢は崑崙(こんろん)の/高嶺(たかね)の此方(こなた)ゴビの原

          

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