通称・小天狗岳南峰と北峰の偵察兼ねて・・・
芦別山魂の隠れ座敷・・松籟山(ショウライサン)(1284m)
ほぼ全ルート先行者のトレースに助けられた
■ 山 行 日 2020年3月29日(日) 日帰り
■ ル ー ト 18線林道~極楽平~松籟山 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №14
■ 登 山 形 態 山スキー&アイゼン
■ 地 形 図 1/25000地形図 「布部岳」
■ 三角点・点名 三角点なし 標高点のみ
■ コースタイム 登り 5時間25分 下り 3時間35分
<登り>
08:10 18線林道最終除雪地 P出発
08:50 18線川の渡渉(唯一のSB)
10:40 槙柏山の西側1100m付近のコル
11:20~30 御茶々岳南西稜線上(1210m付近) アイゼン装着シートラ登行
12:00 御茶々岳西側 スキーデポ
13:15 松籟山基部
13:35 松籟山(1284m)頂上
<下り>
13:50 下山開始
13:55 松籟山基部
15:05~10 スキーデポ地点 シートラで下山
15:20~30 御茶々岳南斜面1200m付近 スキーを履く
15:35~45 槙柏山北側1150m付近にてシールを外す
17:05 SB渡渉
17:15 P 到着
GPSログを元に地形図に移行したルート図です・・往復15.2㎞でした。
富良野御料基線から望む「芦別岳」の雄姿は別世界のようだった・・・
★ 幾つかの選択・・・
3/28~30まで3連休だった。そして道内の天気予報もまずまずの3日間である。
こんなチャンスはないかも?と山の選択に前日まで悩む・・・。
一つは日高の「ピリカヌプリ」ひとつは道東の「海別岳」もう一つは道北「屋根棟山」。
しかし、ピリカヌプリは山中2泊で準備に余裕が無かった。海別岳は山行こそ日帰りも
片道400㎞前後の長丁場、このところの遠征続きでちょっと疲れ気味だった。そして
屋根棟山も遠い道北の一座だ・・・。
結局すべての選択は無効となり、3連休の初日は休養日になってしまった。だが、3日
間とも休養日にする事は許されず、まして2日目の天候は快晴である。せめてこの日だ
けでもどこかに行きたいと心の葛藤が続いた。
エバ夫婦未踏の一覧表というのがあり、一つ一つチェックして日帰りで行けそうな山を
探した・・・。すると暫くご無沙汰していた芦別山魂に目が止まる。
最初の選択は「小天狗岳南峰と北峰」だったが、調べて見ると日帰りでは無理があった。
では、その近くにある「松籟山(しょうらいさん)」は行けないかと調べるが、Web上で
も参考になる情報が得られず、皆山中一泊で小天狗岳とセットで登った記録だった。
そこから読み取る「松籟山」へのタイムは登り6時間を超えていた・・・。
雪が少なかった今シーズンの北海道、3月の芦別山魂は初めてだったが快晴の予報に後
押しされて、ダメ元で行って見るか!となった次第だ。出来る事なら松籟山のピークを
踏み、小天狗岳もじっくり眺めて次への計画に繋げたいと思っていた。
登り6時間も下りのスキーがあるし、少し日が長くなったので無事帰れると急いで計画
した。
★ 命名・隠れ座敷・・・
芦別岳を中心とするとその北側にある名の付いた1000m峰は、槙柏山1184m、御茶々岳
1331m、松籟山1284m、中天狗1317m、布部岳1338m、富良野西岳1331m、北の峰1084
mであるが、登山道が整備されているのは富良野西岳と北の峰だけである。地形図に山名
は載っていないが、角界ではメジャー的に呼ばれ登られている中岳1493mや小天狗岳南峰
1272mと北峰1263mも私のカウントしている1000m超峰である。
名のある山で唯一登っていないのが今回の松籟山でずっと気になっていた山ではあった。
いつかは・・・と思いつつも、芦別山魂と聞くだけで「厳しい山」というイメージが頭か
ら離れず、つい計画から遠のいていた。なので、今回改めて見付けた松籟山に対し、隠れ
座敷と命名したのは私である。山は小さいが目立った存在なのに余り登られていない山。
見えているのにちょっと隠れた存在・・・「隠れ座敷」どうですか?
スタートしてすぐ目の前に聳える松籟山を望みながら歩く事になる
進むにつれ松籟山がどんどん大きくなってくる・・・
★ 13年ぶりの18線川林道・・・
前回、この道をルートに登った槙柏山と御茶々岳は2007年5月の事だった。
あれから約13年ぶりの再来でそれも3月なので林道の除雪状況が気になりつつナビを利
用しながらなんとか18線川林道に入る事が出来た。道路脇にまだ残雪はあるものの路面
も出て車の走行に支障なく進む事が出来た。解放されたゲートも越えて約300mほど進
み、橋のあるところが除雪終点だった。温水池から約1㎞地点である。意外と入る事が出
来て想定していた場所に近かったので安堵した。
最終除雪帯にはすでに2台の車が駐車していて、並べて停める事は出来ず止む無く路上脇
に停める事にした。その間もう一台来たが、橋を渡った道路脇に停めて互いに準備を始め
たが、やはり日曜なのか先行者がいる事は嬉しかった。
林道にはまだ数十センチの積雪がありすぐにスキーを履いて歩き始める。先行者のトレー
スもまだはっきり残っていて心強い案内に感謝である。
歩き始めてすぐ目の前に聳えるのが、目標の「松籟山」。存在感たっぷりなのに余り登ら
れていないのかWeb上の情報は少なかった。地形図を見ると最短ルートは18線川林道から
松籟山の東尾根に取付きそのまま登頂する事なのだが、尾根に登るまで標高差200m以上の
急斜面に難儀しそうでスキーは不向きだった。仮に尾根に登ったとしても標高900m付近か
ら斜度が増しピッケル・アイゼン必須は冒険ものだ・・。距離だけで言うと半分の4㎞程だ
が、より安全なルートは槙柏山と御茶々岳の間を登り、御茶々岳の西側から極楽平を経由
して松籟山の西側に取付くのがベストと考える。その分距離と時間を要するが、今回のよ
うな快晴なら芦別山魂の景色を存分に楽しみながら登行が出来る事を良しとして選択した。
林道終点のすぐそばに唯一渡れそうなSBが一ヶ所だけあり渡渉成功。
★ トレース様様・・・
林道は40分程歩いて終点となり18線川の渡渉となるSBを探すところだが、先行者
のトレースを追えば自然とSBに繋がり助かった。渡渉してから他にSBがないか見渡
したがここが唯一のSBだった。それもようやく一人が渡れるかどうかの頼りないもの
で復路に不安もあったが仕方ない。少なくても4月にはもう融けて消滅する事は間違い
ない。
その後も先行者のトレース泥棒をしながら、後続の2名パーティーと抜きつ抜かれつで
ほぼ一緒に登っている感じだった。休憩時にどこまで行くのか尋ねると「ただのスキー
です」と応えていたが、登攀用のヘルメットとピッケルも持ちテレマークスキーでの登
行スタイルを見る限りスキーだけを目的とは思えない男女だった。結局彼らは御茶々岳
に登るのを後で確認したが、私たちは別ルートから御茶々岳の西側に登った。
途中の標高900m付近でショートスキーで下山してくる単独の男性とスライドし、挨
拶を交わす。槙柏山の途中まで登って芦別岳の写真を撮る事が目的だったようだ。スキ
ーは非常に上手く華麗に滑り降りて行った・・。先行する別パーティーは2名らしくス
ノーシュー登行で御茶々岳に登ると聞いたらしいが、トレースは途中から無くなってい
たので南斜面から直登したものと思われる。
この登行の核心部は、標高1150m付近まで登った槙柏山と御茶々岳の中間地点から
御茶々岳までどう登るかで難易度と時間が変わってくるところだ。
スノーシュー組は、仮に南斜面を直登したとしてもスキーでは登れない斜度で雪面が硬
くスキーアイゼンがあればなんとか・・・というレベルである。ただテレマークの2名
はスキーだけで南斜面を登って行くのを途中まで見ていたが、私たちは南斜面を回り込
んで西の稜線上から登るルートを選んだ。
なんとか稜線上に着くと西斜面に白樺の若木が密集する樹林帯で稜線上も狭く斜度もあ
った。スキーでは登れそうに無かったのでアイゼンを装着しシートラで登る事にした。
ところどころ白樺の枝にスキーを引っかけるもアイゼンの歯が小気味よく利き快適に登
る事が出来た。最後は小さな雪庇を乗り越えて御茶々岳の平らな西側に出て安堵する。
テレマークの二人が頂上に居る事が確認出来たが、私たちはスルーして直接松籟山を目
指す事にした。
するとどうだろう・・・
辿ろうとする先に真新しいトレースが松籟山の方向に付いているではないか。
足跡を見ると2名だったので、きっと先行していたスノーシュー組だとすぐに判った。
余りに天気が良いので足を延ばしたのだろう・・それにしても頼りになるトレースだっ
た。これは絶対お礼を申し上げなければ・・と思いながら、2人を探しながら歩いてい
ると極楽平を回り込んだ松籟山の西側でバッタリスライドした。
早々、トレース泥棒のお礼を申し上げると逆に「エバさんですか?」と声を掛けられ
びっくりする。「いつもブログを見ています・・」と言われ嬉しくてお名前を聞くの
を忘れてしまって大変失礼した。申し訳ない。
1000m付近になると緩斜面の疎林帯となり下りのスキーが楽しみなる場所だったが・・・
背景は槙柏山、これから御茶々岳の南側をトラバースする場面
迫力ある芦別岳の夫婦岩が今いる異次元の世界を錯覚する・・・
1200m付近の稜線上から芦別岳を望む
アイゼンを付けてシートラで登った御茶々岳の西側稜線
稜線を登り切ると雪庇があったが、御茶々岳の西側の平らな台地に降りる・・・
張り出した雪庇と芦別岳・・・
★ 後悔も・・・
御茶々岳の西側に何故スキーをデポしてしまったのか・・?
暫く歩いてから後悔したが、戻る元気は無かった。アイゼンを付けたままの歩いても埋
まる事はないが、スキーならもっと早く下りは滑る事も出来たのに・・・と後の祭りも
悔しかった。
極楽平から望む松籟山
極楽平から望む十勝連峰
極楽平を経由しようやく松籟山の基部へ降りるところ
松籟山頂上から辿って来た極楽平と中天狗、小天狗の南峰、北峰を望む
頂上から望む布部岳(左側)と富良野西岳(右側)
頂上から望む芦別岳・・・右側の平ら所は御茶々岳
ズーム・・写真真ん中の尖ったところが芦別岳頂上
3/29 松籟山(1284m) 初登頂・・・背景は富良野西岳
芦別岳を背に・・・
頂上から東尾根に発生した雪庇がこのルートからの登行を阻んでいるようだ・・・
★ ギリギリの登頂タイム・・・
スタートが8時過ぎだったので登行時間も頭で計算しながら歩いていた。
日が長くなったとは言っても、16時には下山したいと思っていたので登りのタイムアウ
トは13時頃でその時にもう一度検討しようと話しながら歩を進める。
ただ、下りはスキーだからと言う甘い考えもエバ夫婦らしい発想だ。タイムアウトの13
時頃は、ようやく松籟山の基部だった。ここまで来てタイムアウトで下山とはならない
だろう。
13:35登頂。オーバータイムだったが先ずは初登頂の喜びと絶景は楽しまないと・・。
ちゃちゃっと写真を撮り、15分の滞在で下山したが、360度の絶景に酔いしれた15分だ
った。時間は掛かったが、スキーをデポしなかったら何分早かったか?なんてもう考え
るのは止めよう。
下り16時とすれば、あと2時間半しかない訳でどう急いでも無理があった。
下りの景色も絶景でもっとゆっくり歩いて楽しみたかったが、ほとんど休まずに歩いて
まずはスキーデポ地点を目指した。
復路、辿って来た正面の極楽平は間もなくだ・・・
極楽平を歩く・・・
極楽平から中天狗と小天狗の両山を望む
スキーをデポした御茶々岳西側の平らな雪原・・・正面は芦別岳
★ 下りはスキー・・とんでもない
スライドしたスノーシュー組は、私たちのスキーデポ地点を通り私たちのトレースを逆
利用して降りていた。ただ、私たちは登り場面で下る場所を決めていて御茶々岳の南面
にある小さな沢形の急斜面を降りたので、タイム的にはかなり短縮になったと思う。
ここは私たちにとって下りの核心部で、シートラしながらアイゼンで下ったが怖い思い
は下まで続いた・・。南斜面の緩斜面にある自分たちのトレースを見た時ようやくホッ
として「帰れる」と安堵した。
ここでシールを付けたままスキーを履き、御茶々岳と槙柏山の間まで滑り降りた。
そして、いよいよ下りの場面でシールを外しスキー体制に入った。1000m~900m位まで
は緩斜度である程度スキーも楽しめたが、急斜度になった頃から状況が一変する。
気温も一気に下がったのか雪面が硬くなり複雑な地形の下りだったのでターンする度に
転ぶ始末である。雪面は硬いのにターンすると深くスキーが埋まりターン出来ずに転ぶ。
その繰り返しでどっと疲れた・・。これなら歩いたほうが早いと判断し再びシートラで
しばらく降りた。再度スキーを履いたのは標高700m付近からだったが、誤魔化しながら
なんとか降りて、標高約480m付近のSBを渡ってホッと胸を撫で下ろした。
SBはもう限界だったが、ツボ足で渡る事が出来た。
林道は平均下りだったので、スキーは良く滑り僅か10分で駐車場に着いてしまった。
終わって見れば17:15。ギリギリの下山だったと思う。
下りだからスキーを楽しんで・・・と思ったが、とんでもなかった。
山によって下りも困難な(スキーが下手なエバ夫婦)場合があると知らされた松籟山登行だ
った。
スキーデポ地点から御茶々岳南側の斜面を降りて登りのトレースと合流する
※ 4/1 アップ終了しました・・
芦別山魂の隠れ座敷・・松籟山(ショウライサン)(1284m)
ほぼ全ルート先行者のトレースに助けられた
■ 山 行 日 2020年3月29日(日) 日帰り
■ ル ー ト 18線林道~極楽平~松籟山 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №14
■ 登 山 形 態 山スキー&アイゼン
■ 地 形 図 1/25000地形図 「布部岳」
■ 三角点・点名 三角点なし 標高点のみ
■ コースタイム 登り 5時間25分 下り 3時間35分
<登り>
08:10 18線林道最終除雪地 P出発
08:50 18線川の渡渉(唯一のSB)
10:40 槙柏山の西側1100m付近のコル
11:20~30 御茶々岳南西稜線上(1210m付近) アイゼン装着シートラ登行
12:00 御茶々岳西側 スキーデポ
13:15 松籟山基部
13:35 松籟山(1284m)頂上
<下り>
13:50 下山開始
13:55 松籟山基部
15:05~10 スキーデポ地点 シートラで下山
15:20~30 御茶々岳南斜面1200m付近 スキーを履く
15:35~45 槙柏山北側1150m付近にてシールを外す
17:05 SB渡渉
17:15 P 到着
GPSログを元に地形図に移行したルート図です・・往復15.2㎞でした。
富良野御料基線から望む「芦別岳」の雄姿は別世界のようだった・・・
★ 幾つかの選択・・・
3/28~30まで3連休だった。そして道内の天気予報もまずまずの3日間である。
こんなチャンスはないかも?と山の選択に前日まで悩む・・・。
一つは日高の「ピリカヌプリ」ひとつは道東の「海別岳」もう一つは道北「屋根棟山」。
しかし、ピリカヌプリは山中2泊で準備に余裕が無かった。海別岳は山行こそ日帰りも
片道400㎞前後の長丁場、このところの遠征続きでちょっと疲れ気味だった。そして
屋根棟山も遠い道北の一座だ・・・。
結局すべての選択は無効となり、3連休の初日は休養日になってしまった。だが、3日
間とも休養日にする事は許されず、まして2日目の天候は快晴である。せめてこの日だ
けでもどこかに行きたいと心の葛藤が続いた。
エバ夫婦未踏の一覧表というのがあり、一つ一つチェックして日帰りで行けそうな山を
探した・・・。すると暫くご無沙汰していた芦別山魂に目が止まる。
最初の選択は「小天狗岳南峰と北峰」だったが、調べて見ると日帰りでは無理があった。
では、その近くにある「松籟山(しょうらいさん)」は行けないかと調べるが、Web上で
も参考になる情報が得られず、皆山中一泊で小天狗岳とセットで登った記録だった。
そこから読み取る「松籟山」へのタイムは登り6時間を超えていた・・・。
雪が少なかった今シーズンの北海道、3月の芦別山魂は初めてだったが快晴の予報に後
押しされて、ダメ元で行って見るか!となった次第だ。出来る事なら松籟山のピークを
踏み、小天狗岳もじっくり眺めて次への計画に繋げたいと思っていた。
登り6時間も下りのスキーがあるし、少し日が長くなったので無事帰れると急いで計画
した。
★ 命名・隠れ座敷・・・
芦別岳を中心とするとその北側にある名の付いた1000m峰は、槙柏山1184m、御茶々岳
1331m、松籟山1284m、中天狗1317m、布部岳1338m、富良野西岳1331m、北の峰1084
mであるが、登山道が整備されているのは富良野西岳と北の峰だけである。地形図に山名
は載っていないが、角界ではメジャー的に呼ばれ登られている中岳1493mや小天狗岳南峰
1272mと北峰1263mも私のカウントしている1000m超峰である。
名のある山で唯一登っていないのが今回の松籟山でずっと気になっていた山ではあった。
いつかは・・・と思いつつも、芦別山魂と聞くだけで「厳しい山」というイメージが頭か
ら離れず、つい計画から遠のいていた。なので、今回改めて見付けた松籟山に対し、隠れ
座敷と命名したのは私である。山は小さいが目立った存在なのに余り登られていない山。
見えているのにちょっと隠れた存在・・・「隠れ座敷」どうですか?
スタートしてすぐ目の前に聳える松籟山を望みながら歩く事になる
進むにつれ松籟山がどんどん大きくなってくる・・・
★ 13年ぶりの18線川林道・・・
前回、この道をルートに登った槙柏山と御茶々岳は2007年5月の事だった。
あれから約13年ぶりの再来でそれも3月なので林道の除雪状況が気になりつつナビを利
用しながらなんとか18線川林道に入る事が出来た。道路脇にまだ残雪はあるものの路面
も出て車の走行に支障なく進む事が出来た。解放されたゲートも越えて約300mほど進
み、橋のあるところが除雪終点だった。温水池から約1㎞地点である。意外と入る事が出
来て想定していた場所に近かったので安堵した。
最終除雪帯にはすでに2台の車が駐車していて、並べて停める事は出来ず止む無く路上脇
に停める事にした。その間もう一台来たが、橋を渡った道路脇に停めて互いに準備を始め
たが、やはり日曜なのか先行者がいる事は嬉しかった。
林道にはまだ数十センチの積雪がありすぐにスキーを履いて歩き始める。先行者のトレー
スもまだはっきり残っていて心強い案内に感謝である。
歩き始めてすぐ目の前に聳えるのが、目標の「松籟山」。存在感たっぷりなのに余り登ら
れていないのかWeb上の情報は少なかった。地形図を見ると最短ルートは18線川林道から
松籟山の東尾根に取付きそのまま登頂する事なのだが、尾根に登るまで標高差200m以上の
急斜面に難儀しそうでスキーは不向きだった。仮に尾根に登ったとしても標高900m付近か
ら斜度が増しピッケル・アイゼン必須は冒険ものだ・・。距離だけで言うと半分の4㎞程だ
が、より安全なルートは槙柏山と御茶々岳の間を登り、御茶々岳の西側から極楽平を経由
して松籟山の西側に取付くのがベストと考える。その分距離と時間を要するが、今回のよ
うな快晴なら芦別山魂の景色を存分に楽しみながら登行が出来る事を良しとして選択した。
林道終点のすぐそばに唯一渡れそうなSBが一ヶ所だけあり渡渉成功。
★ トレース様様・・・
林道は40分程歩いて終点となり18線川の渡渉となるSBを探すところだが、先行者
のトレースを追えば自然とSBに繋がり助かった。渡渉してから他にSBがないか見渡
したがここが唯一のSBだった。それもようやく一人が渡れるかどうかの頼りないもの
で復路に不安もあったが仕方ない。少なくても4月にはもう融けて消滅する事は間違い
ない。
その後も先行者のトレース泥棒をしながら、後続の2名パーティーと抜きつ抜かれつで
ほぼ一緒に登っている感じだった。休憩時にどこまで行くのか尋ねると「ただのスキー
です」と応えていたが、登攀用のヘルメットとピッケルも持ちテレマークスキーでの登
行スタイルを見る限りスキーだけを目的とは思えない男女だった。結局彼らは御茶々岳
に登るのを後で確認したが、私たちは別ルートから御茶々岳の西側に登った。
途中の標高900m付近でショートスキーで下山してくる単独の男性とスライドし、挨
拶を交わす。槙柏山の途中まで登って芦別岳の写真を撮る事が目的だったようだ。スキ
ーは非常に上手く華麗に滑り降りて行った・・。先行する別パーティーは2名らしくス
ノーシュー登行で御茶々岳に登ると聞いたらしいが、トレースは途中から無くなってい
たので南斜面から直登したものと思われる。
この登行の核心部は、標高1150m付近まで登った槙柏山と御茶々岳の中間地点から
御茶々岳までどう登るかで難易度と時間が変わってくるところだ。
スノーシュー組は、仮に南斜面を直登したとしてもスキーでは登れない斜度で雪面が硬
くスキーアイゼンがあればなんとか・・・というレベルである。ただテレマークの2名
はスキーだけで南斜面を登って行くのを途中まで見ていたが、私たちは南斜面を回り込
んで西の稜線上から登るルートを選んだ。
なんとか稜線上に着くと西斜面に白樺の若木が密集する樹林帯で稜線上も狭く斜度もあ
った。スキーでは登れそうに無かったのでアイゼンを装着しシートラで登る事にした。
ところどころ白樺の枝にスキーを引っかけるもアイゼンの歯が小気味よく利き快適に登
る事が出来た。最後は小さな雪庇を乗り越えて御茶々岳の平らな西側に出て安堵する。
テレマークの二人が頂上に居る事が確認出来たが、私たちはスルーして直接松籟山を目
指す事にした。
するとどうだろう・・・
辿ろうとする先に真新しいトレースが松籟山の方向に付いているではないか。
足跡を見ると2名だったので、きっと先行していたスノーシュー組だとすぐに判った。
余りに天気が良いので足を延ばしたのだろう・・それにしても頼りになるトレースだっ
た。これは絶対お礼を申し上げなければ・・と思いながら、2人を探しながら歩いてい
ると極楽平を回り込んだ松籟山の西側でバッタリスライドした。
早々、トレース泥棒のお礼を申し上げると逆に「エバさんですか?」と声を掛けられ
びっくりする。「いつもブログを見ています・・」と言われ嬉しくてお名前を聞くの
を忘れてしまって大変失礼した。申し訳ない。
1000m付近になると緩斜面の疎林帯となり下りのスキーが楽しみなる場所だったが・・・
背景は槙柏山、これから御茶々岳の南側をトラバースする場面
迫力ある芦別岳の夫婦岩が今いる異次元の世界を錯覚する・・・
1200m付近の稜線上から芦別岳を望む
アイゼンを付けてシートラで登った御茶々岳の西側稜線
稜線を登り切ると雪庇があったが、御茶々岳の西側の平らな台地に降りる・・・
張り出した雪庇と芦別岳・・・
★ 後悔も・・・
御茶々岳の西側に何故スキーをデポしてしまったのか・・?
暫く歩いてから後悔したが、戻る元気は無かった。アイゼンを付けたままの歩いても埋
まる事はないが、スキーならもっと早く下りは滑る事も出来たのに・・・と後の祭りも
悔しかった。
極楽平から望む松籟山
極楽平から望む十勝連峰
極楽平を経由しようやく松籟山の基部へ降りるところ
松籟山頂上から辿って来た極楽平と中天狗、小天狗の南峰、北峰を望む
頂上から望む布部岳(左側)と富良野西岳(右側)
頂上から望む芦別岳・・・右側の平ら所は御茶々岳
ズーム・・写真真ん中の尖ったところが芦別岳頂上
3/29 松籟山(1284m) 初登頂・・・背景は富良野西岳
芦別岳を背に・・・
頂上から東尾根に発生した雪庇がこのルートからの登行を阻んでいるようだ・・・
★ ギリギリの登頂タイム・・・
スタートが8時過ぎだったので登行時間も頭で計算しながら歩いていた。
日が長くなったとは言っても、16時には下山したいと思っていたので登りのタイムアウ
トは13時頃でその時にもう一度検討しようと話しながら歩を進める。
ただ、下りはスキーだからと言う甘い考えもエバ夫婦らしい発想だ。タイムアウトの13
時頃は、ようやく松籟山の基部だった。ここまで来てタイムアウトで下山とはならない
だろう。
13:35登頂。オーバータイムだったが先ずは初登頂の喜びと絶景は楽しまないと・・。
ちゃちゃっと写真を撮り、15分の滞在で下山したが、360度の絶景に酔いしれた15分だ
った。時間は掛かったが、スキーをデポしなかったら何分早かったか?なんてもう考え
るのは止めよう。
下り16時とすれば、あと2時間半しかない訳でどう急いでも無理があった。
下りの景色も絶景でもっとゆっくり歩いて楽しみたかったが、ほとんど休まずに歩いて
まずはスキーデポ地点を目指した。
復路、辿って来た正面の極楽平は間もなくだ・・・
極楽平を歩く・・・
極楽平から中天狗と小天狗の両山を望む
スキーをデポした御茶々岳西側の平らな雪原・・・正面は芦別岳
★ 下りはスキー・・とんでもない
スライドしたスノーシュー組は、私たちのスキーデポ地点を通り私たちのトレースを逆
利用して降りていた。ただ、私たちは登り場面で下る場所を決めていて御茶々岳の南面
にある小さな沢形の急斜面を降りたので、タイム的にはかなり短縮になったと思う。
ここは私たちにとって下りの核心部で、シートラしながらアイゼンで下ったが怖い思い
は下まで続いた・・。南斜面の緩斜面にある自分たちのトレースを見た時ようやくホッ
として「帰れる」と安堵した。
ここでシールを付けたままスキーを履き、御茶々岳と槙柏山の間まで滑り降りた。
そして、いよいよ下りの場面でシールを外しスキー体制に入った。1000m~900m位まで
は緩斜度である程度スキーも楽しめたが、急斜度になった頃から状況が一変する。
気温も一気に下がったのか雪面が硬くなり複雑な地形の下りだったのでターンする度に
転ぶ始末である。雪面は硬いのにターンすると深くスキーが埋まりターン出来ずに転ぶ。
その繰り返しでどっと疲れた・・。これなら歩いたほうが早いと判断し再びシートラで
しばらく降りた。再度スキーを履いたのは標高700m付近からだったが、誤魔化しながら
なんとか降りて、標高約480m付近のSBを渡ってホッと胸を撫で下ろした。
SBはもう限界だったが、ツボ足で渡る事が出来た。
林道は平均下りだったので、スキーは良く滑り僅か10分で駐車場に着いてしまった。
終わって見れば17:15。ギリギリの下山だったと思う。
下りだからスキーを楽しんで・・・と思ったが、とんでもなかった。
山によって下りも困難な(スキーが下手なエバ夫婦)場合があると知らされた松籟山登行だ
った。
スキーデポ地点から御茶々岳南側の斜面を降りて登りのトレースと合流する
※ 4/1 アップ終了しました・・