ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「緩やかな反転」 新津きよみ

2022年05月30日 13時10分09秒 | 作家 な行
緩やかな反転 (角川文庫) 2022.5.30読了。
新津 きよみ (著)

亜紀子はある日、見知らぬ女性の訪問を受けた。最後の記憶は、訪問者を玄関に請じ入れたこと。だが、次に気付いたとき、亜紀子は血のついた野球のバットを握り、床に倒れた“自分自身”を見下ろしていた! 加害者の姿になって行き場を失った亜紀子は、その女性の持ち物から調べた住所へ、やむなく足を運ぶ。なぜ“私”は彼女に殺されなくてはならなかったのか?対照的な2人の女性の人生が交錯する、サスペンスミステリ。



いやー、面白かった。どうなるのか先が気になって気になって、ページをめくる手が止まらず、ほぼ徹夜。こんなこといつ以来だろう。最初から最後まで面白いなんてスゴイ。9点。

「信長と征く」1&2 転生商人の天下取り 入月 英一

2022年05月26日 17時22分49秒 | 作家 あ行
信長と征く1&2 転生商人の天下取り (講談社文庫) 2022.5.26読了。
入月 英一 (著)

1あらすじ
時は戦国、桶狭間の戦いに勝利した織田家に大博打を仕掛け、その度胸と知恵から信長に一目置かれた商人がいた。
名は大山源吉、21世紀から時を遡り転生したという秘密を持つ男だ。
誰が覇者になるか、史実を知る彼の野望は信長を支えつつ、銭の力で天下を取ること。
現代知識を武器に商人としての闘いが始まる。
2あらすじ
21世紀から時を遡り、戦国時代へ転生した商人・大山源吉。
彼は歴史知識で考案した織物で織田舞蘭度を創設、大きな銭を信長にもたらす。
そして史実よりも早く美濃攻めを完遂させた。
天下取りへの戦略に不備はなし。
信長を裏切る運命の明智光秀との合流に不安を抱えながらも、源吉は銭の力で乱世をつき進む。



これは講談社文庫ですがラノベです。尻切れトンボです。ひょっとして完結していないのかも。途中で終わられて何とも言いようがないです。

「Ank : a mirroring ape」 佐藤究

2022年05月24日 19時53分35秒 | 作家 さ行
Ank : a mirroring ape (講談社文庫) 2022.5.22読了。
佐藤究 (著)

2026年、京都で大暴動が起きる。「京都暴動=キョート・ライオット」だ。人々は自分の目の前にいる人間を殺し合い、未曽有の大惨劇が繰り広げられた。事件の発端になったのは、「鏡=アンク」という名のたった1頭のチンパンジーだった。霊長類研究施設に勤める研究者・鈴木望は、世界に広がらんとする災厄にたった1人で立ち向かった……。



650頁の厚さですがほぼ一気読みでした。そうだったんですけど、ただ、どうしてもチンパンジーが発する警戒音を聞くと、チンパンジー同士、人間同士が殺戮を始めるということが納得できなかった。チンパンジーだけならまだいいんだけど、なぜ、人間まで? この点は説得力がない。これが納得できないので、小説自体の面白さが半減してしまった感じ。6点。

「夜の声を聴く」 宇佐美まこと

2022年05月17日 17時15分10秒 | 作家 あ行
夜の声を聴く (朝日文庫) 2022.5.17読了。
宇佐美 まこと (著)

よろず相談も受けているリサイクルショップ「月世界」。そこを手伝う定時制高校に通う堤隆太は、些細なトラブルを解決していくが、いつしか数年前に起きた未解決の一家殺人事件の謎に巻き込まれ……。驚愕の書き下ろしミステリー。



ラストは最高だった。満ち足りた気持ちで本を閉じた。だが実際中盤まではなんだかなー、盛りあがんねーし、他の本に行こうかななんて考えて読んでた。他の方のレビューで後半になりさえすれば面白いってしっていたので、何とか持ちこたえた。大げさに言えばあの試練がなければ、このラストにたどり着けないということだ。読者に我慢させて読ませて、苦行に耐えたものだけが味わえる読書の至福。なんかむかつくが、あー、途中でぶん投げないでよかった。7点。

「愚者の毒」 宇佐美まこと

2022年05月16日 19時42分51秒 | 作家 あ行
愚者の毒 (祥伝社文庫) 2022.5.13読了。
宇佐美 まこと (著)

一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!



序盤から面白く読んだ。でも、最後の最後が気に入らない。不自然な執念とその仕掛け。どちらも首を傾げた。でもそこ以外は本当に面白かった。8点。

「黒鳥の湖」 宇佐美まこと

2022年05月10日 15時12分36秒 | 作家 あ行
黒鳥の湖 (祥伝社文庫) 2022.5.10読了。
宇佐美まこと (著)

上場企業『ザイゼン』の社長財前彰太は、妻の由布子、娘の美華と三人で幸福に暮らしていた。ところが、世間を騒がす女性拉致事件のニュースを見かけ、彰太の心に不安が兆す。その快楽殺人者の手口に覚えがあったのだ。十八年前、反対を押し切って由布子と結婚するため、そして伯父の会社を奪うため、彰太はある〝罪〞を犯した……。
人間の悪と因果を暴く衝撃のミステリー!



特に、後半の怒涛のサプライスはたまらなかった。面白かったけど、どうも主人公の家族だけが、再生して幸せになるみたいなラストはなんか気に食わない。悪と因果の報いはどこいった?6.5点。

「恋狂ひ」 宇佐美まこと

2022年05月06日 15時07分22秒 | 作家 あ行
恋狂ひ  ハルキ文庫 2022.5.5読了。
宇佐美 まこと (著)

友人と旅行代理店を経営している四二歳の鞠子は、十一歳年下の男と付き合っているが結婚する気はない。そんな彼女が、亡父から相続した元遍路宿の古民家を訪れ、そこで古い日記を見つける。四国遍路で果てる覚悟の女が戦前に書いたと思われる旅の記録を読み、自身も女の生と性に揺れる鞠子はこの遍路日記に飲み込まれるようになり……。



戦前の四国遍路の話と絡めることによって、姉妹とその夫をめぐる内輪の愛憎劇が時空を超えたミステリーになっていくっていうのがスゴイ。終盤のたたみ方も素晴らしい。ただ、読んでいて終始主人公に全く共感できず、しかも最後の最後までご安泰なのは憎らしい。7点。

「QJKJQ」 佐藤究

2022年05月03日 18時11分35秒 | 作家 さ行
QJKJQ (講談社文庫) 2022.5.3読了。
佐藤究 (著)

女子高生の市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、郊外の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。亜李亜は残った父親に疑いの目を向けるが……。



最後まで、タイトルの意味がイマイチわからなかった。スピード感のある文章(主人公が行動している時など)と説明臭い停滞する文章(父親との会話など)の交互の出現で期待していた疾走感はイマイチ。だが、主人公のキャラよりも、くどい説明が好きな父(仮)のキャラクターが好きかもしれない。最後に書いてあった、「母親は絶対に確かだが、父親はつねに不確かだ」という一文がなぜか刺さった。6点。