日本の三大奇祭といえば、
秋田のなまはげ、
諏訪の御柱、
吉田の火祭りが上げられる。
なかでも諏訪の御柱は、
山から切り出した巨大な樅の木に乗って、
急斜面を滑り降りるという勇壮な祭りで、
毎回けが人が絶えないことでも有名だ。
けが人が多いということでは
岸和田周辺の泉州地域で行われる
だんじりも負けてはいない。
というか別に勝つ必要はどこにもないのだが、
それほど勇壮な祭りということだ。
ところが、近年はこのだんじりが
公道を練り歩く、または駆け巡るということで、
道路交通法なるものが絡み、
警察の介入が著しい。
市民の安全を守るという意味で、
それはそれで大切なことかもしれないが、
祭りという性格上、
危険なことは一切してはいけない
というのは、
もう祭りをしてはいけない
といってるのと同じである。
多分これは、どこの祭りでもそうだろう。
安全と伝統の狭間で、
常に警察は苦悩しているに違いない。
なにせ、世知辛い世の中だからね。
何かあれば、警察の怠慢だのと
はやし立てる人々がいる。
でもさあ、祭りはやはり自己責任でしょ。
警察が許可したから、
祭りでそんな事故が起った
なんていうのは、お門違いもいいところだ。
それでも世論に耐え、
建前を通さないといけないのが警察だ。
だんじりの曳行に関連して
人身事故があった場合は、
その事故の程度によっては、
そのだんじりは以後その年の
祭りでの曳行を取りやめにする。
あるいは、警察から許可を取り上げられて、
曳行をやめさせられるということがある。
一年間、このときを楽しみに生きてきた人も
中にはいるので、
まさか曳きての捻挫くらいでは
中止にならないけど、
入院するあるいは最悪の場合亡くなる
というようなことが万が一あれば、
これはもう自主的に曳行はとまる。
それを知っている関係者は、
だから少々の怪我のことは
極力口に出さないか、
隠し通すのである。
もう時効だろうから、
ひとつの出来事を紹介をしよう。
以前、doironらが参加する祭りで
こんなことがあった。
あるだんじりが、
やりまわしをして電柱にぶつかったときに、
一緒に歩行者信号が吹っ飛び、
それが関係者の腕に当たって、
ズバッと腕に切り傷をつけたことがあった。
祭り中は、物損事故なら
その場での警察の検分も簡単に終わり、
後刻にあらためて報告をすることになっている。
だから信号が吹っ飛んだ時も
すぐに警察が駆けつけた。
そのとき警察から
「人身事故はないですか?」
と聞かれて、
「いやあ誰も怪我なんかしてませんよ」
と答えているその人の腕から
大量出血し、指先から血が滴っていた
という伝説がある。
それほど、祭りにかける人の思いは強い。
まもなく今年の祭りが始まる。
年番長としてdoironは
本部に鎮座ましまさなければならないが、
そこは一番のやりまわし場である
交差点のすぐ横である。
くれぐれも警察が駆けつけるなんてことがないように祈りたい。
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