ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「硝子の鳥」 新堂 冬樹 読了!

2014年09月22日 13時23分28秒 | 作家 さ行
「硝子の鳥」[角川文庫] 新堂 冬樹 (著)  2014.9.9読了 。

すべてを隠し潜入捜査を行う美貌の女公安刑事・梓。捜査情報と引き換えにヤクザの上がりをかすめる悪徳警官・佐久間。コリアンマフィア「朝義侠」の残虐非道なリーダー・李。新宿、大久保を舞台に、覚醒剤の密売をめぐって3人の欲望と思惑が入り乱れる。いったい誰が味方で、誰が敵なのか。そして裏切りと不信のうちに訪れた、驚愕の結末とは…。ノワール小説の帝王・新堂冬樹が描く初めての警察小説。一気読み必至の傑作!!



新堂氏初の本格警察小説ということだったけど、やっぱ普通の警察小説にはならないのね。警察の人が主人公のいつもの新堂作品といったところです。まあ、でもそれなりに面白かったし、なんかグレー新堂って感じかな。ところどころ白いところがミソ。
ラストのどんでん返しがまあ読めちゃうところもらしくて良いのではないかい。…6点

「バスジャック」 三崎 亜記 読了!

2014年09月18日 14時07分37秒 | 作家 ま行
「バスジャック」[集英社文庫] 三崎 亜記 (著)  2014.9.5読了 。

今、「バスジャック」がブームである―。バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。



「二階扉をつけてください」「しあわせな光」「二人の記憶」「バスジャック」「雨降る夜に」「動物園」「送りの夏」の7作品を収録。
なんか違和感が残るものから、すとんと腑に落ちるものまでさまざま。作品の長さもショートショートと呼べるものから中篇までさまざま。
そうなんだろうけど、非凡な才能なんだろうけど、俺の数多い突っ込みどころは誰が解消してくれるのか?って感じです。
ただ、「送りの夏」は大好きです。これは突っ込み別にないです。…6点

「血塗られた神話」 新堂冬樹 読了!

2014年09月15日 14時31分55秒 | 作家 さ行
「血塗られた神話」[幻冬舎文庫] 新堂冬樹 (著)  2014.9.3読了 。

「悪魔」と恐れられた街金融の若き経営者・野田秋人。彼のまわりで、関係する人が次々と惨殺されていく。常軌を逸した連続猟奇殺人の目的とは!?「金」ほど人間の本性を剥き出しにし、争いごとを生む物はない。人の命など毛ほどの重さも持たぬ街金融の世界で修羅を生きる著者ならでは、超リアルな問題作。


なにせ、デビュー作ですからね。そりゃー、原点ですよ。
街金界で「悪魔」と恐れられていた野田が主人公。悪魔ねぇ~、のちのちの新堂作品の極悪な主人公から見れば、「天使」に見えますが。
読んでみると、これはこれで、サスペンス小説としてなかなか面白いんですが、それより、ストーリーではなく、そこかしこにその後の名作の卵が散らばっている点ですね。ここから「カリスマ」が、「無間地獄」が、白新堂の純愛路線が、その他もろもろと、垣間見れて面白かったですね。…6点

「沈黙」 遠藤 周作 読了!

2014年09月11日 21時34分49秒 | 作家 あ行
「沈黙」[新潮文庫] 遠藤 周作 (著)  2014.8.30読了 。

島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。



ほんとに心底、宗教の教義とはなんなのか?と考えさせられる作品でした。同じ状態だったらキリスト本人ならどうするのか?まったく無信心なおれが考えてもわからないけど、「神も仏もあるものか」ってな言葉があるように、だいたい助けてほしい時に、神は〈神の沈黙〉ってやつだよね。宗教色は強いが、歴史小説としても十分楽しめた。…7点

「無間地獄」 新堂 冬樹 読了!

2014年09月10日 13時23分31秒 | 作家 さ行
「無間地獄」[単行本幻冬舎] 新堂 冬樹 (著)  2014.8.27読了 。

サラ金、街金はまだ甘い。最底辺の闇金は生け贄の全てを奪う。財産、職場、家庭、人権。女は肉体、男は臓器。金のためなら命も狙う。人はどこまで堕ちるのか。神への謀反か、悪魔への追従か。逃げるろくでなし、追う人でなし。騙し、騙され、裏切り、嵌める。獰猛な獣たちが咆哮する殺戮と禁断のエクスタシー。


文庫本借りられなくて、単行本で読んじまったよ。458ページって電車の中で読むには重過ぎるが、面白ければ関係ない。この本が新堂さんの闇金系の中では一番面白かったかな。ある意味驚愕のラストだったし。本は借りてもいいけど、金は借りるもんじゃないね(うまい!)。…7点。

「その日のまえに」 重松 清 読了!

2014年09月06日 16時34分00秒 | 作家 さ行
「その日のまえに」[文春文庫] 重松 清 (著)  2014.8.25読了 。

僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。


気をつけていたのに、電車の中なんかはとくに。いくつかの感涙ポイントを過ぎ、自信過剰になっていた俺は、「赤い歯ブラシ」のあたりでやられてしまった。最悪なことに電車の中だった。
ある日突然訪れる病魔、余命、死といった人生の突然の終わりをどうやってうけとめて、その後、残されたものがどうやって生きていくのかが書かれている。戸惑うし、悲しむし、悔しいし、でもどうにかこうにか受け止めて「その日」に対峙する、本人や、家族の姿。いま思い出しても悲しくなる。
なんか思うのはやっぱさあ、大切なのはさあ、日常のあたりまえを幸せと感じ、一緒にいてくれる人に感謝しながら生きていくことなんだ。とか思ったよ。…7点。

「旅のラゴス」 筒井 康隆 読了!

2014年09月05日 20時31分38秒 | 作家 た行
「旅のラゴス」[新潮文庫] 筒井 康隆 (著)  2014.8.22読了 。

北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。


前から、読もう読もうと思っていてなかなか読まなかった作品。読んでよかった。
なんだろな言葉では言い表せない読後感。人生を垣間見たような、長い旅をしたような。薄い本なのにちょっと疲れた感じ。
この主人公にとって生きるということは、いろいろな経験を重ねることであり、それは旅なんだろうな。こんな一文がこの本の終わりに出てくる…
「わたしは、そもそもがひとつ処にとどまっていられる人間ではなかった。だがら旅を続けた。それ故にこそいろんな経験を重ねた。旅の目的はなんであってもよかったのかもしれない。たとえ死であってもだ。人生と同じようにね。」
やはり、生きるということは、死ぬことなんだよな…8点。

「ゆりかごで眠れ」 垣根 涼介 読了!

2014年09月04日 21時09分58秒 | 作家 か行
「ゆりかごで眠れ」(上・下)[中公文庫] 垣根 涼介 (著)  2014.8.20読了 。

凄絶な幼少期を過ごしながらも、コロンビア・マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。その彼が、ひとりの少女を伴い来日した。目的はライバル組織に売られ、日本警察に勾留されている部下の奪還と復讐、そして…。ひとりの男と、彼に纏わる人間たちの愛憎を描く傑作巨篇。


クールでかっこいいし、人間の心の奥底の闇も丁寧に描かれ、面白い小説だった。前半のコロンビア編はなかなかなんだけど、日本に着いてからがいまいちかな? どうしても垣根さんの南米物っていうと自分は「ワイルド・ソウル」レベルを期待して読んじゃうんで、物足りない。…6点。

「整形夫婦 アンチエイジング」 新堂冬樹 読了!

2014年09月02日 14時04分28秒 | 作家 さ行
「整形夫婦 アンチエイジング」[ポプラ文庫] 新堂冬樹 (著)  2014.8.17読了 。

夫に愛されなくなった妻とかつての「若さ」を取り戻したかった夫。『老いる』ことは罪で、『若さを保つ』ことが正義なのか?「老い」に過剰に抗う二人の切実で滑稽な姿から「アンチエイジング」の功罪が浮かび上がる新堂冬樹の異色小説。



なんだろうなこれ、「アンチエイジング」とか「整形」の話しではじまって、いつのまにやら得意の借金まみれの無間地獄状態突入。成れの果てはお決まりのパターンでした。なんか中途半端。…5点。