ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「百年法(上・下)」 山田宗樹

2023年08月31日 15時37分19秒 | 作家 や行
百年法 上・下 (角川文庫)電書版 2023.8.28読了。
山田 宗樹 (著)



不老不死が実現した日本。しかし、法律により百年後に死ななければならない――西暦2048年。百年の生と引き替えに、不老処置を受けた人々の100年目の死の強制が目前に迫っていた。その時人々の選択は――!?



SF小説ではあるが、なんか近未来の日本のシミュレーションの様でもある。身につまされた。ほんとにこんな世の中になるのじゃないだろうかと思わされる真実味がそこにはあった。
国を興し、国を作り、繫栄させていく。こんなに楽しい仕事はないだろうな。なんか読んでいてストーリーとは別にそんなことをふと考えた。もう一度読みたいな。8点。

「ののはな通信」 三浦しをん

2023年08月21日 15時59分35秒 | 作家 ま行
ののはな通信  2023.8.20読了。
三浦 しをん (著) 電子書籍

横浜で、ミッション系のお壌様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。不器用にはじまった、密やかな恋。けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ…。運命の恋を経て、少女たちは大人になる。女子の生き方を描いた傑作小説。女子校で出会い、運命の恋を得た少女たちの20年超を、全編書簡形式で紡いだ、女子大河小説の最高峰。



特に後半、読むのが止まらなくなる。一人の人間としての自立した生き方が問われる。ラストが賛否あるだろうなぁ。7点。


「変な家」 雨穴

2023年08月17日 13時10分54秒 | 作家 あ行
変な家  単行本 2023.8.16読了。
雨穴 (著)

YouTubeで1400万回以上再生のバズ動画
あの「【不動産ミステリー】変な家」には
さらなる続きがあった!!

謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋——
間取りの謎をたどった先に見た、
「事実」とは!?

知人が購入を検討している都内の中古一軒家。
開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、
間取り図に「謎の空間」が存在していた。

知り合いの設計士にその間取り図を見せると、
この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が
存在すると言う。

間取りの謎をたどった先に見たものとは……。

不可解な間取りの真相は!?
突如消えた「元住人」は一体何者!?

本書で全ての謎が解き明かされる!

<目次>
第一章 変な家
第二章 いびつな間取り図
第三章 記憶の中の間取り
第四章 縛られた家



電子で読みました。
ちょっと、読んでみるつもりが、引きずり込まれ、一気読みになった。平易な文体で読みやすい。図版が所々に配置されてて読み手に親切な設計。ちょっと無理があるストーリーながら先が気になって最後まで読まずにはいられない設計!? 7点。

「JR上野駅公園口」 柳美里

2023年04月18日 13時26分34秒 | 作家 や行
JR上野駅公園口 (河出文庫) 2023.4.17読了。
柳美里 (著)

一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた――東京オリンピックの前年、出稼ぎのため上野駅に降り立った男の壮絶な生涯を通じ描かれる、日本の光と闇……居場所を失くしたすべての人へ贈る物語。解説=原武史、全米図書賞・翻訳文学部門 受賞作



どんな仕事にも慣れることはできたが、人生にだけは慣れることができなかった。人生の苦しみにも、悲しみにも、喜びにも。という一文が出てくる。大変心に残った。東北の貧しい農家ゆえの長き出稼ぎ。家庭や家族関係などはまともに構築できなかっただろう。特に子供とはどんな関係性だったのだろう。子供が生まれてから20年間も出稼ぎに出っぱなしなのだ、想像に絶する。そんな人生に慣れることなどたぶん誰もできないだろう。上野駅周辺のホームレスには東北の出稼ぎの人が多いのだそうだ。悲しいことだ。7点。

「ミヤマ物語」1~3 あさのあつこ

2023年04月14日 16時11分41秒 | 作家 あ行
ミヤマ物語 第一部 二つの世界 二人の少年 (角川文庫)  
ミヤマ物語 第二部 結界の森へ (角川文庫)
ミヤマ物語 第三部 偽りの支配者 (角川文庫) 全三冊 2023.4.13読了。
あさの あつこ (著)

階層が厳しく分けられたウンヌに暮らす少年ハギは、母親のトモと二人暮らし。彼らは最下層である「クサジ」だった。その村を統治するのは、「ミドさま」と呼ばれる存在で、その姿を見ることは決して許されなかった。ウンヌで恐れられる存在がもう一つあった。それは「マノモノ」と呼ばれるもの。その名を声に出すと口が腐り落ちると言われた。ある日、トモに死罪が言い渡される。トモはミドさまのための水を絶壁の泉から汲みあげる水汲み女だったが、そこで粗相があったというのだ。――別次元の世界、現代に生きる小学校6年の透流(とおる)はマスコミで活躍する母親のことで学校でいじめにあい、家の中でもまた孤立していた。絶望的な気持ちのまま家を出て大きなクスノキに登ってみた透流は、そこで不思議な声を聞く。「ウンヌへいけ!」生まれも育ちも、世界も違う二人の少年が出会う、運命の第一部!

死罪を言い渡された母を牢から逃がしたために、兵士から追われ負傷したハギは、ウンヌと異世界が繋がった森で透流に助けられる。透流の家で目覚めたハギは「ヒトはマノモノ」と怯えるが、介抱されるうちに徐々に心を開き自分たちの世界の話を始める……。絶対権力者のミド、厳しい階級社会、「ヒト」は恐ろしい存在で言葉にしただけで口が腐る、と言われていたこと。ミドさまが「マノモノ」から村を守っていると言われている事。そのミドさまの飲み水を汲む母親がわずかな過ちで死罪を言い渡されたこと。「おかかが殺されてしまう。おかかを助けて」ハギの必死の訴えに透流はウンヌの里へ戻ることを決める。自分がハギに出逢うために雲濡にきたことを悟る透流だった……。二人は、目の前に現れた梟の声に導かれて森の奥深くに入っていった。
大人気作家のファンタジー大作、第二部!

亡き父の生まれ故郷雲濡で不思議な少年ハギと出会った透流は、異世界「ウンヌ」の存在を知る。そこは白い髪青い肌青い目を持つ人々が住む厳しい階級社会で、絶対統治者のミドが治める世界だった。彼らは外の世界に住む透流たちを「マノモノ」と恐れ忌んでいた。しかし死刑になりそうな母親を透流とともに救いだしたハギは、ミドから間違った世界観を教え込まれていたことを知る。透流は味方になってくれた警備兵カクテたちとミドの屋敷に捕えられてしまう。一方逃げ延びたハギは村に戻り、ミドによって自分たちがだまされていたこと、もっと自由に生きられることを村人に説くのだった。ミドの正体は何者なのか、なぜ透流はウンヌに呼ばれたのか? ファンタジー大作、ついに完結!



あっという間に読んだ。面白かったが、超サクサク読めるほどに中身が軽い。NO.6ぐらいの奥深さを期待したが、このボリュームではいたしかたないか。もう少し冊数を増やしてでも重厚に書いてくれてもいいのに。
しかし、この物語の舞台になっているウンヌというところは今の日本に似てないかい。格差社会、ワーキングプア、閉塞感、政治不信、数え上げたらきりがない。小説の中も大変だったけど今の日本で生き残るには相当なサバイブ能力が必要だ。6点。

「人恋しい雨の夜に せつない小説アンソロジー」 浅田次郎 編

2023年03月02日 16時10分47秒 | 作家 あ行
人恋しい雨の夜に せつない小説アンソロジー (光文社文庫) 2023.2.27読了。
日本ペンクラブ (編集), 浅田 次郎 (編集)

T・カポーティに魯迅、「平家物語」から井上ひさし、宮部みゆきまで―。“感涙の小説家”浅田次郎が、広汎な読書体験のなかから、今なお強く胸に残る名作を精選した珠玉のアンソロジー。しみじみ心が洗われます。



「あくる朝の蝉」井上ひさし、「ひなまつり」浅田次郎はたしかに良かった。せつない。そのほかは果たして何だったんだろう?4点。

「レイクサイド」 東野圭吾

2023年02月03日 16時37分03秒 | 作家 は行
レイクサイド (文春文庫) 2023.2.2読了。
東野 圭吾 (著)

中学受験の合宿の夜、その事件は起きた……
妻は言った。「あたしが殺したのよ」。湖畔の別荘には、夫の愛人の死体が横たわっていた。四組の親子が参加する中学受験の勉強合宿で起きた事件。親たちは子供を守るため自らの手で犯行を隠蔽しようとする。が、事件の周囲には不自然な影が。真相はどこに?そして事件は思わぬ方向に動き出す。



事件の解明のために推理を展開するのが、隠蔽工作グループの中の一人というところが面白い。事件の裏にまた新たな謎が、、、。6点。

「夜明けの街で」 東野圭吾

2023年01月26日 18時35分29秒 | 作家 は行
夜明けの街で (角川文庫) 2023.1.25読了。
東野 圭吾 (著)

不倫する奴なんてバカだと思っていた。でもどうしようもない時もある――。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の秋葉と不倫の恋に墜ちる。しかし、秋葉は誰にも明かせない事情を抱えていた……。




不倫恋愛系のメインストーリーと、時効間近の殺人事件の謎。並行して描かれていて、どっちも面白いが、やはり最後は薄いエンディング。いいんだけど、深みが欲しい。5点。

「コゴロシムラ」 木原音瀬

2023年01月23日 16時35分09秒 | 作家 か行
コゴロシムラ (講談社文庫) 2023.1.23読了。
木原音瀬 (著)

カメラマンの仁科は、雑誌の取材のため、ライターの原田と山深い神社を訪れた。が、篠突く雨が降る夕暮れ、携帯が繋がらない山道で迷い、おまけに原田は足を捻挫してしまう。ようやく古い民家に辿り着き、老婆の厚意で泊めてもらうことになったが…。仁科は、コゴロシムラと呼ばれるその村で、出口のない恐怖に晒される。
木原音瀬が挑んだ、ホラー&ミステリーの傑作。流麗な中村明日美子のイラストや、文庫オリジナルショートストーリーにも注目!




ホラーだろうか。あまり怖くもない。でも、しっかりストーリーは練られていて退屈しない。事件の裏に隠されていた事実とは?てな感じ。また違った意味でちょっと驚かされる小説ではある。6点。

「粘膜戦士」 飴村行

2023年01月18日 20時09分05秒 | 作家 あ行
粘膜戦士 (角川ホラー文庫) 2023.1.18読了。
飴村 行 (著)

占領下の東南アジアの小国ナムールで、大佐から究極の命令を下された軍曹。抗日ゲリラ、ルミン・シルタと交戦中、重傷を負い人体改造された帰還兵。複雑な家庭事情を抱え想像を絶する悲劇に見舞われる爬虫人好きの無垢な少年。陸軍省の機密書類を盗み出そうとして捕らわれた2人の抗日分子。そして安住の地を求めて山奥に辿り着いた脱走兵…。戦時下で起こる不可思議な事件。目眩く謎と恐怖が迫る、奇跡のミステリ・ホラー。



なんか粘膜シリーズは読む前からワクワクする。そして読み始めてその独特の世界観にやっぱこれこれとなる。これはグロいのか、はたまたエロいのか、確かなことはミステリーホラーではないような気がする。7点。