ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「ののはな通信」 三浦しをん

2023年08月21日 15時59分35秒 | 作家 ま行
ののはな通信  2023.8.20読了。
三浦 しをん (著) 電子書籍

横浜で、ミッション系のお壌様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。不器用にはじまった、密やかな恋。けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ…。運命の恋を経て、少女たちは大人になる。女子の生き方を描いた傑作小説。女子校で出会い、運命の恋を得た少女たちの20年超を、全編書簡形式で紡いだ、女子大河小説の最高峰。



特に後半、読むのが止まらなくなる。一人の人間としての自立した生き方が問われる。ラストが賛否あるだろうなぁ。7点。


「コンビニ人間」 村田沙耶香 読了!

2019年12月12日 20時46分48秒 | 作家 ま行
コンビニ人間 (文春文庫) 2019.12.12読了。
村田 沙耶香 (著)

「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。



これはかなり読む人によって賛否両論だろうな。自分は面白かったし、小説として成り立っていれば、こういうのもありなんだなと思った。時代的にも感慨深いし。
マニュアル至上主義のコンビニでは店員になりきり、そして優秀な店員になりすまし、幸福な生活を送っている。が、その他ほとんど病人。廃人。だから、コンビニの店員を辞めた途端、生きる気力を失いほぼ廃人にもどる。そういう病気があるのかもしれないがまさにこの主人公はコンビニ人間という種族。新種?
この設定はすばらしいんじゃないだろうか? 小説界にはこういう新しい衝撃波も必要だろう。だから芥川賞なんだろう。…7点。

「殺人出産」村田沙耶香 読了!

2019年11月08日 21時27分29秒 | 作家 ま行
殺人出産 (講談社文庫) 2019.11.7読了。
村田 沙耶香 (著)

今から百年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」で人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日、突然変化する。表題作他三篇。



「殺人出産」「トリプル」「清潔な結婚」「余命」の四編からなる短編集。
なんか前に読んだ「消滅世界」とかぶってないかー? 気のせい? なんかどの話も、リアリティがないんだよね。なので感情が入っていかない。…4点。

「消滅世界」 村田沙耶香 読了!

2019年10月30日 14時40分38秒 | 作家 ま行
消滅世界 (河出文庫) 2010.10.29読了。
村田沙耶香 (著)

セックスではなく人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、「両親が愛し合った末」に生まれた雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。清潔な結婚生活を送り、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。だがその“正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園で一変する…日本の未来を予言する傑作長篇。




村田さん初読みです。どうも前半から中盤にかけてのらない。なんだろ?途中で投げそうになったりもする。最終章に入ったとたん物語は急展開、そしてちょっと衝撃的なラストまで一気に。
常識とは何か? 普通とは何か? やはりいつもその辺、気にして生きていったほうがいいですね。100年前の常識は今では非常識ですからね。…5点。

「望郷」湊かなえ 読了!

2019年10月22日 19時30分29秒 | 作家 ま行
望郷 (文春文庫) 2019.10.22読了。
湊 かなえ (著)

暗い海に青く輝いた星のような光。母と二人で暮らす幼い私の前に現れて世話を焼いてくれた“おっさん”が海に出現させた不思議な光。そして今、私は彼の心の中にあった秘密を知る…日本推理作家協会賞受賞作「海の星」他、島に生まれた人たちの島への愛と憎しみが生む謎を、名手が万感の思いを込めて描く。



「みかんの花」「海の星」「夢の国」「雲の糸」「石の十字架」「光の航路」の六篇を収録。
それほど、イヤな話はありませんが。ミステリーあり、どんでん返しあり、どの短編も面白かった。ジャンルがどうのこうのではなく小説として面白い。…7点。

「イヤミス短篇集」 真梨幸子 読了!

2019年09月19日 19時23分11秒 | 作家 ま行
イヤミス短篇集 (講談社文庫) 2019.9.18読了。
真梨 幸子 (著)

小学生の頃のクラスメイトからかかってきた一本の電話。「覚えている?会おうって約束したこと」。その声から蘇る、憧れだった美少女の顔。それはノストラダムスが人類滅亡を予言した一九九九年七月の出来事だった(「一九九九年の同窓会」より)。他人の不幸は蜜の味。甘い六篇が詰まった著者初の短篇集。

<収録作>
「一九九九年の同窓会」……ノストラダムスの大予言の世紀末にかかってきた一本の電話。
「いつまでも、仲良く。」……ダイエットに成功して生まれ変わった私が戻る場所は。
「シークレットロマンス」……どこの会社にも知られざる、そして秘められた恋がある。
「初恋」……居酒屋にあった「ルサンチマンノート」。そこで懐かしい名前を見つけた。
「小田原市ランタン町の惨劇」……遊びだけのはずだった女。だけど気になる最後のメール。
「ネイルアート」……入り込んでしまったネットの匿名掲示板。名無しの女はだいたい怖い。



いや~、どの短編もよく出来ていて、グロく、そしてエロく、いい塩梅にイヤーな気分にさせてくれる。安定の面白さ。…6点。ここにもまたゴールデンアップル出てきた(笑)


「100万円で家を買い、週3日働く」 三浦展 読了!

2019年02月19日 19時25分26秒 | 作家 ま行
100万円で家を買い、週3日働く (光文社新書) 2019.2.19読了。
三浦展 (著)

お金をかけずに、豊かで幸せな生活を実践する人々の事例を、「再・生活化」をキーワードに紹介・解説。それは、(1)物の豊かさから人間関係の豊かさへ、(2)私有からシェアへ、(3)シンプル・ナチュラル・手作り志向、(4)日本・地方志向、の4つがカギとなる。モノやお金では幸せを感じられない現代人にとって理想の生き方とは?



ちょっと、思ったのと違った。
タイトルにあるように、100万円で家を買い、週3日働く的な生活には興味があるが、
昭和のエロとか、スナックとか、流しとか屋台とか、etc 興味が持てなくて斜め読み。…3点。

「かまいたち」 宮部みゆき 読了!

2018年08月16日 22時32分24秒 | 作家 ま行
かまいたち (新潮文庫) 2018.8.16読了。
宮部 みゆき (著)

夜な夜な出没して江戸市中を騒がす正体不明の辻斬り“かまいたち”。人は斬っても懐中は狙わないだけに人々の恐怖はいよいよ募っていた。そんなある晩、町医者の娘おようは辻斬りの現場を目撃してしまう…。サスペンス色の強い表題作はじめ、純朴な夫婦に芽生えた欲望を描く「師走の客」、超能力をテーマにした「迷い鳩」「騒ぐ刀」を収録。宮部ワールドの原点を示す時代小説短編集。



宮部みゆきさんは後になって、時代小説を書くようになったのかと思っていましたが、原点の作品集に時代物があるのだから、最初から書いていたのですね。「かまいたち」が文句なく面白い。人物描写も謎解きの楽しさもほんとよく出来てます。デビュー前の作品とは信じられん。…7点。

「人質カノン」 宮部みゆき 読了!

2018年08月14日 20時08分35秒 | 作家 ま行
人質カノン (文春文庫) 2018.8.14読了。
宮部 みゆき (著)

「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作、タクシーの女性ドライバーが遠大な殺人計画を語る「十年計画」など、街の片隅、日常に潜むよりすぐりのミステリー七篇を収録。



人質カノン、十年計画、過去のない手帳、八月の雪、過ぎたこと、生者の特権、漏れる心 7編からなる短編集。サスペンスとなっているが、どれもこれもヒューマン系のお話。「生者の特権」が好きかな、そしてやっぱり日常を生きていくみたいな。…6点。

「きみがつらいのは、まだあきらめていないから」 盛田隆二読了!

2018年03月06日 20時32分03秒 | 作家 ま行
「きみがつらいのは、まだあきらめていないから」 (角川文庫) 2018.3.6読了。
盛田 隆二 (著)

昼間は風俗で働く専業主婦、衝動的に彼に暴力を振るってしまう会社員、不倫が夫にばれて歳下の男と逃避行する女…今にも壊れてしまいそうな日々の中で、悲しみを背負った孤独な女性たち。そして、彼女たちを支えようとする不器用な男たち。誰かとつながっていたい、愛されたい。そんな切ない思いを胸に、彼女たちは懸命に“いま”を生き抜いていく。『夜の果てまで』の著者が丹念に描く、ひかり射し込む7つの再生の物語。


短編なんで、さらりと終わるけど、また、こういうのどれもうまくまとめられていて、いいっすね。盛田さん。
なかでも、「夜の果てまで」の元となったという、「舞い降りて重なる木の葉」がいい。
せつなくて、せつなくて、それがまたいい。「夜の果てまで」が読みたくなった。…6点。