ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「ラバー・ソウル」 井上夢人読了!

2016年01月27日 14時43分21秒 | 作家 あ行
ラバー・ソウル (講談社文庫) 2016.1.26読了。
井上 夢人 (著)

幼い頃から友だちがいたことはなかった。両親からも顔をそむけられていた。36年間女性にも無縁だった。何度も自殺を試みた―そんな鈴木誠と社会の唯一の繋がりは、洋楽専門誌でのマニアをも唸らせるビートルズ評論だった。その撮影で、鈴木は美しきモデル、美縞絵里と出会う。心が震える、衝撃のサスペンス



<読んでも大丈夫です。ネタバレ無しです>

醜悪な容姿の引きこもりが、美しいモデルに引かれ、
ストーカー行為や殺人と犯罪を重ねていく。
異常犯罪者特有の、妄想、妄言の独白が後半までの読みどころか。

ただ、同じことを複数の人間が語るので、途中、ちょい読み飛ばしたくなる。
本文が670ページにも及んだのは、こんな構成が原因か。

なんだか、ちょいと飽きつつも、最終章へむかい、
……「???」!

まあ、このラストにも賛否両論あるでしょうけど、
しかし、このどんでん返しのための、この長さ。
しかも、絶対この落ちはフェアじゃない。
結局、ムダに長い。…4点。

「ジウ〈1〉」―警視庁特殊犯捜査係 誉田哲也読了!

2016年01月21日 19時54分22秒 | 作家 は行
ジウ〈1〉―警視庁特殊犯捜査係 (中公文庫) 2016.1.21読了。
誉田 哲也

都内の住宅地で人質篭城事件が発生した。所轄署や機動隊とともに警視庁捜査一課特殊犯捜査係が出動し、門倉美咲巡査は差し入れ役として犯人のもとへ向かうが―!?篭城事件と未解決の児童誘拐事件を結ぶ少年、その背後で蠢動する巨大な事件とは?ハイスピード、未會有のスケールで描く新・警察小説。




まず主人公の二人、なんか極端に対比させているのか、読んでいてイライラする。
目をキラキラさせた天使のような女刑事と筋トレしまくるバイオレンス女刑事。
現実味がないんだよなぁ、二人の設定もストーリーも。
これじゃー、やっぱりテレビドラマになっちゃうよね。
サッーと読めればいいっていう人にはいいかも。
続き物なんだけど、どうすっかなぁ。…5点。

「少女達がいた街」 柴田よしき読了!

2016年01月19日 15時49分35秒 | 作家 さ行
少女達がいた街 (角川文庫) 2016.1.19読了。
柴田 よしき (著)

1975年、渋谷。ロックの熱狂が鳴り響く街に16歳のノンノはいた。親友チアキはバンドの道を突き進む。ノンノは自分に似た少女ナッキーと出会い、惹かれ始める。それぞれの青春は光に満ちていった。しかしそこに見えない影が差す。不可解な出火事件。焼け落ちたノンノの家からは二つの焼死体と一人の記憶を失った少女が発見された。21年後、既に時効になったこの事件をたったひとりで堀り起こす刑事がいた。そこにはあまりにも意外な真実が…。宿命に操られる少女達ふたりの魂の謎を追い、青春と人生の哀歓を描いた、横溝正史賞受賞女流の新感覚ミステリ。



自分は、この手の話は苦手かもしれない。
しかし、柴田よしきさんの最高傑作としてあげる方も多く、途中で放り出してもいいかと読み始めた。人の言うことは聞いてみるもんだね。
作品は2部構成になっている。前半は1975年、ロック少年、少女達のまぶしいような青春時代。後半は1996年、雰囲気は一転してミステリーとして、21年前(1975年)の事件の謎が解き明かされていく。
前半も予想外に面白いのだが、ともかく後半、ひとつひとつ解き明かされていく真相に胸がしめつけられる。二転三転とする濃厚なストーリーも読み応え十分。
そして、物語のクライマックス、すべてが解き明かされたとき、心にしみる青春と人生の悲しみと哀愁。絶対に自信をもってすすめられる一冊。…9.5点。

「地獄行きでもかまわない」大石 圭読了!

2016年01月18日 13時48分47秒 | 作家 あ行
地獄行きでもかまわない (光文社文庫) 2016.1.16読了。
大石 圭 (著)

冴えない大学生の南里遼太郎は、合コンで出会った夕紀の眩しいまでの美貌が忘れられなかった。彼女の歓心を買うために吐いた、たったひとつの、しかし大きな嘘。それが彼の運命をねじまげてゆく。夕紀を手放したくない一心で嘘を塗り重ね、殺人まで犯してしまうのだが…。虚飾の幸せの果て、愚かな男を待つ凄まじいまでの悲劇とは?戦慄のクライムサスペンス!



破滅するの好きです。
クライムサスペンス大好きです。
でも、この小説はいただけません。
まず、最初の嘘に無理がありすぎるし、
その嘘に嘘を塗り重ねるたびに、ありえないほど、
都合よく、物語が展開。
もう、現実味なんか、まったくない。
そして、新たな展開もなく物語りは終了。
大石さんの作品としてはもうどうしょうもなく、駄作。…4点。

「ストロベリーナイト」 誉田哲也読了!

2016年01月15日 13時47分02秒 | 作家 は行
ストロベリーナイト (光文社文庫) 2016.1.14読了。
誉田 哲也 (著)

溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。



このところ、女性を主人公とした警察ものを探して読んでいる。
ので、誉田さんとストロベリーナイトシリーズ初読みです。

どっからか、いいとこ取りしてきたような印象。
いきなりのグロい猟奇的な殺人事件や、
主人公に暗い過去とか、刑事になりたいと思った理由とか、
性同一性障害や多重人格などの精神疾患とか
敵対する刑事との確執などなど、どっかで読んだことがあるような。
しかも、わかりやすい真犯人。

また、詰め込みすぎなのか、じっくりと主人公を描けていない。
人物像が薄っぺらく、警部補としての重みがないし、
事件の解決は思いつきに頼る。なんか、リアル感がない。キレがない。
女刑事を主人公に書くには女性の作家さんの方が、
うまく描けるのかもしれないなぁ。

ドラマのような軽いストーリー展開と、
脇役のキャラが良いので、まあ読めた。…5点

「さわらないで」 新津きよみ読了!

2016年01月13日 13時26分00秒 | 作家 な行
さわらないで (祥伝社文庫) 2016.1.12読了。
新津きよみ (著)

夫・夏彦の浮気が原因で、5年の結婚生活に終止符を打った恵子。再就職先を捜し始めた矢先、夏彦の母・妙子が一緒に暮らそうと押しかけてきた。元義母に義理はない。恵子は拒否したが、その時、彼女は驚くべき脅迫の言葉を吐いた。「あなたの秘密を知っているのよ」…なぜあのことを?ストーカーと化した元姑。恐怖の共同生活の行く末に待つ殺意とは…!?心理サスペンスの傑作。


タイトルにつられて読んでみたが。
まあ、読みやすく(読みやすすぎる)、暇つぶしにはなるかもしれんが。

カバーに「ホラー書き下ろし」とか書いてあるけど…。
どこが、ホラーなのか?
まったく、怖くもないし、面白くもない。

小説かね、これ?
女性週刊誌かよ。…3点。

「この闇と光」 服部まゆみ 読了!

2016年01月12日 15時37分57秒 | 作家 は行
この闇と光 (角川文庫) 2016.1.12読了。
服部 まゆみ (著)

森の奥に囚われた盲目の王女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた…はずだった。ある日そのすべてが奪われ、混乱の中で明らかになったのは恐るべき事実で―。今まで信じていた世界そのものが、すべて虚構だったのか?随所に張りめぐらされた緻密な伏線と、予測不可能な本当の真相。幻想と現実が混ざり合い、迎えた衝撃の結末とは!?至上の美を誇るゴシックミステリ!




主人公がひたすら求めるのは、虚名とも金銭とも結びつかない。真に己の魂を震わせる「美」であり魂によって選び抜かれた「極上の物」。(本文より引用)

少しでも、ネタバレすると後から読まれる方に失礼ですから、
ホントに書きたいことは書けないのですが…。

最近あまりお目にかかれない耽美な世界観をもつ小説。
しかも、本来のゴシックミステリーとしても傑作。
中盤からのいくつかのどんでん返しがあり、
夢と現世が交錯するような、まさに闇と光で彩られた上質な物語は意外な結末に辿りつく。
しばらく、余韻に浸っていた。
また読み返してみたい。誰にも邪魔されないところでひっそりと。…9.5点。

「ヤンのいた島」 沢村凛 読了!

2016年01月06日 17時07分20秒 | 作家 さ行
ヤンのいた島 (角川文庫) 2016.1.6読了。
沢村 凛 (著)

服従か抵抗か。暴力か非暴力か。選ぶ未来の形は―ゲリラの頭目と1人の女性の物語。南の小国・イシャナイでは、近代化と植民地化に抗う人々が闘いを繰り広げていた。学術調査に訪れた瞳子は、ゲリラの頭目・ヤンと出会い、悲しき国の未来をいくつも味わっていく。「瞳子。世界はぼくたちを憎んでいるのだろうか」。力弱き抵抗者、ヤンたちが掴んだものは? 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。



主人公の瞳子は鼻行類「ダンボハナアルキ」を
求めて内乱のつづく南の小国へ。
反乱軍の指揮官ヤンがいる島。

夢と現実の平行世界を中心に話が進んでいくが、
当初、この平行世界がわかりにくく、読みすすめにくかった。

しかし、中盤、主人公が反乱軍と意思を同じくするあたりから
一気に物語りは加速。

手に汗を握りながら、
主人公同様、この小国の未来に思いをかける。
小さな島国の大きな物語だ。
ラストに向かい、鼻行類「ダンボハナアルキ」の話も効いてくる。

この物語のラストには賛否両論あるようだが、
自分は、このラストが好きだ。…8点。

「イニシエーション・ラブ」 乾くるみ 読了!

2016年01月05日 16時28分17秒 | 作家 あ行
イニシエーション・ラブ (文春文庫) 2016.1.2読了。
乾 くるみ (著)

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。




だまされるもんかと警戒して読んだのに、確かにだまされはしたけど。
でも、こういう手法を恋愛小説に用いる必要性があるのだろうか?
まあ、ミステリーともとれなくもないが、
それは、叙述トリックを使ったからであって、
内容はなんかどっかひっかかるちょっと変な恋愛小説だ。
別に、二度読みたくならなかったけどな。…5点。