かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  316

2021-09-24 18:00:25 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究38(2016年5月実施)
  【虚空のズボン】『寒気氾濫』(1997年)128頁~
   参加者:石井彩子、泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、Y・N、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:石井 彩子   司会と記録:鹿取 未放


316 新しき鉛筆に換え書くときに性善説ははつかあかるむ

     (レポート)
 閉塞感に陥ったとき、いままでにない所作をしたり、新しいものを得たりすることで改善の兆しを得ることがある。作者は様々な事象に性善説か、性悪説といった哲学的命題を思い悩んでいたのであろうか?あるいは、具体的にある人物から信頼感を裏切られた体験をしたのであろうか?新しい鉛筆に変えて書くという行為によって、今まで否定的だった性善説が、作者の閉塞感を打開するものとして意識されたということであろうか?(石井)


    (後日意見)
 「新しき鉛筆に換え書く」という所作の前に必ずしも鬱屈があったとは考えにくい。もちろんあったかもしれないが、なかったかもしれない。私は前提をレポーターより軽い、ニュートラルな位置で考えた。何かがあったからではなく、ふっと新しい鉛筆に換えてものを書いてみた。きっと気持ちよく書けたのであろう。それで性善説などという考えが明るく脳裡に灯った。それまで性悪説を信奉していたとか性善説に疑いを抱いていたとか、そういうことは一切関係がない。そんなふうな理屈で繋げたら全くつまらない歌になってしまう。(鹿取)


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