ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「女王」(上・下) 連城三紀彦

2022年03月17日 17時16分44秒 | 作家 ら行
女王(上・下) 講談社文庫 2022.3.16読了。
連城三紀彦 (著)

戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と会っていたことを。一方、史郎の祖父・祇介は、大晦日の夜にかかってきた一本の電話を受け、急遽旅に出た後、遺体となって発見された。邪馬台国研究に生涯を捧げた古代史研究家であった祇介が、吉野へ向かい若狭で死んだのはなぜなのか。瓜木は史郎と彼の妻・加奈子とともに奇妙な記憶と不審な死の真相を探るが。



だいたいにして、スケールが大きすぎる話は最後に話が破綻したり、風呂敷を広げすぎたために収集つかなかったりということが得てしてあるがさすがは連城さん、うまくまとめてます。しかも、お得意の人間の情念をうまく織り込んでいくあたりこの人にしか書けない物語だと思います。ただ、最初読み始めた時のワクワク感が中盤の何度も同じような内容の繰り返しにしぼんでいき、一気読みというところまで没入できませんでした。ちょっと残念。6点。

「愛についての感じ」 海猫沢めろん

2022年03月08日 19時57分58秒 | 作家 あ行
愛についての感じ  講談社文庫 2022.3.7読了。
海猫沢めろん (著)

レザーフェイスと呼ばれる男は、阿佐ヶ谷駅前で切り絵をする女の子に出会った。プレゼントは渡せないし、メールは送れない。奥手すぎる男の淡く儚い恋の物語(「初恋」)。東のヤクザである金城は、西の色町で働くたま子に惹かれていく。想いがなかなか交わらないまま、不器用な二人は最後の日に通天閣に登ることに(「新世界」)。はみ出し者たちが、街の片隅で出会い、不器用に奏でる切ない恋模様を描く5編の作品集。



久々に紙の本を読んだので更新。最近は電子でラノベばかり読んでました。
なんだろうなぁ、この不思議な小説は。愛についての感じって何なんだろう? 色々と解釈に困る文章も多いし、難解である。そんな話が多い中で、「新世界」だけは直球で、あれ? ひょっとして作者さんにとってはこちらが変化球か? まあ、とにかく「新世界」は良かった。5点。