ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「青い星まで飛んでいけ」 小川一水読了!

2017年05月30日 13時20分40秒 | 作家 あ行
青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA) 2017.5.29読了。
小川 一水 (著), 撫荒 武吉 (イラスト)

それは人間の普遍的な願い。
彗星都市での生活に閉塞感を抱く少女と、緩衝林を守る不思議な少年の交流を描く「都市彗星のサエ」から、“祈りの力で育つ”という触れ込みで流行した謎の植物をめぐる、彼と彼女のひと冬の物語「グラスハートが割れないように」、人類から“未知の探求”という使命を与えられたAI宇宙船エクスの遙かな旅路を追う表題作まで、様々な時代における未知なるものとの出逢いを綴った全6篇を収録



「都市彗星のサエ」「グラスハートが割れないように」「静寂に満ちていく潮」「占職術士の希望」「守るべき肌」「青い空まで飛んでいけ」の6編からなる「未知との遭遇への憧れ」を描いた短編集。
「都市彗星のサエ」が好きだな。彗星の鉱山街に生まれた少女サエの閉塞感と、その彗星から脱出を目指す少年ジョージィと出会い脱出を試みるお話。ラストも良い。…6点。

「老ヴォールの惑星」 小川一水読了!

2017年05月23日 19時02分17秒 | 作家 あ行
「老ヴォールの惑星」 (ハヤカワ文庫 JA) 2017.5.23読了。
小川 一水 (著)

偵察機の墜落により、おれは惑星パラーザの海に着水した。だが、救援要請は徒労に終わる。陸地を持たず、夜が訪れない表面積8億平方キロの海原で、自らの位置を特定する術はなかったのだ―通信機の対話だけを頼りに、無人の海を生き抜いた男の生涯「漂った男」、ホット・ジュピターに暮らす特異な知性体の生態を描き、SFマガジン読者賞を受賞した表題作ほか、環境と主体の相克を描破した4篇を収録。著者初の作品集。



「ギャルナフカの迷宮」「老ヴォールの惑星」「幸せになる箱庭」「漂った男」四篇からなる短編集。
この作家さん、短編はどうだろうと読んでみたが、短編も抜群。
中でも「漂った男」はツボにはいりました。特筆するべき傑作。
胸をしめつけられ、最後の展開に涙する。そして、こっちまで生きる希望が沸いてくる。
SFはあんまり読んでこなかったけど、小説はジャンル、関係ないんだんぁ~。面白い小説は、ジャンルはなんであれ、面白いんだなぁ~。小川 一水さん、有難う!…8点。

「時砂の王」 小川 一水読了!

2017年05月17日 14時51分59秒 | 作家 あ行
時砂の王 (ハヤカワ文庫JA) 2017.5.17読了。
小川 一水 (著)

西暦248年、不気味な物の怪に襲われた邪馬台国の女王・卑弥呼を救った「使いの王」は、彼女の想像を絶する物語を語る。2300年後の未来において、謎の増殖型戦闘機械軍(ET)により地球は壊滅、更に人類の完全殲滅を狙う機械群を追って、彼ら人工知性体たちは絶望的な時間遡行戦を開始した。そして、3世紀の邪馬台国こそが、全人類の存亡を懸けた最終防衛線であると──。




壮大なSFなのに、これだけの薄さ(270ページぐらい)に収めるとは、この作家さんの才能は計り知れない。読んでいての間延び感なんかは感じるわけもない。シビアな話ですが、各キャラの造詣がうまく、悲壮感はない。絶望的な戦いを強いられながらも、戦意を失わない凛々しく純真な登場人物たちに胸が熱くなる、言うことなしの時間SF。ほんとに一気読み必至。…8.5点。

「解夏」さだまさし読了!

2017年05月01日 22時31分38秒 | 作家 さ行
解夏 (幻冬舎文庫) 2017.4.30読了。
さだ まさし (著)

東京で教師をしていた隆之は、視力を徐々に失っていく病におかされ、職を辞し、母が住む故郷の長崎に帰った。そこへ東京に残した恋人の陽子がやってくる。この先の人生を思い悩む隆之。彼を笑顔で支えようとする陽子。ある日、二人はお寺で出会った老人から「解夏」の話を聞く―。表題作他、人間の強さと優しさが胸をうつ、感動の小説集。



「解夏」、「秋桜」、「水底の村」、「サクラサク」からなる短編集。
さだまさしの本ははじめて読みました。
シンガーとして作詞作曲されるのですから、詩人ではありますが、小説を書かせても、すばらしい。
今まで読まなかったのがおしい。別に変な先入観で読まなかったわけではないけど。
小説家としての才能に本当に驚かされた。
奇をてらわず、王道の家族小説で心を揺さぶられるのだからすごいなぁー。
中でも、「水底の村」が一番スキだ。…7点。