ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「女王」(上・下) 連城三紀彦

2022年03月17日 17時16分44秒 | 作家 ら行
女王(上・下) 講談社文庫 2022.3.16読了。
連城三紀彦 (著)

戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と会っていたことを。一方、史郎の祖父・祇介は、大晦日の夜にかかってきた一本の電話を受け、急遽旅に出た後、遺体となって発見された。邪馬台国研究に生涯を捧げた古代史研究家であった祇介が、吉野へ向かい若狭で死んだのはなぜなのか。瓜木は史郎と彼の妻・加奈子とともに奇妙な記憶と不審な死の真相を探るが。



だいたいにして、スケールが大きすぎる話は最後に話が破綻したり、風呂敷を広げすぎたために収集つかなかったりということが得てしてあるがさすがは連城さん、うまくまとめてます。しかも、お得意の人間の情念をうまく織り込んでいくあたりこの人にしか書けない物語だと思います。ただ、最初読み始めた時のワクワク感が中盤の何度も同じような内容の繰り返しにしぼんでいき、一気読みというところまで没入できませんでした。ちょっと残念。6点。

「格差社会で金持ちこそが滅びる」  ルディ― 和子  2015.9.24読了!

2015年09月24日 16時31分57秒 | 作家 ら行
格差社会で金持ちこそが滅びる (講談社+α新書) 2015.9.24読了
ルディ― 和子 (著)

日本人はウェットでアメリカ人はドライ、日本人は優しくて思いやりがあふれる……巷あふれる日本人論は本当なのだろうか? 気鋭のビジネス評論家が人類の起源、国際慣習から「常識のウソ」を突き、真の成功法則と日本人像を提言する!



日本人とアメリカ人ついての勘違い、贈り物やプレゼントのこと、人類皆平等の話、日本企業内の嫌がらせ、意地悪の話などなど。
確かに格差社会と富裕層の話などもありますが、どちらかというと、日本人マーケティング論という感じの本でした。
題名で買った人はなんだこれってなると思います。…3点。

「日曜日と九つの短篇」 連城 三紀彦 読了!

2015年03月31日 16時06分31秒 | 作家 ら行
「日曜日と九つの短篇」 [文春文庫] 連城 三紀彦 (著)  2015.3.31読了 。

見知らぬ男の後妻となるホステス(「日曜日」)、20年前の恋人と再会するやくざ(「裏町」)、腹違いの子を育てる玩具店の女房(「棚の隅」)…。名作『恋文』の直後に書かれ、裏町に住むさまざまな人々の胸の思いをあざやかに掬い上げて、著者の新たなる到達点を示した珠玉の10篇を収録する短篇集。


たしかにうまいよなぁ。なんていうかなんでも物語にしちゃう。とくになんもない日常の中から物語りが作られていくんだけど、「母の手紙」だけは特別、なんかすさまじい。…6点。

「恋文」 連城 三紀彦 読了!

2015年03月03日 22時29分43秒 | 作家 ら行
「恋文」 [新潮文庫] 連城 三紀彦 (著)  2015.3.3読了 。

マニキュアで窓ガラスに描いた花吹雪を残し、夜明けに下駄音を響かせアイツは部屋を出ていった。結婚10年目にして夫に家出された歳上でしっかり者の妻の戸惑い。しかしそれを機会に、彼女には初めて心を許せる女友達が出来たが…。表題作をはじめ、都会に暮す男女の人生の機微を様々な風景のなかに描く『紅き唇』『十三年目の子守歌』『ピエロ』『私の叔父さん』の5編。直木賞受賞。


さすがは直木賞と思えるんだから…。直木賞作品は読む時に自分でハードル上げちゃうんで、読んでから、なんでこれが? なんてことも多い。でも、この「恋文」は直木賞で当たり前なのだ。なんか普通にある普通の風景、夫婦関係。一見普通なんだけどそこから普通じゃないものが浮かび上がってくる時の驚愕。やっぱ恋愛とは一種のミステリーなんだなぁと思わせてくれる作品群。特に好きなのが『紅き唇』かな。…8点。