かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 238

2024-04-11 09:48:47 | 短歌の鑑賞
 2024年版 渡辺松男研究29まとめ(2015年7月実施)
    【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)100頁~
     参加者:S・I、M・S、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:渡部 慧子  司会と記録:鹿取 未放


238 赤城山の天辺に立ち呼吸深し関東平野を吸い込みては吐く
  
       (当日意見)
★「関東平野を吸い込みては吐く」という非常に大きい世界を詠っていらっしゃる。
    (S・I)
★天辺に立ってお山の大将というか、天下を取ったような気分で関東平野の空気を吸い
 込むような気がするという、おおらかな男性的な歌だと思います。(M・S)
★この作者、登山が大好きで週末には自宅周辺の山々に登っていたそうなので、赤城山
 もよく登られた山なのでしょう。赤城山は群馬県の真ん中辺りに位置する1828メー
 トルの火山で、榛名山、妙義山と並んで上毛三山の一つです。国定忠治の台詞でも有
 名ですね。頂上に着いた達成感とか快い疲れとかで関東平野を見下ろしながら深呼吸
 しているんだけど、「関東平 野を吸い込みては吐く」と大きく表現しているところ
 など国定忠治に通じるところがあるようで、もしかしたら意識されたのかもしれま
 せん。ユーモアもあるし気持ちの良い歌ですね。(鹿取)


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