…かくいへばとて、ひたぶるに閑寂を好み、山野に跡をかくさむとにはあらず。やや病身人に倦で、世をいとひし人に似たり。倩(つらつら)年月の移こし拙き身の科をおもふに、ある時は仕官懸命の地をうらやみ、一たびは佛離祖室の扉(とぼそ)に入らむとせしも、たどりなき風雲に身をせめ、花鳥に情を労じて、暫く生涯のはかり事とさへなれば、終に無能無才にして此一筋につながる。
(芭蕉の六巻二冊「猿簑集」巻六より「幻住菴記」終盤の一節)↑
毛蟲全速力やすむ毛蟲にまつろわず/青萄
…かくいへばとて、ひたぶるに閑寂を好み、山野に跡をかくさむとにはあらず。やや病身人に倦で、世をいとひし人に似たり。倩(つらつら)年月の移こし拙き身の科をおもふに、ある時は仕官懸命の地をうらやみ、一たびは佛離祖室の扉(とぼそ)に入らむとせしも、たどりなき風雲に身をせめ、花鳥に情を労じて、暫く生涯のはかり事とさへなれば、終に無能無才にして此一筋につながる。
(芭蕉の六巻二冊「猿簑集」巻六より「幻住菴記」終盤の一節)↑
毛蟲全速力やすむ毛蟲にまつろわず/青萄