白南風やわれ一本の岬の木 土見敬志郎
雷鳴をたどれば山椒魚の国
瞬きをして白鳥を引き寄せる
手のひらの続きに水平線の秋
陽の重み葡萄に垂れて山の国
ことごとく戦火の匂ふ曝書かな
どの木にも鳥のねむりや春の月
開く時金剛力の冬牡丹
蝦夷蟬の声を帽子に溜めてゐる
晩年や一本で足る野紺菊
白南風やわれ一本の岬の木 土見敬志郎
雷鳴をたどれば山椒魚の国
瞬きをして白鳥を引き寄せる
手のひらの続きに水平線の秋
陽の重み葡萄に垂れて山の国
ことごとく戦火の匂ふ曝書かな
どの木にも鳥のねむりや春の月
開く時金剛力の冬牡丹
蝦夷蟬の声を帽子に溜めてゐる
晩年や一本で足る野紺菊
今年90才になられるようだが…俳句作りの情熱は衰えを知らないようだ 弱輩はただ頭を垂れるのみである