(昨日からの続きになります)
教えられた番号の、大きなジュラルミンの重いドアを開けた瞬間、TV局スタジオ独特の未知の空気が、一瞬にして私の肺胞に流れ込んで来たと思った。
セットがメインなのだから、乾いた新建材と様々な機材が発する、乾き切った微細な埃の匂いなのだろうか。ホームドラマの日常を切り取っているのに、非日常の演技や演出があるからなのか。
セットを皓々と照らすライトと、無言無音が了解事項で動いているスタッフとが、熱に乾燥した空気をさらにその場を異次元空間にしていた。
* * * * *
。。。平凡な役どころが難しいものなのです?
山岡)そう意外とね。平凡な母親役っていうのは特徴がないから。子どもが何人かいて、朝は何時に起きて、忙しなく学校に送り出して、赤ちゃんにミルクをやって、お昼は昨夜の残り物で食べて、ふと気がつくと夕方で、なんて繰り返しの中で年月が経ったお母さんというのは、なんでもないから逆にやりにくいわねぇ。
特異な「一人で詩を書いている女」という役があるとすれば、その女性に付帯する過去が分らない。たとえば「生活」のようなものが一杯くっ付いていないから、やりいいというようなね。
。。。それは山岡さんが極めて個性的だから
山岡)そうね。でも人間の実生活でも同じだけれど、平凡に生きることほど難しいことはないと思うの。その平凡な単調さを、どうやって生きがいにしていけるかという心構えが、難しいわけでしょう。・・だから人間は、違った人生を生きたくなるんです。
過不足なく生活を送っている奥さんが、突然蒸発するケースがあるけれども、人間はいろんな意味で、闘いやら刺激が欲しいんです。
。。。女性が外で働くことをどう思われますか?
山岡)ある意味では良いと思います。働けば必ず収入を得ますからね。お金に対する考え方、社会の仕組みも知ることができますし、綺麗な物も汚い物も見えるでしょう。それは、たいへん良いことです。
結婚して家の中に閉じこもったら、それ(能力)を活かせなくなることもありますね。まれに奥さんの方が旦那さんより収入が多くて、(旦那さんが)オモシロくなくなるというのは困りますけど(笑)
だいたいご主人というのは、奥さんを家に置いておきたいもんだわね、今どきの若い人でも。彼女の持っている能力はオレが持っていない能力だから、外に出てうんと活用した方がいい!なーんて理解は、なかなか難しいんじゃないかしら?共働きで収入が増えて、その分レジャーを楽しめるという共通点はあっても・・。
奥さんが、たまさかご主人の知らない世界で能力を見い出されて、彼女自身も仕事が面白くなってくるという状態はあり得ます。当然男性にもありますよ。サラリーマンでも、別のポジションに変わって、その能力が存分に活かしきれる環境になる状態。
でも彼女がそうなっていくと、あれはオレの女房だ~!という旦那さんの意識が強くなってきて・・そう、独占欲かな?そんなことがどうもね、家庭婦人を外で働きにくくさせている問題点じゃないか、なんて私は思います。
。。。山岡さんのご結婚歴は・・
山岡)ええ、結婚して離婚したの(笑)別れて、もう足掛け3年かな。主婦業と女優業を一緒にやっていたから、今よりもずうっと忙しかったです。お手伝いさんなどはいませんでしたからね。ただ幸か不幸か子どもがいなかったから、その分の忙しさはありませんでしたけれど。
あのね、役者ってタイプがいろいろあるのだけれど、一つの役にとことん惚れ込むってことがありますよ。たとえば、芸術祭参加の今井正さんの作品に捉まったとするでしょ。そうすると、その役の女性のことばかり考えるようになるの。日常生活も、だんだんそういう風になってゆく。
。。。そういう風にとは、役柄に似てくるとか
山岡)そう、似てきます。役柄に比重がかかって、何か「日常生活」に余裕がなくなるの。役のことばかりを考えてしまって、旦那さんのことはあまり考えられなくなってしまう、だって旦那さんはいつも居る人だから。
寝ては醒め・起きてはウツツ幻の~♪で、まるで恋愛しているようなものね。あそこのところはああしよう、こうしようって、常に考えているの。すると、旦那さんは分るでしょう、奥さんの気が何処か行っちゃってるって(笑)
。。。旦那様もカワイソーだったり(笑)
山岡)そりゃあ、寂しいでしょうね。現実的に煩雑だということではなくて、(心の)内部には入れないから。
ロケーションなどで地方へ行けば、3ヶ月くらい家を空けることもありますし。だから、女優さんと結婚するのはよっぽど寛容な男性じゃないとね。今何かに化けようとしているなこのタヌキは~!なんて、笑っていてくれるような人でなければね・・。
(以下次回に続く)
どうぞお帰りにはポチッ☆とお願いします
こちらと
こちらにも
教えられた番号の、大きなジュラルミンの重いドアを開けた瞬間、TV局スタジオ独特の未知の空気が、一瞬にして私の肺胞に流れ込んで来たと思った。
セットがメインなのだから、乾いた新建材と様々な機材が発する、乾き切った微細な埃の匂いなのだろうか。ホームドラマの日常を切り取っているのに、非日常の演技や演出があるからなのか。
セットを皓々と照らすライトと、無言無音が了解事項で動いているスタッフとが、熱に乾燥した空気をさらにその場を異次元空間にしていた。
* * * * *
。。。平凡な役どころが難しいものなのです?
山岡)そう意外とね。平凡な母親役っていうのは特徴がないから。子どもが何人かいて、朝は何時に起きて、忙しなく学校に送り出して、赤ちゃんにミルクをやって、お昼は昨夜の残り物で食べて、ふと気がつくと夕方で、なんて繰り返しの中で年月が経ったお母さんというのは、なんでもないから逆にやりにくいわねぇ。
特異な「一人で詩を書いている女」という役があるとすれば、その女性に付帯する過去が分らない。たとえば「生活」のようなものが一杯くっ付いていないから、やりいいというようなね。
。。。それは山岡さんが極めて個性的だから
山岡)そうね。でも人間の実生活でも同じだけれど、平凡に生きることほど難しいことはないと思うの。その平凡な単調さを、どうやって生きがいにしていけるかという心構えが、難しいわけでしょう。・・だから人間は、違った人生を生きたくなるんです。
過不足なく生活を送っている奥さんが、突然蒸発するケースがあるけれども、人間はいろんな意味で、闘いやら刺激が欲しいんです。
。。。女性が外で働くことをどう思われますか?
山岡)ある意味では良いと思います。働けば必ず収入を得ますからね。お金に対する考え方、社会の仕組みも知ることができますし、綺麗な物も汚い物も見えるでしょう。それは、たいへん良いことです。
結婚して家の中に閉じこもったら、それ(能力)を活かせなくなることもありますね。まれに奥さんの方が旦那さんより収入が多くて、(旦那さんが)オモシロくなくなるというのは困りますけど(笑)
だいたいご主人というのは、奥さんを家に置いておきたいもんだわね、今どきの若い人でも。彼女の持っている能力はオレが持っていない能力だから、外に出てうんと活用した方がいい!なーんて理解は、なかなか難しいんじゃないかしら?共働きで収入が増えて、その分レジャーを楽しめるという共通点はあっても・・。
奥さんが、たまさかご主人の知らない世界で能力を見い出されて、彼女自身も仕事が面白くなってくるという状態はあり得ます。当然男性にもありますよ。サラリーマンでも、別のポジションに変わって、その能力が存分に活かしきれる環境になる状態。
でも彼女がそうなっていくと、あれはオレの女房だ~!という旦那さんの意識が強くなってきて・・そう、独占欲かな?そんなことがどうもね、家庭婦人を外で働きにくくさせている問題点じゃないか、なんて私は思います。
。。。山岡さんのご結婚歴は・・
山岡)ええ、結婚して離婚したの(笑)別れて、もう足掛け3年かな。主婦業と女優業を一緒にやっていたから、今よりもずうっと忙しかったです。お手伝いさんなどはいませんでしたからね。ただ幸か不幸か子どもがいなかったから、その分の忙しさはありませんでしたけれど。
あのね、役者ってタイプがいろいろあるのだけれど、一つの役にとことん惚れ込むってことがありますよ。たとえば、芸術祭参加の今井正さんの作品に捉まったとするでしょ。そうすると、その役の女性のことばかり考えるようになるの。日常生活も、だんだんそういう風になってゆく。
。。。そういう風にとは、役柄に似てくるとか
山岡)そう、似てきます。役柄に比重がかかって、何か「日常生活」に余裕がなくなるの。役のことばかりを考えてしまって、旦那さんのことはあまり考えられなくなってしまう、だって旦那さんはいつも居る人だから。
寝ては醒め・起きてはウツツ幻の~♪で、まるで恋愛しているようなものね。あそこのところはああしよう、こうしようって、常に考えているの。すると、旦那さんは分るでしょう、奥さんの気が何処か行っちゃってるって(笑)
。。。旦那様もカワイソーだったり(笑)
山岡)そりゃあ、寂しいでしょうね。現実的に煩雑だということではなくて、(心の)内部には入れないから。
ロケーションなどで地方へ行けば、3ヶ月くらい家を空けることもありますし。だから、女優さんと結婚するのはよっぽど寛容な男性じゃないとね。今何かに化けようとしているなこのタヌキは~!なんて、笑っていてくれるような人でなければね・・。
(以下次回に続く)
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こちらと
こちらにも
その頃は子供だったんで、チーターはおばさん。
山岡さんはおばあちゃんぐらいに感じてたよ。
40代だったんだ・・・
ねえ、トーコさん。
これって、取材日記か何か?
当時のものが出てきたの?
だったら、まだ他にもあるのかな?
続きが楽しみ!!!
へっ!チーターはおばさん?(≧∇≦)/ ハハハ
この時の山岡さんは、まだ40代だったのよね。いや~、オバサンだと思って年齢も聞かなかったですぅ。
今ね、雷で一瞬停電したの。それでPCのHPも消えたんだけど、すぐ点いたと思ったらフリーズしちゃった。仕方がないのでプラグ抜いたデス^^;
夫に言ったら、こんな日はもう止めろ!!と叱られたから、また明日コメント入れなおします~、ひゃーー とりあえず”ありがとうX3”
これって、取材日記なのですか? 素敵!!
先日の試写会のレビューも、感心して読ませて頂きました。
映画のレビューって、苦手なので、さすが、トーコさんと・・。
そちらは、雷ですか? お気を付け下さいね~。
そして、次回も楽しみにしています~。
先日健診を受けました。
昨日結果を聞きに行きました。
30代の体だといわれました。
山歩きがいいようです。
今年の夏山で2キロ体重が減りました。
粗食が利いたようです。
足腰と精神年齢ではまだトーコさんに負けません。
若い女性をみると「恋ごころ」がわきます。
今日も雨降りのようです。
明日は地区の防災訓練、晴れて欲しいです。
男として「働きに行くな!」…というより「俺が食わせてやる」という所はあると思います。それはその時代までの生活の中では当然の流れだったのですから。
僕は…甲斐性が無いのでそうでなくても、うちのカミさんは「家にずっと居るなんて考えられない!」と言ってます
今、また雷雨になりましたが、怖いながらもコメントの続きを書きますよ~
そうなんです!取材記録があるのです~、30数年経ってみて、今回想するシーンと当時の記録を記事にしています。
文中、今では使わない言葉などが出てくると思いますが、昔はこうだったんだ~と再認識してみてください。お若いたむたむさんには、「死語」ばかりでしょうね(笑)またヨロシクお願いします~読んでくださいねっ。コメントを有り難うデース
映画はリラさんの方がお得意ではないでしょうか。私は、仕事で仕方なく・・全然不得意分野です~(得意分野もありませんが)あはっ!
雷が、又凄いです~、昨夜は、娘が帰り道に遭難するかと思ったとか。コメントを有り難うございました~またお願いします~
また雷雨になりました。昨夜は歩きましたが、今夜は歩けないようです。ブログ更新も、雷が危ないので、今夜はPCを閉じませんとね。。えへっ!
へぇ~、若い女性に恋心を?なるほど~分るような気がします。若くない女性も若い男性に「恋心」を抱く場合が多いようですから(笑)
明日の防災訓練、頑張ってくださいませ。バケツリレーはやりませんよね、まさかねっ コメントをありがとうございました
またまたお天気が、漂流?しそうな状態になってきました(泣)このコメントバックをしたら、PCを閉じます
昔は共働きが少なかったように思います。夫もトーゼン家事などは一切しませんし。ほとんどの場合、妻が外に働きに出るのは、生活苦があったからです。
現在は夫婦のカタチも生活状況も大きく様変わりしています。骨董的取材記録を思い出しながら書いていますよ(笑)”甲斐性がない”も、死語に近いのではないでしょうか。家に居るのも外に出るのも、妻の好みの問題かもしれません。結局は夫婦の助け合いの精神(愛情)なのでしょうね。
コメントを有り難うございました~
なくなってざんねんです。
良い女優さんがいなくなりましたね。