ハブ ア ナイス doi!

いつまで続くのかコロナとの戦い。
全て解放されて、もっと、もっと
心から楽しまないとねえ。

紀ノ川

2006年11月06日 23時09分04秒 | 生活

昨日走ったのは吉野川ですが
今日、例の信号待ち読書で
小説「紀ノ川」を読了しました。
明治、大正、昭和を生きた
女の三代記。
有吉佐和子の代表的な作品です。

この小説を読もうと思ったきっかけは
僕のスポーツライフと
深く関わっているからだ。

総合三位で銅メダルをいただいた
高野山町石道クロスカントリーの
出発点である慈尊院は
この小説の出だしで
「花」という名の主人公が祖母の手をとって
石段を歩くシーンの場所。
いまもその寺には
小説の中に登場する
さまざまな乳房形(ちちがた)が収められている。
安産、授乳、子育てを祈る
民間信仰の象徴なのだそうだ。

やがて、九度山を出て
大層な嫁入り支度を積んだ
船をしつらえて
花嫁が下っていった川は
去年、生まれて初めて
カヌーに挑戦した
紀ノ川の流れのまさにその場所だった。

そして、昨年熊野古道ランの
出発点となった
紀伊六十谷。
これが花の嫁ぎ先だった。

六十谷で代議士の妻として
手腕を発揮した花。
その孫と歩いた和歌山城は
高野山ウルトラマラソンの
スタート、ゴール地点。

慈尊院、紀ノ川は知っていたが
読むに連れ
自分にも思い出深い地名が出てくるのと
親、子、孫のそれぞれの生き方が
時代を象徴しているようで
大変面白かった。

信号待ち読書で読むのは
こんな風に中に引き込まれていくような
読み物がぴったりなのかも。
早く次が読みたいというくらいの気持ちでないと
信号や車の動きが気になって
頭に入ってこないもんね。
かといってのめりこんで
交通の流れを乱してはいけない。
そんな緊張感の中で
ちゃんと頭にいれるには
それなりの興味をもって
読める本でないとねということ。

明日からの本はもう
決めて用意してある。
少し読んで、面白そうだったから
とっておいたもの
タイトルは・・・
また読んでからのお楽しみや。

話は「紀ノ川」にもどすと、
作者の有吉さんが
和歌山に住んだのが
途切れ途切れで
全部あわせても6、7年らしいのに
主人公の花が話す和歌山弁は
地元の人でさえ
文句のつけようがない
完璧なものなんだそうだ。
僕も読んでいて、
少し意味の分かりにくいところもあったけど
あるとき、その分からない部分を
口に出して読んでみたら
泉州弁と少し通じるところがあって
すっと頭に入ったのに
驚いたことがある。
ふだん何気なくしゃべってる
言葉にもこんな意味があるんや
みたいな驚きもあったよ。

自分の、身の回りでは
和歌山の橋本の人と結婚した
姉が使う言葉や
ランニング仲間の
S水クンのイントネーションが
参考になったりしたなあ。

三人三様の女性としての行き方
それと、
紀ノ川の時の流れの象徴のような悠々とした流れが
重なり織り合わさって
文字通り大河ドラマに仕上がっているのは
彼女の筆力のすごいところだ。

物語の最初の方で
主人公の花の祖母、豊乃が
「紀ノ川沿いの嫁入りは、流れに逆ろうてはならんのやえ。」
というくだりが印象的だ。
人の暮らしと自然が強く
結びついていた時代の
普通の考え方やったんやな。

流れに逆ろうてはならんのやえ・・・か、
僕も体の流れに逆らわず
自然にスポーツ続けていこうっと。