エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

高度感と絶景の南東尾根がいい・・・稀府岳 (702.2m)

2011年02月25日 | 山紀行 (道央・札幌・積丹)
痩せ尾根の高度感と絶景がいい・・稀府岳 まれっぷだけ (702.2m)
(1000m超峰に拘らず、計画変更で見つけた未踏峰に感激)

■ 山 行 日    2011年02月20日(日)   日帰り
■ ル ー ト     南東尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー   
夫婦登山 №9
■ 登 山 形 態   山スキー
■ 地 形 図    1/25000地形図  「稀 府」


■ コースタイム  登り 1時間45分  下り  35分  (休憩含む)

<登り>
10:00   登山開始
10:30   尾根取付き
11:20   621ピーク
11:45   稀府岳 頂上
 (登り 1時間45分 )

<下り>
12:05   下山開始
12:10   621ピーク
12:25   尾根取付き
12:40   登山口(駐車地)
  (下り 35分 )






★ 計画変更・・

 天気予報から計画を変更して昨日は「本倶登山」、今日は「稀府岳」&室蘭なかよしラーメンと決めての行動だったが、夜半からの新雪が10cm程積もってしまい除雪をしてからの出発となった。

 「稀府岳」は伊達市南稀府の北東にある702mの山でその名は正直あまり認識していなかった。しかし、近年日帰り出来る1000m超峰の未踏峰はほとんど無くなり、時々の天候や雪の状態などを見て出掛けることも多くなった。その中には1000mに満たなくても面白い山があり、アプローチが長く険しいピリ辛な山もあったりで「山は高さではない・・」と改めて認識することも多い。

稀府岳の詳細は、HYML編の「北海道雪山ガイド」を参考にさせて頂きコースタイム(スノーシュー)登り3時間なら結構な山だろう・・と初登頂に期待を膨らませて出発した。
 また、下山時にはML仲間のなかよしさんが営むラーメン店にお邪魔して再会とラーメンを食べることも楽しみにしていた。

予定の山が無理でも、計画変更でより良い山行と出会いがあればこれも充実した夫婦登山の一日であり、山の新発見も楽しいものだった。




南稀府市街地から望む稀府岳(右端のピークが稀府岳)


★ トレースに感謝・・

 自宅から2時間20分で登山口となる伊達市南稀府の養鶏場前に着く。
雪山ガイドと地形図を参考に駐車場所を探していると私有地の養鶏場の中に入ってしまいトラクターで除雪をしていた係員とバッタリ・・軽く会釈をしてサッサと私有地から出た。養鶏場手前100m位の道路脇に3台ほど駐車出来るスペースがあり、すでに1台が駐車してあった。その横に停めてふと見るとスノーシューの痕跡があり道路から少し下って山の方に向かっているので「先行者が居る?」と嬉しくなる。



車を停めた道路から少し降りて作業道へ入る


少し広くなった作業道もトレースが無ければ迷いそうだった。


10:00 登山開始
 新雪が10cm前後積もった駐車場所から山スキーを履いてスタートする。来た道を50mほど戻ると地形図にも載っている北東に延びた作業道があり稀府岳方向に向かっている。その方向には先行者と思われるスノーシューとツボ足のトレースが見られ何よりも心強かった。5分ほど歩くと笹がところどころ剥き出しになった細い作業道となりトレースが無ければ迷いそうな道だった。しかし、ほどなく笹の無い広い作業道となり歩きやすくなり緩やかに高度も上がって行く。20分ほど経って道は終点となり右側には崩壊した建物のブロック塀だけが残っていた。ガイド本では養豚小屋跡と書かれた場所だろうと思う。その先は、道らしき道は無くうっそうとした松の人工林の中にトレースが続いていたので跡を辿る。


作業道の終点・・右側にブロック塀があり奥は松の人工林になっている。


松の人工林の中を歩く


10:30 南西尾根の取付き
 人工林はほどなく終了し過ぎると沢形の源頭部に近い地形となり左右に各尾根への斜面がある。ガイド本では右側の尾根(南西尾根)に取付くようだが、トレースは左の尾根に付いていた。左右の尾根は標高500m付近で合流しているので素直にトレースを利用させてもらった。


尾根取付きの斜面の様子

 尾根への斜面(南東面)はジグを切って登り15分ほどで尾根上に出る。緩やかな尾根もスキーにはちょうど良い斜度で楽しめそうだ。ただちょっと灌木がうるさそうでもあるが・・。

 10:50頃、下山する先行者と出会い挨拶を交わす。
30歳前後の若い男性二人組だった。「上の天候が悪くなって来たので気を付けて・・」と情報をいただき別れる。

 11:00頃、南西尾根との合流地点(500m付近)に出ると視界が一気に広がりこの山行の核心部に来たようだ。




灌木帯を抜けると標高500m付近の尾根合流点、視界が開け稀府の町と太平洋を望む


最初は広い南西尾根もすぐに顕著な痩せ尾根となる


前方が621ピーク


手前のポコが621m標高点でその先は約650m肩が見える。

 11:20 621ピーク

 尾根上は一部クラストした固い部分もあるが比較的歩きやすく順調に登れた。ただスノーシューとツボ足のトレース痕にぶち抜いた穴がいくつかあって苦労して登下した様子が伺えた。
 左右対称的な尾根上からは稀府の街並みを見下ろし右側には室蘭岳方面の尾根も確認できる。小さな雪庇と痩せた尾根は日高を思わせる高度感ありエキサイティングに高揚して楽しい。「天候が悪くなって来た・・」と言われた上部も回復して青空が広がり登頂が待ちどうしかった。



頂上手前の痩せ尾根を登る


前方のピークが頂上だ


 初登頂 「稀府岳」

11:45 稀府岳 頂上  (登り 1時間45分)
 トレースもここで終了、地形図と高度計も照らし合わせてここが頂上と分かる。東側は雪庇を伴った木のない急斜面で西側は低い灌木帯が生い茂っている。対照的な尾根上のピークである。頂上の先は更に痩せた厳しそうな尾根が続き天狗岩らしき岩稜帯も見えた。
 登行時間も3時間を覚悟していたが1時間45分で着いてしまい、最初はピークを疑って地図を見直したりしたが、しっかりと読図して今立っている場所がピークであると確信した。高さにさえ拘らなければ自宅から日帰り可能な山はまだまだ沢山あることも認識出来て、今後がちょっと楽しみになった。


12:05 下山開始
 標高500m付近の尾根合流点までは痩せ尾根のアップダウンもあるので、シールを付けたまま降りることにしたが、トレースを利用して直滑降気味に降りると621ピークまで5分と掛からずに来てしまい更に尾根の取付きまで15分ほどで着いてしまうと後は下りオンリーの作業道もシールを外さずに滑ると呆気なく車まで来てしまった。
・・・スキーは早し、である。

12:40 駐車地 (下り 35分)


★ 再会・・・


室蘭なかよしラーメン店です

 稀府の街から再び登って来た稀府岳を振り返り満足と充実感に浸りながら室蘭の街へ向かう。

 聞いていた「ラーメンなかよし」の住所を頼りにチーヤンナビで右、左と進路を変える。そして、この辺かな?と思ったすぐ横に真っ赤なのれんになかよしを見つけ車を停めた。当初のイメージでは小さな一軒家のラーメン店を想像していたので、何軒か並ぶ長屋の中に立派な店構えの「なかよし」さんは違うと疑って電話をしてしまった。すると、やっぱりお目当てのなかよしさんで間違えなく「おぉ~」という第一声である。
 店の前の駐車場は満車状態で帰りのお客さんを待って駐車する。お店に入ると奥行きのある店内は広かった。店内のお客さんはちょうど食事を終えて帰る方が続き一時私たちだけとなってあずましかったがすぐに別のお客さんがご入店である。
そうこうしている内に出前から帰ったなかよしさんと再会する。


★ お礼・・・

 注文は、みそラーメンと醤油ラーメン。細麺で双方とも見た目は濃厚な濃いイメージを抱くラーメンだったが、これが一口スープを飲むと一変する。特に醤油ラーメンには驚く。見た目は、濃口醤油そのままのスープなのに飲むとまったく濃さは感じない。まろやかな味の中に風味とダシの利いた心温まる優しさを感じるスープだった。先ほどまで来店していたお客さんはきっと皆さんリピーターの方ばかりではないだろうか。また食べたいと思うのは、なかよしマスターの愛情が深く加味しているからに違いないと思った。山の話をするとマスターの声も大きくなりリズムが弾む。厨房の奥の棚には山の本と道具が見える。店内にも山で撮った写真が飾られ、入口には「夕張岳ヒュッテ建替え募金」のチラシと募金ボトルを置いてくれている。
 2週間前の2/6札幌つぼ岳のオフミで初対面だったなかよしさんは、大切な山道具をオークションとして出品し、その売り上げ金のすべてをヒュッテ建替え募金として寄付してくれました。
 近くもう一度お礼をと思っていたし、自慢のなかよしラーメンが食べたかったので、それが実現出来て本当に良かった。

 帰り際、なかよしさんお薦めの温泉も伝授していただきゆっくりと汗を流して無事帰宅出来たことも楽しい一日として印象に残る山行だった。なかよしさん本当にありがとうございました。



★ 温泉・・・

虎杖浜温泉ホテル  いずみ
海の見える露天風呂が自慢・・・


ホテル いずみの玄関


自慢の露天風呂

虎杖浜温泉 ホテル いずみ      http:// www.izumi-kojohama.jp