エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

3度目の正直・・・十勝連峰 旭岳(1335m)

2019年02月20日 | 山紀行 (十勝・大雪)
十勝連峰・・・旭 岳 (1334.9m)
3度目の正直、厳冬の旭岳に拘って・・・
■ 山 行 日    2019年2月19日(火)   日帰り
■ ル ー ト     ベベルイ零号線~ベベルイ林道~西尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー     夫婦登山 №5
■ 登 山 形 態      山スキー
■ 地 形 図     1/25000地形図  「本 幸」
■ 三角点・点名   三等三角点・点名「旭岳 アサヒダケ」
■ コースタイム    非公開にしました


GPSログを地形図に落としたルート図です・・・

★ あの時は・・・
2014年2月14日1回目の旭岳・・・ ⇐クリックするとページに移行します。
1回目の旭岳・・・直下で下山は、今回の山行で間違いだったと気が付く。
それは「立入禁止」の看板があった場所を、旭岳西尾根の末端に位置する林道
C733地点だと当時思い込みそこから取付いて登っていたのだ。
しかし、その場所は前富良野岳の南西尾根だったと判明した。
当時の私たちは、GPSを持たず地図とコンパスで登行していた頃でこの時は
天候も悪く頂上は雲の中に隠れていたし、周りの地形もはっきりしない状況下
で、完全に地形図を読み間違えていたのだ。
今回、携帯GPSを使用しながら現在地をチェックしていて、あの看板に出合
い場所を確認したらまったく違う場所を示していた。

今思うに、4キロ以上あるベベルイ林道の終点までラッセル歩行しているのに
1時間足らずで着いている事自体おかしな話だった・・・。
あの看板が終点と思い込んでしまったことを今になって分かる始末だ。

今振り返れば、おかしな点は色々と思い出されるが敢えて言うまい・・。

その後、2回目の挑戦は同年4月22日だった。
原始ヶ原林道とベベルイ林道の除雪済み情報を得て出掛けだのだが、情報は間
違っておらずベベルイ林道の途中まで車で入る事が出来た。しかし、大掛かり
な伐採工事が行われていて「通行禁止」とされ止む無く撤退となった。
登らずして失敗した「旭岳」でサブ山行として「前富良野岳」に変更してチー
ヤンは未踏峰を踏んだ。

こうした流れがあって2月厳冬の旭岳に拘り、敢えて出掛けた3回目のだった
が・・・。


★ 情報無いまま・・・
除雪やルートに関する情報が得られないまま、行き当たりで出発した。
1回目の挑戦時、布部川のダム工事のため2月でも除雪がされていた(一般車は
通行止)
その道が、今回利用したベベルイ零号線だったので最初からこの道を目指して
カーナビをセットする。順調にベベルイ零号線に入り原始ヶ原入口を目指した
が、ずっと手前で除雪終点のゲートで閉ざされていた。
そこには、自衛隊の演習車両(トラック)駐車場とテント型の宿泊施設があり、
ここに駐車出来るのかと躊躇したが、たまたま隊員が居たので声を掛け聞くと
「ぜんぜん問題無いですよ」と呆気なく駐車OKだった。

天気も良いし、どれだけ林道を歩くのか見当もつかなかったが取り敢えず出発
する事にした次第だ・・・。



ベベルイ零号線の最終除雪地に駐車する・・・道路の両脇は自衛隊の訓練地だったが、駐車の許可を得た


原始ヶ原への林道途中で望む「旭岳」・・・



原始ヶ原入口に着く・・・


原始ヶ原林道へ・・・立入りが禁止されているモービル痕


原始ヶ原への林道途中にて・・・


ベベルイ林道入口、ここまで5キロの林道ラッセルをして到着・・・先はまだ長い


5年前はこの看板がベベルイ林道のC733地点と思い込んだ・・・

★ またも登行中止か?・・・
GPSをスタートから起動し、ベベルイ林道の終点C733地点を見ると
9.3㎞を示していた。実は、ここまで4時間強も掛かってしまったのだ。

敢えて時刻は表示しませんが、もう尾根に取付き頂上を目指せる時間では
ありませんでした。しかし、林道だけ歩いてここで撤退と言うには余りに
も天気が良過ぎで、引き返すには酷な場面だったのです。

ならば、いつものように〇〇時まで登って着かなかったら下山しようと決
めて登る事にしました。私はもうヘロヘロ状態でしたが、体調も良くなか
ったのです。
「止めても良いよ・・・」と言うチーヤンの言葉もありましたが、次のリ
ベンジを考えると「また9㎞ラッセルするのか」と考えたくない疲労感で
一杯でした。

そして快晴、無風、絶景に気温が高い日でした。これ以上の条件は無いと
決死の強行を判断したのです。

しかし、尾根上の雪は意外に深くまたまたラッセルに苦労させられました。
体調が悪い私には先頭を登るのが余りにもキツク、チーヤンに手を合わせ
ます。でもチーヤンとはどんどん離れる私でした。

「やっぱり無理か・・・」と登行中止の文字が何度も過ります。



ベベルイ林道C733地点・・・旭岳西尾根末端で休憩、背景は前富良野岳


西尾根950m付近から神々しい富良野岳と前富良野岳を望む


中央のピークが旭岳、右に富良野岳が見えて来た・・・

★ 決断・・・
〇〇時まで2時間もありませんでした。
標高差は約600m、距離は2㎞弱でした。通常の体調なら2時間で登れると
踏んで出発しましたが、取付きからチーヤンに先頭をお願いしながらも付いて
いく事が出来ない自分が居た。10歩登っては止まり呼吸を整える・・を繰り
返すざまだった。

心配するチーヤンが何度も止まっては、「もうここで降りない?」と登行中止
を促される。最後は1000mを越えた森林限界辺りだったろうか、すでに〇
〇時は過ぎていた時間だった。

ある意味、危険な賭けかも知れないが好条件がすべて揃ったこの日を除いて、
次のリベンジなど考えられなかった。

決断は、「頂上まで登る」
そして、暗くなる前に林道まで降りる事が出来るギリギリの時間まで登ろうと
決めたのだ。息苦しい自分に活を入れ、最後はツボ足で登った。

〇〇時を1時間も過ぎてようやく頂上に立った!
快晴、微風、絶景を二人占めして握手する。山頂コーラで喉を潤し少しだけ行
動食を取り最後に写真を撮って下山とした。それでも30分も滞在していた。

スキーデポ地点からシールを外し、滑降体制を取るがパウダースノーだった雪
面が固くモナカ状となり上手くコントロールが出来ない。転ばぬようにゆっく
り斜滑降でキックターンしながら降り、緩斜度となる高度まで慎重に降りた。
一部だけ疎林帯の尾根上でスキーは楽しめたが、樹林帯に入るとターンが大変
だった。そんな中チーヤンは早くあっという間に林道まで降りてしまった。

登りで3時間近く掛かってしまったが、下りは45分で林道に降りた。



雪庇のある痩せ尾根・・・頂上はもう少しだ!


ピーク直下、この先でスキーをデポしツボ足で登った・・・


最後の登り・・・終始チーヤンには助けられたエバである


2019年2月19日、「旭岳1335m」初登頂。背景は富良野岳、右は前富良野岳の北尾根肩


体調を崩しながらヘロヘロで登った旭岳・・・


頂上からの絶景・・富良野岳と前富良野岳北尾根の肩1499


左が前富良野岳の北尾根肩1499と中央の尖がりが前富良野岳1625m


神々しい富良野岳をズーム


十勝連峰を一望する絶景・・・


主峰「大雪・旭岳2291m」


下りの頂上直下をスキーで滑降・・・

★ 往路の往復・・・
予想通り、林道には明るい内に降りる事が出来た。
しかし、ここから再び9㎞の林道を歩かなければならない。
登りでは4時間を要したが、下りではトレースを滑り降りれば早いだろう・・と
時短をもくろんでいたが、結構登り返しがあり時間の短縮には繋がらなかった。

ベベルイ林道の途中ですっかり日が落ち、雪明りでトレースを辿った。途中から
シールを貼り付け登り返しも気にせずに歩けホッとする。

覚悟した暗闇もほのかな月明かりとヘッデンで足元を照らす・・。

気温は少し下がったかも知れないが、風も無く天候の崩れも無く私たちを見守っ
てくれた。
ちょっとお叱りを受けるような無謀な登行だったが、夫婦だから許される山行劇
と言えよう。

予定通りの山行なら、下りで短縮ルートも模索していたのだが暗くなってはそれ
も危険と判断し往路の往復に切り替えた下山だった。

無理をしないがモットーのエバ夫婦だったが、リベンジばかりの山行では目標が
遠のくばかりだから、場合によっては「頑張る」姿勢もちょっと必要性を感じた。

今年3座目となる未踏1000m超峰を制覇出来、満足の下山だった。

富良野の「ハイランドふらの」で汗を流し、自宅には深夜の帰宅となった。
サマッケヌプリ山を越える11時間山行だった事だけ最後に付け加えよう・・・。


※こんな状況下の山行だったので詳しいコースタイムは恥ずかしくて公開出来ません。
 でも、文中に少しだけヒントがあります。スタートをもっと早くしていれば・・でした。