読む日々

テーマばらばらの読書日記

傍聞き

2012-02-13 | 
長岡弘樹「傍聞き」


かたえぎき、と読みます。
公的な、というか人の為に働く人を題材にした4編の短編。

どれもこれも泣けました。

1本目は、救急隊員の「迷走」。間もなく義父になる人と救急車に乗っていた時、婚約者が車椅子生活になる原因を作った事故の関係者が刺された、との連絡で向かいますが、なぜか義父は病院に直行しません。

当然「復讐」かと思います。が、全然違った。すごい意外な展開で、泣けました。

2本目は女性刑事の「傍聞き」。ある作り話を人に直接話すと疑われるけど、噂のように、第三者に話すのをターゲットに聞かせて信じさせる手法みたいです。これを主人公から聞いた、小学生の娘が、意外な利用法を思いつきます。これも泣けた。

3本目は消防署員が主役の「899」。思いを寄せる女性宅の隣が火事で出動。そこには生後4ケ月の娘が寝かされていた。
これは、ちょっと後味悪かったな。でも辛い経験をした同僚が、その赤ちゃんと母親の心を救おうとした姿は泣けた。

4本目は迷い箱。犯罪者の更生施設の施設長として働く60歳の女性が主人公。過失で小学生を死なせてしまった律儀な男の償いの姿。泣けました。


初めて読む作家さんでしたが、伏線の使い方がすごい。
満足度100