ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「憑神」 浅田次郎

2024年02月29日 19時10分24秒 | 作家 あ行
憑神(新潮文庫) 2024.2.28読了
浅田 次郎 (著)

時は幕末、処は江戸。貧乏旗本の次男の身ながら、その才を見込まれて大身の入婿となった彦四郎。だが、跡継ぎを授かったとたん離縁され、実家に出戻るはめに。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、なんと神様があらわれた。だが、この神様、神は神でも、貧乏神! 果たして、貧乏侍vs.貧乏神の行方は……!? とことんツイてない男が最後に選んだ真実の生きる道とは――。抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。最近ツイてない、ツキが欲しいと思っている人、必読。


面白おかしく話は進み、感動のラストへ。7点。

「神よ憐れみたまえ」 小池真理子

2024年02月29日 19時06分46秒 | 作家 か行
神よ憐れみたまえ(新潮文庫) 2024.2.25読了。
小池真理子 (著)

昭和史に傷跡を遺す「魔の土曜日」。
その同日、少女の両親は惨殺された――。
拭えぬ悪夢を抱えた一人の女性の生涯を紡ぐ、魂の叙事詩。
昭和38年11月、三井三池炭鉱の大爆発と国鉄の多重衝突という二つの事故が同日に発生。「魔の土曜日」と言われたその同じ夜、12歳の百々子の両親は何者かに惨殺された。何不自由ない家庭に生まれ育ち、母ゆずりの美貌と音楽の才能を併せ持つ、未来を約束された少女を襲った悲劇。事件は拭いされない悪夢として胸のうちに巣食い、不運の連鎖が彼女の運命を揺るがしていく――。10年の歳月を費やし、一人の女性の数奇な生涯を描破した、著者畢生の大河小説。(解説・佐久間文子)



たぶん、最後の書下ろし長編になるんだろうか? ひしひしとその覚悟が垣間見える。堂々とした一篇。8点。

「センセイの鞄」 川上弘美

2024年02月19日 15時13分02秒 | 作家 か行
センセイの鞄 (新潮文庫) 2024.02.16読了。
川上 弘美 (著)

ひとり通いの居酒屋で37歳のツキコさんがたまさか隣あったご老体は、学生時代の国語の恩師だった。カウンターでぽつりぽつりと交わす世間話から始まったセンセイとの日々は、露店めぐりやお花見、ときにささいな喧嘩もはさみながら、ゆたかに四季をめぐる。年齢のはなれた男女の、飄々として、やがて切々と慈しみあう恋情を描き、あらゆる世代をとりこにした谷崎賞受賞の名作。



おとぎ話だけど(普通に考えたら気持ち悪いとか)。あらゆる世代をとりこにした谷崎賞受賞の名作。とか解説に書いてあるけど、とりこになったのは老人(男)だけなんじゃないのか。選考委員もそのあたりが多くてとか。まあ、読んでみて良かったからなんでもいいけど。8点。

「沈黙のひと」 小池真理子

2024年02月09日 20時04分00秒 | 作家 か行
沈黙のひと (文春文庫) 2024.1読了
小池 真理子 (著)

亡き父が遺した日記には娘への愛、家族との不仲、そして恋人との心の交流が記されていた。生と死、家族を問い直す魂を揺さぶる傑作! 吉川英治文学賞受賞、小池文学の最高峰!



沈黙の中にどんな思いが秘められていたのか、人の心の中は覗いてみなければわからない。8点。

「無花果の森」 小池真理子

2024年02月09日 19時59分52秒 | 作家 か行
無花果の森 (新潮文庫) 2024.1読了
小池 真理子 (著)

小雨の降りしきる午後、夫の暴力に耐え切れなくなった新谷泉は、家を飛び出した。隠れ場所を捜し、ごくありふれた地方都市に降り立った彼女は、狷介な高齢の女性画家に家政婦として雇われることになる。降り続く雨のなか、時間だけが静かに流れゆく日々を過ごす泉は、思いがけない人物と出会う……。追いつめられ、全てを失った男女の愛と再生の物語。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。



いいんだよ、老齢の女性画家も、おかまも、、、8点。

「東京アクアリウム」 小池真理子

2024年02月09日 19時55分00秒 | 作家 か行
東京アクアリウム (角川文庫) 2024.1読了
小池 真理子 (著)

夜景が美しいカフェで親友が語る不思議な再会に震撼する表題作、施設に入居する母が実家で過ごす最後の温かい夜を描く「猫別れ」など8篇。人の出会いと別れ、そして交錯する思いを描く、珠玉の短編集。



そう、短編もうまい。7点。