読む日々

テーマばらばらの読書日記

春にして君を離れ

2019-05-16 | 小説・海外
「春にして君を離れ」
アガサ・クリスティー 中村妙子訳



よく読むブログにて紹介されていて購入。

私と同年代のイギリス婦人の内面の物語。

バグダッドに住む末娘の病気の看病のため同地を訪れ、快復を見届けてイギリスへ帰る途中、汽車の故障で、トルコ鉄道の終着駅であるテル・アブ・ハミドのレストハウスにて足止めをくらう。

客は彼女一人。他はインド人の支配人とアラブ人のボーイ、あとはコックのみ。

手持ちの本も読み終え、やることもなく彼女は砂漠で自分自身と向き合う羽目になる。


怖い。怖すぎる本。誰も死なないけどさすがアガサ・クリスティー。

我が身に置き換えてみたら、どうなんだろう?と身震いしてしまった。だけど、せっかく掴めたのに彼女はイギリスへ戻ってそれに蓋をしちゃった。

最近読んだアルケミストもヨーロッパから砂漠を超える物語だったけど、砂漠で人は何かを掴めるのかな。

何日も自分のことを考えるほか、何もすることがなかったら、自分自身についてどんな新しい発見をするか。

わたしがこれまで誰についても真相を知らずに過ごしてきたのは、こうあってほしいと思うようなことを信じて、真実に直面する苦しみを避ける方が、ずっと楽だったからだ。

でもそれでは足りなかったー愛するだけでは十分ではないのだ。

が、彼女の気づき。

思い込みで世の中を、周りを見続け生きることの恐ろしさ、を本気で感じた一冊。

自宅に辿り着き、本当は夫に気づきを伝え赦しを乞うつもりだったのに。迷った挙句、元の自分の仮面を被ってしまった主人公。

敢えて、ならいいのだけど。目を逸らしたのなら残念だなぁ。

さて。我が身に置き換えてみると。

うーん。ここ1年と少し、かなり向き合って、潜在意識のブロック外しも頑張ってきた。
自分の望みも、わかってる。つもり。
つもりだけどまだまだ感情に支配される事も多いかな。

息子が高校出るタイミングで、行動も起こして行きたいな。

いやー、めちゃ怖い一冊だけど、だけど満足度は100。