足掛け12年、3年ぶり7度目のリトライ
快晴・貸切の・・・海別岳(1419m)
■ 山 行 日 2021年3月24日(水) 日帰り 晴れ
■ ル ー ト 北西尾根・朱円ルート 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №16
■ 登 山 形 態 山スキー&アイゼン
■ 地 形 図 1/25000地形図 「朱円」「海別岳
■ 三角点・点名 一等三角点 点名「海別岳 ウナベツダケ」
■ コースタイム 登り 5時間20分 下り 2時間35分
<登り>
06:20 登山口Pスタート
07:20~25 C450付近、樹林帯の中
08:22~26 C615付近、樹林帯の中も風弱く快晴
08:50 C700付近、森林限界となりハイマツ帯となる
09:30~40 C885付近 スキーデポ アイゼン装着
11:20 C1390ニセピーク
11:40 海別岳(1419m)頂上 (強風も春風)
<下り>
11:50 下山開始
12:03 ニセピーク
12:50~13:05 C885付近 スキーデポ地点
14:20 鹿ゲート
14:25 駐車地(登山口)
GPSログを元に地形図に移行したルート図です・・・地形図は1/50000図です。
★ 海別岳、これが最後のつもりで・・・
夫婦登山としての知床遠征は、2007年3月に挑戦した「知床岳」から始まった。
この時、他人のトレースを鵜呑みにし、快晴の良き日にルートミスとオーバータイムで敗退する始
末。翌年3月リトライして初登頂はしたが、単純なミスはエバ夫婦の代名詞だ・・。
海別岳は、2009年3月が初挑戦で「遠音別岳」とセットで計画していた。先に登った遠音別岳
は快晴の登山日和となり、登り7時間を超えるハード山行だったが、初登頂を果たした。下山後に
海別岳の登山口まで行くも雨模様となり、翌日も悪天予報だったので登らずに中止していた。
登山口まで行ったのは、これが最初で最後。
翌年の2010年3月計画は、予報を見て中止、2013年4月も悪天予報で海別岳は中止し、フ
ップシ岳(1225m)に変更して登頂するも翌日は予報通り大雨だった。更に2014年4月も悪天予
報、道南に変更してフモンナイ岳(1337m)に登っている。その後も2016年4月と2018年4
月にも計画はしたが、いずれも悪天予報で現地には行かずに中止していた。
こうして振り返ると、計画だけは今年で足掛け12年となり6回に及ぶ挑戦を臨んだ事に改めて遠
征の難しさや執念無くして諦めきれない挑戦があるんだと再認識したところだ。かと言ってエンド
レスに挑戦が続けられる訳では無い。
7回目となる今回の挑戦が最後のつもりでこの日に期待を掛けて臨む事にした。
★ 今年最初のホテルハイエース・・・
加齢とともにホテルハイエースの利用が減って来ている。
今年16回目の夫婦登山にしてようやく車中泊する遠征となった。久しぶりの遠征は長距離運転な
ので道路状況を見ながらチーヤンにもお願いし、少しでも疲労を減らして体力を温存した状態で挑
戦したいと思っている。挑戦した成否は結果論だが、下山した後も近場の温泉で汗を流し、そのま
まホテルハイエースする事は、もはやエバ夫婦の遠征スタイルにしたいと思っている。
時間は出来たが、体力・気力と金が無い・・・。
ホテルハイエースの宿泊代は、ほぼガソリン代だが山行が成功して気持ちはチョンチョン。失敗し
たら丸損で生活苦が圧し掛かる気分だ。なんだかんだ理由を付けて、山よりも遠征を嫌ってしまう
のは、やっぱり加齢なのだろうかね・・・?
しかし、今回は気合を入れてしっかりと天気予報を注視し、失敗しない準備だけは欠かさないつも
りで臨んだ。
知床・朱円地区から望む「海別岳」、右は小海別岳(890m)
★ 前泊は道の駅「しゃり」・・・
自宅から約400㎞、約7時間を掛けて斜里町に着いた。時間の割に天気と道路状況に助けられ疲
労も少なく現地入り出来た。登山口を確認してから再び斜里町に戻り、温泉で温まってから道の駅
「しゃり」に来た。ここから登山口までは20分程なので最適な前泊地となった。
予想通りの登山口に駐車・・・平日で貸切?
★ スタートの喜び・・・
車中泊は、自宅に居るより睡眠時間が多い。たっぷりと9時間寝て朝を迎えた。
今日も朝から快晴で暖かい。朝のコーヒータイム、洗面・トイレそして朝食も済ませて登山口へ向
かう。平日とあって登山口には誰も居ない。道路脇に車を停めて早々出発準備をする。いつも写真
で見ていた鹿の防護柵は、駐車地からも見えていて「みんなこの柵からスタートしてたなぁ~」と
自分がここに居る事が嬉しかった。この先どんな展開になるのか不安もあったが、スタート出来た
喜びの方が大きかった。
はじめは、林道にあるモービル痕が気になってしょうがない。
★ 長い樹林帯・・・
鹿柵の入口が解放状態で入ると林道(海別林道)になっている。ルート的にも最初は林道を辿っても
大丈夫なのだが、古い登山者のトレースはモービルによって掻き消されてしまい自分でルートを見
極めなくてはならなかった。この辺りの樹林は松の人工林で規則正しく並んでいるため、林道を通
るよりも樹間を通る方が近かった。モービルもその中を走ってルート上を進んでいるのでどうして
もモービル痕を辿ってしまう。
しかし、樹間から再び林道に出てからモービル痕はそのまま林道を走っていたが、私たちはまた人
工林の中に入り、ルートを辿った。暫くして樹林帯は、人工林から原生林に変わり大きな尾根の中
に入って行く。その中にはあちこちに古いテープやら古いトレースもチラホラ見つかるが、それを
また掻き消すかのようにモービルの凄まじいトレースが目について迷わされる。こういう時のGP
Sは正確な現在地を示してくれるので助けられるが、地図とコンパスだけで正確な位置を特定する
のは難しい場所だった。
長い長い樹林帯もGPS頼りにガマンの登行を続け、C700付近でようやく樹林帯を抜けて森林
限界となった。登山開始から2時間半を要し、ようやく展望の良い尾根に出る。
C700付近からハイ松帯の広い尾根となり、右に小海別岳前方に本峰を望む絶景だった。
ここにもモービル痕が、登山者のトレースを掻き消してしまうが、方向は間違っていない・・・
C700~800の尾根上 余りにも天気が良いので、小海別岳(890m)とその奥に斜里岳(1547m)を背に一枚撮る・・・。
同じ場所で、下界の街とオホーツクの海を背にもう一枚撮った・・・。
更に、海別岳に臨む雄姿?を撮って見たくなった・・・笑
★ 敢えてスキーデポ・・・
C700を超えて以降ハイマツ帯の広い尾根上を本峰を望みながらまっすぐに登る。
雪面は、しっかり締まっているが時間と共に緩み始めているのも実感出来た。スキー登行でも問題
は、なかったが、C800を超えるころから少しずつ斜度が増し、ハイマツを除けながら歩くより
アイゼンの方が歩き易いと見てC885付近で敢えてデポする事にした。
デポしたスキーがチーヤンの後ろに微かに見える。そして背景の風景が素晴らしい・・・。
★ 辛かった約350mの急登・・・
アイゼン登行でもほとんど埋まる事無くしっかり歯は雪を噛んでいた。これ以上ない快晴であり風
も微風で暑い程だった。もしこれが強風とホワイトアウトなんて言う状況なら天国と地獄の違いだ
ろう。贅沢なんて言えない条件下なのに少しずつ急登になるとゼィ~ゼィ~荒息を吐き何度も足が
止まるのはいつもの私だ。
標高1000mを超えると、目の前にニセピークを望みながら大きな雪壁に向かって登る事になる。
それが登っても登っても中々近づかない・・・。少し苛立って自分でも嫌になるほど辛い時間だっ
た。それでも一歩ずつ・・・。確実に近づくニセピークを手中に収めた時はホッと胸を撫で下ろし
た。同時に尾根の向こうに繋がる知床連山が目に飛び込み、圧倒されて言葉にならなかった。
正に絶景!
ニセピーク手前の尾根に辿り着き、知床連山の絶景を望む!
★ とうとう来た海別岳よ!・・・
登山開始から丁度5時間だった。そこはニセの頂も気分は登頂だった。360℃を見渡す風景は絶景そのもの。
北東に繋がる知床の峰々は、日高山脈でも大雪山とも違う神秘さで目に飛び込み、衝撃を受けた!一つ一つの山座同定は
出来ないが、一番近い山は「遠音別岳(1330m)」でそのずっと奥には主峰「羅臼岳(1661m)」なのだろうと思いながら、ただ
感動に慕っていた・・・。
ここはまだニセのピーク。我に返り目指す本峰を注視し「あそこかぁ~・・・」と気持ちが躍った!
頂上尾根は、やはり強風だったが寒くは無く春風に思えた。凍り付いた雪面も小気味よくアイゼンの歯が刺さり、恐怖心は
まったく無かった。徐々に近づく本峰に「とうとう来たぞぉ~!」と涙が出るほど嬉しかった。
ニセピーク手前の尾根上・・・前方に見えているのがニセピーク(1390m)。
ニセピークから頂上に向かうチーヤン・・・。
★ 夢叶った海別岳・・・
11:40 海別岳頂上。
二人で一緒にピークを踏んだ!この日を辛いなんて言ったら罰が当たりそうなくらい好天に恵まれて来た頂上。
本当に嬉しかったし、涙の登頂で抱き合って喜んだ!登行5時間20分は想定内で、ふがいない自分でもここまで来れた事は
やはり妻の存在が大きいと思った。本当に感謝である・・・。
まだ午前中だった事で時間的な余裕は、気持ちの余裕でもあり、この景色と立っている場所を噛み締めながら登頂の実感を喜
び合った。風は強かったが苦にならず、いつもの山頂コーラで乾杯もした。山頂標識を作って来なかった事が唯一悔やまれる
が、間違いなくここは海別岳頂上だ!
僅か10分の滞在だったが、忘れる事は無い感動の場所になったのは間違いない。
2021年3月24日 海別岳(1419m)初登頂! 背景はニセピークの1390峰・・・
これまで見た事が無いような神秘的が知床の峰々・・・夢のような絶景を見せてくれた。
頂上からの風景、南東に延びる尾根を撮る・・・
頂上からの風景、チーヤンと南西尾根と左に斜里岳が見えている。
頂上からの風景、斜里岳をズーム。
頂上からの風景、頂上北尾根の末端がニセピークの1390m峰になる
★ 余裕の下山・・・
苦しい登りはほぼ無い。
僅か10分の滞在も悔いは無し。晴れ晴れしい気持ちの下山である。
頂上中間尾根に無風の場所があり、立ち止まって写真を撮った。きっと再来は無いと思うが正に
貸切だったし、贅沢過ぎる天候に恵まれた事に改めて感謝である。
急斜面の下りでは、アイゼンが雪団子になるもストックで叩きながら順調に下る事が出来た。
硬かった雪もすっかり緩みザクザクのザラメ状態となり、途中でアイゼンも外しツボ足で降りた。
スキーデポ地点から登り2時間近く掛ったのに下りは1時間で着いた。
スキーに履き替えてザラメの雪面にシュプールを描く・・・。これがスキー登行の醍醐味である。
ただ、ずっと付けて来たピンテの回収があるので、その度に止まらなくてはならないが、無事に
下山するための保証でもあり、一つ一つ感謝して回収した。自分たちのトレースも分からない程
雪解けは進み、付けて来たテープの安心感は大きい。最後は深いザラメでスキー操作が出来ない
程埋まる場面もあったが、2時間半で降りてしまった喜びもまた大きい。
最後まで夫婦貸切だった海別岳に感謝して無事下山の握手をする。
頂上からニセピークへ下山の中間尾根で一枚・・・
下山する背中が大きい私・・・に気付く
唯一撮れたスキー滑降の一枚・・・
笑顔のチーヤンです・・・
★ ご褒美・・・
下山後も現地で泊り、翌日帰宅する計画だった。当初は前泊した道の駅「しゃり」で再び泊まる予
定だったが、予想以上に早い下山だったので宿泊地は清里町の道の駅「パパスランドさっつる」に
変更する事にした。ここは、温泉もレストランもある道の駅なので移動する事が無い最適な宿泊地
である。
先ずは温泉で汗を流し、湯上りはまっすぐレストランに・・・
生ビールで乾杯し、中華限定の料理をお腹いっぱい食べた。「飲んだら乗るな!」のポスターを見
て、飲んでも乗るよ・・・そこはホテルハイエースだから。と、また缶ビール一本を買って道の駅
を出る。居酒屋ハイエースで軽く二次会を終えると、早々ホテルハイエースに移行、もう二人とも
爆睡体制だった・・。
下山後の温泉と生ビールなんて私たちに取っては贅沢な山行のご褒美。
念願の山に登頂出来たのだから、これからもこんなご褒美なら何度でも味わいたいものだ。
★ 再会を楽しみに・・・
翌日は、帰路になるが復路は釧路経由にする事にした。
ここには、以前良く通っていたラーメン店「ら~めん工房・魚一」(うおっち)があり、今でも私が
一押しのラーメンで、ここ以上に美味しいラーメンとまだ出会った事は無い。
場所は、釧路駅近くの有名な和商市場の隣にある小さな「くしろ丹頂市場」の中にあるラーメン店
で、店長が考案した自慢の魚醤スープをメインにオリジナルなコクと飽きの来ない味わいが忘れる
事が出来ない。最後に訪れたのは8年前の2013年だった。私の事を覚えているか不安だったが
敢えて何も言わず何気な客を装い来店する。
注文を間違えて普通の醤油ラーメンにしてしまったが、本当は魚醤ラーメンが食べたかった。
最初は、気付いていないかぁ~と思ったが、笑顔が可愛い奥様が居なかったので始めて店長に話し
掛け「今日、女将さんは?」と聞くと「3年前に卒業したよ・・」と言って「前に会ってるよね」
と記憶を呼び起こしてくれた。開店して17年目、最初から上さんは3年間の約束だったが13年
も手伝って貰ったので3年前に卒業してもらったよ。今はパートの子を雇ってなんとかやってるけ
ど、私も68になった・・・と、色々話をしてくれた。コロナ禍で大変だったが、国や道から援助
があって助かったと聞いて私も安心した。
「あと5年は続けたいと思っているので、また来てね!」と最後に写真を撮って別れた。
いつまでも変わらぬ味で本当に美味しかった。来月も釧路に来る予定はあるが開店中には寄れない
ので、どうしても今回寄りたかった。元気な和泉店長に再会出来て嬉しかった。
間違えて注文した「醤油ラーメン」だが、これもまた美味しかった・・・
店長の和泉さんと一緒に・・・
快晴・貸切の・・・海別岳(1419m)
■ 山 行 日 2021年3月24日(水) 日帰り 晴れ
■ ル ー ト 北西尾根・朱円ルート 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №16
■ 登 山 形 態 山スキー&アイゼン
■ 地 形 図 1/25000地形図 「朱円」「海別岳
■ 三角点・点名 一等三角点 点名「海別岳 ウナベツダケ」
■ コースタイム 登り 5時間20分 下り 2時間35分
<登り>
06:20 登山口Pスタート
07:20~25 C450付近、樹林帯の中
08:22~26 C615付近、樹林帯の中も風弱く快晴
08:50 C700付近、森林限界となりハイマツ帯となる
09:30~40 C885付近 スキーデポ アイゼン装着
11:20 C1390ニセピーク
11:40 海別岳(1419m)頂上 (強風も春風)
<下り>
11:50 下山開始
12:03 ニセピーク
12:50~13:05 C885付近 スキーデポ地点
14:20 鹿ゲート
14:25 駐車地(登山口)
GPSログを元に地形図に移行したルート図です・・・地形図は1/50000図です。
★ 海別岳、これが最後のつもりで・・・
夫婦登山としての知床遠征は、2007年3月に挑戦した「知床岳」から始まった。
この時、他人のトレースを鵜呑みにし、快晴の良き日にルートミスとオーバータイムで敗退する始
末。翌年3月リトライして初登頂はしたが、単純なミスはエバ夫婦の代名詞だ・・。
海別岳は、2009年3月が初挑戦で「遠音別岳」とセットで計画していた。先に登った遠音別岳
は快晴の登山日和となり、登り7時間を超えるハード山行だったが、初登頂を果たした。下山後に
海別岳の登山口まで行くも雨模様となり、翌日も悪天予報だったので登らずに中止していた。
登山口まで行ったのは、これが最初で最後。
翌年の2010年3月計画は、予報を見て中止、2013年4月も悪天予報で海別岳は中止し、フ
ップシ岳(1225m)に変更して登頂するも翌日は予報通り大雨だった。更に2014年4月も悪天予
報、道南に変更してフモンナイ岳(1337m)に登っている。その後も2016年4月と2018年4
月にも計画はしたが、いずれも悪天予報で現地には行かずに中止していた。
こうして振り返ると、計画だけは今年で足掛け12年となり6回に及ぶ挑戦を臨んだ事に改めて遠
征の難しさや執念無くして諦めきれない挑戦があるんだと再認識したところだ。かと言ってエンド
レスに挑戦が続けられる訳では無い。
7回目となる今回の挑戦が最後のつもりでこの日に期待を掛けて臨む事にした。
★ 今年最初のホテルハイエース・・・
加齢とともにホテルハイエースの利用が減って来ている。
今年16回目の夫婦登山にしてようやく車中泊する遠征となった。久しぶりの遠征は長距離運転な
ので道路状況を見ながらチーヤンにもお願いし、少しでも疲労を減らして体力を温存した状態で挑
戦したいと思っている。挑戦した成否は結果論だが、下山した後も近場の温泉で汗を流し、そのま
まホテルハイエースする事は、もはやエバ夫婦の遠征スタイルにしたいと思っている。
時間は出来たが、体力・気力と金が無い・・・。
ホテルハイエースの宿泊代は、ほぼガソリン代だが山行が成功して気持ちはチョンチョン。失敗し
たら丸損で生活苦が圧し掛かる気分だ。なんだかんだ理由を付けて、山よりも遠征を嫌ってしまう
のは、やっぱり加齢なのだろうかね・・・?
しかし、今回は気合を入れてしっかりと天気予報を注視し、失敗しない準備だけは欠かさないつも
りで臨んだ。
知床・朱円地区から望む「海別岳」、右は小海別岳(890m)
★ 前泊は道の駅「しゃり」・・・
自宅から約400㎞、約7時間を掛けて斜里町に着いた。時間の割に天気と道路状況に助けられ疲
労も少なく現地入り出来た。登山口を確認してから再び斜里町に戻り、温泉で温まってから道の駅
「しゃり」に来た。ここから登山口までは20分程なので最適な前泊地となった。
予想通りの登山口に駐車・・・平日で貸切?
★ スタートの喜び・・・
車中泊は、自宅に居るより睡眠時間が多い。たっぷりと9時間寝て朝を迎えた。
今日も朝から快晴で暖かい。朝のコーヒータイム、洗面・トイレそして朝食も済ませて登山口へ向
かう。平日とあって登山口には誰も居ない。道路脇に車を停めて早々出発準備をする。いつも写真
で見ていた鹿の防護柵は、駐車地からも見えていて「みんなこの柵からスタートしてたなぁ~」と
自分がここに居る事が嬉しかった。この先どんな展開になるのか不安もあったが、スタート出来た
喜びの方が大きかった。
はじめは、林道にあるモービル痕が気になってしょうがない。
★ 長い樹林帯・・・
鹿柵の入口が解放状態で入ると林道(海別林道)になっている。ルート的にも最初は林道を辿っても
大丈夫なのだが、古い登山者のトレースはモービルによって掻き消されてしまい自分でルートを見
極めなくてはならなかった。この辺りの樹林は松の人工林で規則正しく並んでいるため、林道を通
るよりも樹間を通る方が近かった。モービルもその中を走ってルート上を進んでいるのでどうして
もモービル痕を辿ってしまう。
しかし、樹間から再び林道に出てからモービル痕はそのまま林道を走っていたが、私たちはまた人
工林の中に入り、ルートを辿った。暫くして樹林帯は、人工林から原生林に変わり大きな尾根の中
に入って行く。その中にはあちこちに古いテープやら古いトレースもチラホラ見つかるが、それを
また掻き消すかのようにモービルの凄まじいトレースが目について迷わされる。こういう時のGP
Sは正確な現在地を示してくれるので助けられるが、地図とコンパスだけで正確な位置を特定する
のは難しい場所だった。
長い長い樹林帯もGPS頼りにガマンの登行を続け、C700付近でようやく樹林帯を抜けて森林
限界となった。登山開始から2時間半を要し、ようやく展望の良い尾根に出る。
C700付近からハイ松帯の広い尾根となり、右に小海別岳前方に本峰を望む絶景だった。
ここにもモービル痕が、登山者のトレースを掻き消してしまうが、方向は間違っていない・・・
C700~800の尾根上 余りにも天気が良いので、小海別岳(890m)とその奥に斜里岳(1547m)を背に一枚撮る・・・。
同じ場所で、下界の街とオホーツクの海を背にもう一枚撮った・・・。
更に、海別岳に臨む雄姿?を撮って見たくなった・・・笑
★ 敢えてスキーデポ・・・
C700を超えて以降ハイマツ帯の広い尾根上を本峰を望みながらまっすぐに登る。
雪面は、しっかり締まっているが時間と共に緩み始めているのも実感出来た。スキー登行でも問題
は、なかったが、C800を超えるころから少しずつ斜度が増し、ハイマツを除けながら歩くより
アイゼンの方が歩き易いと見てC885付近で敢えてデポする事にした。
デポしたスキーがチーヤンの後ろに微かに見える。そして背景の風景が素晴らしい・・・。
★ 辛かった約350mの急登・・・
アイゼン登行でもほとんど埋まる事無くしっかり歯は雪を噛んでいた。これ以上ない快晴であり風
も微風で暑い程だった。もしこれが強風とホワイトアウトなんて言う状況なら天国と地獄の違いだ
ろう。贅沢なんて言えない条件下なのに少しずつ急登になるとゼィ~ゼィ~荒息を吐き何度も足が
止まるのはいつもの私だ。
標高1000mを超えると、目の前にニセピークを望みながら大きな雪壁に向かって登る事になる。
それが登っても登っても中々近づかない・・・。少し苛立って自分でも嫌になるほど辛い時間だっ
た。それでも一歩ずつ・・・。確実に近づくニセピークを手中に収めた時はホッと胸を撫で下ろし
た。同時に尾根の向こうに繋がる知床連山が目に飛び込み、圧倒されて言葉にならなかった。
正に絶景!
ニセピーク手前の尾根に辿り着き、知床連山の絶景を望む!
★ とうとう来た海別岳よ!・・・
登山開始から丁度5時間だった。そこはニセの頂も気分は登頂だった。360℃を見渡す風景は絶景そのもの。
北東に繋がる知床の峰々は、日高山脈でも大雪山とも違う神秘さで目に飛び込み、衝撃を受けた!一つ一つの山座同定は
出来ないが、一番近い山は「遠音別岳(1330m)」でそのずっと奥には主峰「羅臼岳(1661m)」なのだろうと思いながら、ただ
感動に慕っていた・・・。
ここはまだニセのピーク。我に返り目指す本峰を注視し「あそこかぁ~・・・」と気持ちが躍った!
頂上尾根は、やはり強風だったが寒くは無く春風に思えた。凍り付いた雪面も小気味よくアイゼンの歯が刺さり、恐怖心は
まったく無かった。徐々に近づく本峰に「とうとう来たぞぉ~!」と涙が出るほど嬉しかった。
ニセピーク手前の尾根上・・・前方に見えているのがニセピーク(1390m)。
ニセピークから頂上に向かうチーヤン・・・。
★ 夢叶った海別岳・・・
11:40 海別岳頂上。
二人で一緒にピークを踏んだ!この日を辛いなんて言ったら罰が当たりそうなくらい好天に恵まれて来た頂上。
本当に嬉しかったし、涙の登頂で抱き合って喜んだ!登行5時間20分は想定内で、ふがいない自分でもここまで来れた事は
やはり妻の存在が大きいと思った。本当に感謝である・・・。
まだ午前中だった事で時間的な余裕は、気持ちの余裕でもあり、この景色と立っている場所を噛み締めながら登頂の実感を喜
び合った。風は強かったが苦にならず、いつもの山頂コーラで乾杯もした。山頂標識を作って来なかった事が唯一悔やまれる
が、間違いなくここは海別岳頂上だ!
僅か10分の滞在だったが、忘れる事は無い感動の場所になったのは間違いない。
2021年3月24日 海別岳(1419m)初登頂! 背景はニセピークの1390峰・・・
これまで見た事が無いような神秘的が知床の峰々・・・夢のような絶景を見せてくれた。
頂上からの風景、南東に延びる尾根を撮る・・・
頂上からの風景、チーヤンと南西尾根と左に斜里岳が見えている。
頂上からの風景、斜里岳をズーム。
頂上からの風景、頂上北尾根の末端がニセピークの1390m峰になる
★ 余裕の下山・・・
苦しい登りはほぼ無い。
僅か10分の滞在も悔いは無し。晴れ晴れしい気持ちの下山である。
頂上中間尾根に無風の場所があり、立ち止まって写真を撮った。きっと再来は無いと思うが正に
貸切だったし、贅沢過ぎる天候に恵まれた事に改めて感謝である。
急斜面の下りでは、アイゼンが雪団子になるもストックで叩きながら順調に下る事が出来た。
硬かった雪もすっかり緩みザクザクのザラメ状態となり、途中でアイゼンも外しツボ足で降りた。
スキーデポ地点から登り2時間近く掛ったのに下りは1時間で着いた。
スキーに履き替えてザラメの雪面にシュプールを描く・・・。これがスキー登行の醍醐味である。
ただ、ずっと付けて来たピンテの回収があるので、その度に止まらなくてはならないが、無事に
下山するための保証でもあり、一つ一つ感謝して回収した。自分たちのトレースも分からない程
雪解けは進み、付けて来たテープの安心感は大きい。最後は深いザラメでスキー操作が出来ない
程埋まる場面もあったが、2時間半で降りてしまった喜びもまた大きい。
最後まで夫婦貸切だった海別岳に感謝して無事下山の握手をする。
頂上からニセピークへ下山の中間尾根で一枚・・・
下山する背中が大きい私・・・に気付く
唯一撮れたスキー滑降の一枚・・・
笑顔のチーヤンです・・・
★ ご褒美・・・
下山後も現地で泊り、翌日帰宅する計画だった。当初は前泊した道の駅「しゃり」で再び泊まる予
定だったが、予想以上に早い下山だったので宿泊地は清里町の道の駅「パパスランドさっつる」に
変更する事にした。ここは、温泉もレストランもある道の駅なので移動する事が無い最適な宿泊地
である。
先ずは温泉で汗を流し、湯上りはまっすぐレストランに・・・
生ビールで乾杯し、中華限定の料理をお腹いっぱい食べた。「飲んだら乗るな!」のポスターを見
て、飲んでも乗るよ・・・そこはホテルハイエースだから。と、また缶ビール一本を買って道の駅
を出る。居酒屋ハイエースで軽く二次会を終えると、早々ホテルハイエースに移行、もう二人とも
爆睡体制だった・・。
下山後の温泉と生ビールなんて私たちに取っては贅沢な山行のご褒美。
念願の山に登頂出来たのだから、これからもこんなご褒美なら何度でも味わいたいものだ。
★ 再会を楽しみに・・・
翌日は、帰路になるが復路は釧路経由にする事にした。
ここには、以前良く通っていたラーメン店「ら~めん工房・魚一」(うおっち)があり、今でも私が
一押しのラーメンで、ここ以上に美味しいラーメンとまだ出会った事は無い。
場所は、釧路駅近くの有名な和商市場の隣にある小さな「くしろ丹頂市場」の中にあるラーメン店
で、店長が考案した自慢の魚醤スープをメインにオリジナルなコクと飽きの来ない味わいが忘れる
事が出来ない。最後に訪れたのは8年前の2013年だった。私の事を覚えているか不安だったが
敢えて何も言わず何気な客を装い来店する。
注文を間違えて普通の醤油ラーメンにしてしまったが、本当は魚醤ラーメンが食べたかった。
最初は、気付いていないかぁ~と思ったが、笑顔が可愛い奥様が居なかったので始めて店長に話し
掛け「今日、女将さんは?」と聞くと「3年前に卒業したよ・・」と言って「前に会ってるよね」
と記憶を呼び起こしてくれた。開店して17年目、最初から上さんは3年間の約束だったが13年
も手伝って貰ったので3年前に卒業してもらったよ。今はパートの子を雇ってなんとかやってるけ
ど、私も68になった・・・と、色々話をしてくれた。コロナ禍で大変だったが、国や道から援助
があって助かったと聞いて私も安心した。
「あと5年は続けたいと思っているので、また来てね!」と最後に写真を撮って別れた。
いつまでも変わらぬ味で本当に美味しかった。来月も釧路に来る予定はあるが開店中には寄れない
ので、どうしても今回寄りたかった。元気な和泉店長に再会出来て嬉しかった。
間違えて注文した「醤油ラーメン」だが、これもまた美味しかった・・・
店長の和泉さんと一緒に・・・