しょっちゅう会う美人は、通りすがりのひと

　　　　　　　　　　　（庭の花シリーズ/「SCARBOROUGH FAIR」のブルーセージ？）


そう、タイフーンなこんな日にも、変人なので歩いてきました。あ”～、スッキリした。

毎日歩く周回コースで、よく会う女性がいる。はじめは30才ちょっと位だと思ってい
ましたが、挨拶をするようになって、40才ちょいだと分かりました。中高生のお母さん。

楚々とした美人。スッピンだが、ハッとするほど綺麗。身長もあって、スタイル良し。

彼女は私と同時期に、ここで歩き出した。短時間にたいへんなスピードで6kmは歩いて
いる。なんと最近は、時々走ったりもしている。

彼女が歩くのは、本人に言わせると、夜のビールを美味しく心置きなく飲むためである。


先日は30代くらいの、おとなしそうな男性にナンパ（？）されていた。うぷぷぷ（笑）
その男性は時々見かける人である。彼女が一人かと思って、思い切って声をかけたのか
もしれない。しかし、その日、彼女はダンナ連れ。

彼女の、私とすれ違った時の一瞬の眼の色が、「困って」いた。その男性は、イッショウ
ケンメイ話しかけながら、彼女の恐ろしいスピードに合わせて、併走していた。あらっ、
ここはピアノ・バーじゃないのよ（・・・行った事もないけれど）、しかも、その先でダンナ
が待っているのよ～～！！

どうするのかな、と思いながら何気にチラ見すると、瞬時に危険を察知した男性は、ス
ーッと別の道に離れて行ったわ（笑）

ダンナは、メタボ系大男。彼女に叱咤激励されて、歩きに連れて来られている。しかし、
初心者なので遅い。彼女にこう叱られていた。「タラタラ歩いてんじゃないわよ～！！」

ダンナは、あわよくばサボろうとしている。携帯で仕事の話をしている時もある。たま
たま顔見知りに合うと、長く立ち話をしていたりもする。どうも、自営業の社長らしい。

彼女とダンナはペースが違いすぎるので、ほとんど別々に歩いている。ダンナは頑張っ
ているけど、周回遅れで追い越されている。


私は反対周りで歩いているから、彼女と何度もすれ違う。話してみると、イメージとは
違って、さばさばした性格で、歯切れが良い。お互い、名前も住んでいるところも知ら
ないけれど、いろんな情報交換をしている。一回に付き、数秒からせいぜい数十秒の会
話。足は、ほとんど止めない。

たぶん、歩いている間、お互いに次の質問を考えている。かなり近づいてきたら、先に
質問した方に、質問された方が答える形式。要点で訊ねて、要点で答える。

たとえば、簡単な夕食レシピ。おいしいお店。子どもの事。仕事の事。昨日の事。その日
の午前中の行動。天候。車の買い替えの話、などなど。


夕方雨になると、彼女はさすがに来ない。むろん、たいていの人は来ない。私はマニア
なので、傘をさしても歩く。

「昨日はどうしました？」と訊かれ、「もちろん傘さして歩いたわよ～」と答えると、
チョッピリ悔しそうな顔をする。「く～っ、朝は降っていなかったのよ。やっぱり朝く
ればよかった」と。

私は猛暑の間はバテ気味で、かるく散歩程度にしていたが、馬力のある彼女は、足を緩
めない。サッサと切り上げて帰る私を、情けないような、舌打ちするような顔で見送っ
ていたっけ。

そういえば、この前たまたま行けなかった時、次の日会って「昨日は？」と訊かれ、「来
れなかったわ～」と言うと、ホッと安心したような笑顔になった。

では今度から、たまには”来なかった”ことにしようかしら、彼女の安心のタメに、
と私は思っている。



優しいあなたの”人類愛”の証明を、お願い～→→