緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

甦ってくれた患者さん!

2006年11月22日 | 医療

緩和ケア科外来受診の問い合わせがあると

現在の病院で治療をなさりながら
当院外来で症状緩和を希望されているか

治療も当院に移ることを希望されているかをお伺いします。

後者の場合は、まず、当院の治療主科にかかって頂き、
そこで治療適応があるかどうかの相談をして頂き
移られることになれば緩和ケア科も併診を開始します。

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Tさんは、大学病院で膵がんの治療をされていました。
痛みが辛く、治療も含めて
当院に移ってこられることになりました。

外来初診日、衰弱感が強く
消化器科の医師は直ぐに入院手続きをしてくれました。

鎮痛薬としては、フェンタニル貼付剤10mgのみでしたので、
NSAIDsとしてザルトプロフェン 3錠 分3
鎮痛補助薬としてメキシレチン 300mg 分3
を加えた所、腹部の締め付けられるような痛みは消え
貼付剤は7.5mgに減量。
同時に排便コントロールをつけ、食事も取れるようになりました。

これなら自宅でも生活できます!と

この8月末から、TS-1が膵がんに適応拡大になったことも幸いでした。
経口抗がん剤を新たに導入し、
1週間ほどで元気に退院となりました。

しばらくTS-1の効果があり、症状も落ち着いていました。
TS-1の副作用で一旦休薬となったとたん
再度疼痛が出現。
他の鎮痛補助薬を加えましたが無効。
外来でぐったりとし、吐かれた時は
これはもうステロイドしかない・・と、ベタメタゾン 2mg 開始。

再度・・・・甦ってくださいました。

痛みも嘘のように消え、食事も入り
なんとヘモグロビン11から13に改善しました。
ご本人は、
「こんないい状態で。本当でしょうか。病気を忘れてしまうくらい・・ 
あまり良すぎて、この先が怖いなあと思うこともあるんです。」

「大学病院で、今月の親戚の結婚式にでられるかと聞いたとき、
難しいでしょうと言われ、ああ、そのころには・・もう・・と思っていました。
でも、こんなに元気なんです。 嬉しい・・」

症状緩和が奏功したことにより、経口抗がん剤が始められ
残された時間が延長したと考えています。

これは、末期だけの緩和ケアでは、経験することは出来ない緩和ケアだったと思います。
先日の記事に続きますが、ひとまず
今は末期の患者さんへの緩和ケアは緩和ケア病棟にお願いして

がん治療をうまく進めるための緩和ケアという
初期からの緩和ケアの基礎をつくっていきたいと思っています。
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今日も、お付き合いくださりありがとう。明日も、来て下さいね。
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1 コメント

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本当にそう思います。 (ピョン)
2006-12-08 10:39:31
私も本当にそう思います。

我が主人は、残念ながら終末期になってからの緩和ケアへの移動になってしまいましたので、本人の精神的苦痛が非常にきつかった様子でした。

でも、移動した途端に、身体も心もだいぶ楽になり、良かったと思います。

昨年春に新しくなった癌研有明病院は、まさしく、初めからの緩和ケアを目指している様です。
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