これでお別れね

だいたい卒業式がきらいだ。
祝辞ってさ、つまんなくて、やたら長くて
でも今度の校長先生のお話は、良かった。
途中何度もぐっときた。
こんなことは初めてだ。

卒業証書授与では、スライドで子ども達の好きな字が紹介された。
「暮」なんかやさしい感じがするから　　とか
「日」お天気の日が好きだから　　とか
「時」いつかはのんびりとくらしたいから　とか

この「時」を書いた子が、普段からのんびりしている子なので
「お前はいつも、のんびりしとるやんけ」と思い
笑いをこらえるのに苦労した。

ちなみに宝物は「仏」
仏様のように広い心を持ちたいから　　だとよ。

遺伝子的にムリ。


そ知らぬ顔で登場するかと思われたフリマのママは
姿を見せなかった。
かわりにメールを頂戴した。

「ワケあっていけなくてすごく残念です。
みんなの元気な顔を思い出すばかりです。
宝物クンはよく遊んでくれましたね。
これからもうちの子と仲良くしてね。」

絵文字入りで。

っぅか、余計なお世話じゃん？

くればいいじゃんか。
胸はってくればいいじゃんか。

フリマのママのかわりに、お姑さんがきていた。
お父さんはビデオをとりながら、ハンカチで涙を押さえていた。

前日、宝物が尊敬される父親になりたいと書いた新聞が配られた。
何度も読み返したが、「父親のようになりたい」と書いたのは
うちの宝物ひとりだった。

フリマのママん家の子どもは

「オレはじいちゃんのようになりたい。
じいちゃんのあとを継ぎたい。」と書いていた。

なんかつくづく気の毒なお父さんだ。


結局、宝物の学生服からは、ただのひとつもボタンはなくならず
卒業式はおわった。

セレモニーの朝には、必ずカメラを持って現れた父が
今回からはいない。

ま、そんなトコだ。