読む日々

テーマばらばらの読書日記

娘の結婚

2016-06-15 | 小説・現代
小路幸也「娘の結婚」

9歳で母を亡くした娘。男手1つで育て上げた25歳の娘が結婚したいと。相手はなんと、娘が幼い頃マンションの向かいの部屋に住んでいた一家の息子で、娘にとっては幼馴染。偶然再会したという。

昔から優しいよい子供だったし、職業も申し分ない。良縁と思われたのだが、彼の母には悪い噂が。亡くなった妻はなんと言っていたか思い出せるようなないような。

娘を想う父の葛藤。そして先方の両親と会い出た結論は。


うわー、なんかいい話!
人の印象や噂って、主観が殆どだから惑わされちゃいけないんだな、と肝に命じることができたし、主人公はどこまでも冷静で良いおとうさん!

みんな幸せに暮らせるといいな。

途中ミステリー的な要素もあるし、そして読後感が良い。ドラマにもいいかも。

満足度95。ちょっとあらすじっぽい書き方が気になった。

藪医 ふらここ堂

2016-06-09 | 小説・江戸時代
朝井まかて「藪医 ふらここ堂」



江戸時代。流行らない藪と言われる小児科医、天野三哲の娘、おゆんが主人公。
近隣の人々との温かい交流や江戸庶民の恋愛や、三哲の的確な医術、それをただ一人気づいて応援する、もと侍の薬種問屋の従業員、佐吉の過去などを描きつつ、おゆんの成長や三哲の出自などがじわじわ明かされ飽きさせない展開に一気読みでした。

子供への的確な治療をしているのに、だらしない格好やる気の無さ、口の悪さでヤブ医者扱いされてるお父さん、よかったな。

産婆のお亀婆さんが物語を締めている。

佐吉の息子、勇太君、長崎へ行く前に母親と逢えて母の愛を感じられてよかったね。

ほのぼのできるおすすめの一冊。

満足度100

銀のスケート

2016-06-03 | 絵本
「銀のスケート ハンス・ブリンカーの物語」M・Mドッジ作 石井桃子訳



19世紀のオランダ。働き者の父が事故で頭をやられ、おかしな言動を取るので母もロクに働きにも出られず貧しい暮らしを強いられているハンスとグレーテル兄妹。
冬、スケートが交通機関のようなオランダの街で、木のスケートしか持てていない兄妹。
大会で優勝すれば銀のスケートがもらえる。

偏見、イジメ、手を差し伸べる見識ある子どもたち。
父の病、医者の秘密、父と医者の息子との秘話を経て大会まで。

父の快復でいろいろスムーズに展開し、とても幸せな気持ちになれた。その為の前半の辛さなのかな。

昔書かれたお話で訳も古いので現代の子が読むのはよほど読書好きじゃないと難しいかも。内容はとても素敵だし、この訳ですらかなり端折ってあるとのことなので、さらなる簡易的な訳の本があってもいいかも。