エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

花の百名山・・・夕張岳 (1668m)

2014年06月27日 | 山紀行 (増毛・夕張・芦別)
特別な山、2年振りに再訪・・・
花の百名山・・・
夕 張 岳 (1668m)
■ 山 行 日    2014年6月27日(金)  日帰り
■ コ ー ス     冷水コース~頂上~馬の背コース
■ メ ン バ ー    夫婦登山 №15
■ 登 山 形 態    登山道
■ 地 形 図    1/25000地形図  「滝ノ沢岳」「夕張岳」
■ 三角点・点名   一等三角点・点名「夕張岳・ユウバリダケ」
■ コースタイム    登り 4時間07分  下り 2時間35分
<アプローチ>
車止め林道ゲート 6:40----登山口駐車場ゲート 7:40  駐輪
<登り>
登山口 7:48---冷水の沢 8:38~48---馬の背分岐 9:02---石原平 9:30~40
---望岳台 9:48~50---憩い沢 10:14---前岳湿原 10:24---蛇紋岩崩壊地
10:45---1400m湿原 11:00---吹き通し 11:25~35--頂上 11:55
<下り>
下山開始 12:35---1400m湿原 14:00~05---馬の背分岐 14:27~30
---(馬の背コース)---ヒュッテ 15:20
<帰路の林道 30分>


★ 登山口へのアプローチ・・・
国道452号線夕張~桂沢湖線に入るとシューパロ湖の新道入口に「シューパロトンネル」がある。
登山口へのアプローチはここからご案内しよう。
その前にトンネルを出てすぐにシューパロ湖の異変に気が付く・・・と言うよりびっくりした。
新シューパロダムが完成し、旧シューパロダムをはじめあの三弦橋(さんげんきょう)や白銀橋(しら
きんばし)も全てが湖の下に沈んでしまったのだ。大量に増水した湖の湖面から頭だけ出した大木の
葉先が非常に印象的で、何故か悲しい気持ちとここまでやる必要があったのかと思いつつ、当時の
景色が懐かしかった。



2014年4月22日に撮った「白銀橋」も今は水の下だ・・・
<案内>
シューパロトンネルを出て約2㎞走ると「岳富橋」の案内板がある。
すぐ先にはまだ未完成の記念公園のような広場が右手、車両の回転路が左手にある。
その公園の手前を右折する。(出合には夕張岳登山口への案内板は無かった)
道なりに進むと素晴らし過ぎる高架橋がありシューパロ湖の上を跨ぐように林道へ続いている。
平日の日中帯は工事車両が行き合い橋途中の待避場所で待つ場面もあるので注意したい。

国道から約5㎞走ると以前の林道ゲートがあるが、ここは開放されていた。
ダートの林道を更に約2㎞進むと新しいゲートがあり駐車帯も整備されている。
駐車スペースは約20台ほどだが、土日ならすぐに満車状態が予想出来る。
結局、国道から約7㎞で車止め・・・ここからは徒歩となり以前の登山口手前駐車場まで約7㎞ある。

日帰り装備なら2時間、ヒュッテ泊の重装備なら2時間30分のアプローチだろう。

林道の通行止め解除の目途は発表されていないが、一日も早い車両の通行を開放してほしいものだ。




シューパロトンネル 全長2310m


新しいゲートと登山ポストそして右下に駐車帯、手前にも7~8台の駐車スペースがある。

★ 2年振りの夕張岳へ・・・
ゲート出発 6:40
2012年6月以来の夕張岳と新夕張岳ヒュッテの完成を聞いて是非その姿を見たくて再訪を計画した。
夕張岳の自然保護活動と新ヒュッテの建設に深く関わって来ただけに、今でも他人事では無いと気に
なるのは可笑しいだろうか?すべて中途半端のまま役職を退任し、気持ちは割り切れないままで居るが
夕張岳が好きで入会した頃の気持ちは今も変わらない。

6月の雪解けと同時に最初に咲く「ユウパリコザクラ」吹き通しの「ユウバリソウ」「ナンブイヌナズナ」
「シソバキスミレ」等々、気になる花々が今年はどのように咲いて見せてくれるか楽しみだった。



平均登りの林道だが歩くより遥かに早いチャリンコを用意してのアプローチだった

林道終点登山口駐車場(ゲート) 7:40着
約7キロの林道も約1時間で着く事が出来た。
平均上り坂でチャリから降りて押す場面も何度もあったが、その分帰りの下り坂が楽しみになる。
でも、ここまで車で来ることが好ましいに違いは無い。あぁ~余計な林道のアプローチだ。



GPSトラックログは岳友「パッポ隊長出動ログ」からお借りしました・・


冷水(ひやみず)コース登山口からスタートする

★ 懐かしい・・・
冷水コース登山口 7:48
歩き慣れた登山道、ほんの2年振りなのに何故か懐かしい。


毎年ここで見てました「ミヤマハンショウズル」今年も健在で嬉しい・・

冷水(ひやみず)の沢 8:38~48 休憩
登山口から30分程登ると通称「シナノキ平」と名付けた平らな場所に着く。
いつもここで一息ついてから次の冷水の沢を目指す。
「冷水の沢」ここまで約1時間、美味しい水場があって休憩するには絶好の場所だ。
先行していた石狩市から来たと言う単独の男性と出会う。夕張岳は初めてのようで立派なカメラと
三脚を持っていたので花の写真が目当てかも知れない。



珍しくはない「ゴゼンタチバナ」も新鮮に見える・・・

★ 馬の背分岐・・・
分岐 9:02
ここまで通常1時間半、ちょっぴり早いペースで着く。
馬の背分岐は前岳(1500m)の西尾根上にあり、尾根上の登山道が馬の背コースになっている。
このコースを下った先がヒュッテとなるので下りはこちらから降りる事にしている。


★ 笹刈りされた登山道・・・
昨年の秋に大掛かりな登山道の整備として笹刈りを行った・・・と言うウワサは聞いていた。
それは馬の背分岐から始まっている事が、はっきりと分かる。
ここは以前、登山道に覆いかぶさる笹で早朝の朝露でよくズボンを濡らしたものだったが、
幅広く刈られて登山道は気持ち良く歩き易くなっていた。
その笹刈りは吹き通しまでのほぼ全ルートで行われその完璧さに驚く。

更に驚いたのは、馬の背コースも笹刈りされていた。
冷水コースのようにガレの沢状態の場所は一箇所も無いが急斜度の下りで登山道が見えない程に
笹が覆い被さった場所もきれいに刈られていた。道の良し悪しで感想を言うと絶対馬の背コースが
私は好きだ。


★ 花との再会・・・
石原平(せきげんだいら) 9:30~40 休憩
石原平に群生するシラネアオイはすでに花期を終えて実を付けたものもある。
しかし、遅咲きのまだ小さい葉を広げたシラネアオイが入口で迎えてくれた。

チーヤンも久しぶりの再会で満足気・・・

花との再会はこの後も飽きる事無く次々と続くから夕張岳は素晴らしい・・・。



石原平の入口付近で再会したシラネアオイの小群落・・・




カラマツソウ


すでに花期を終えたシラネアオイの葉だけが広がる群生地、石原平・・・


オオバミゾホウズキ


チョット濃い紫色のシラネアオイにも出会いました・・・


憩い沢で見たエゾノリュウキンカ・・・眩しいほどに黄色が太陽の光に反射している


前岳湿原手前の登山道もこんなにきれいに笹狩りされてました・・・


前岳湿原から望む初夏の夕張岳と手前のガマ岩


大輪のシナノキンバイソウ


可憐なハクサンチドリ


前岳湿原付近から目立ち始めるウコンウツギ


ガマ岩付近と吹き通しに目立つミヤマオダマキ


サンカヨウも今が最盛期かな・・・


蛇紋岩崩壊地のチングルマの群落


ちょっと露出オーバーのミヤマキンポウゲ

★ 吹き通しの花々・・・
夕張岳の頂上直下、その名の通り風の通り道になっている「吹き通し」
夕張山地にしか咲かないユウバリソウはウルップソウの変種、保護活動の成果が徐々に実を結び
株は年々増えているように思う。他の品種も同じように増えているかも知れない。
厳しい環境なのにここだけで生き続ける可憐な花たち、鹿の食害も懸念されるが幸いにしてここで
心配するのは食害よりも踏付けかも知れない。

撮り切れない花がここにある・・・。

ほんの一部ですがご覧下さい。



吹き通しと夕張岳


吹き通しのミヤマオダマキ


吹き通しのハクサンイチゲ


チシマキンレイカ


エゾノクモマグサ


なんとか見れました固有種ユウバリソウです・・・


最初はシソバキスミレだと思いましたが、エゾタカネスミレだと思う?


特に鮮やかな紫の花だった アズマギク


タカネグンバイ


エゾミヤマクワガタ


ヨツバシオガマ


ミヤマダイコンソウ


すばらしい・・・


頂上直下の夕張岳神社・・・


神社の横にこの時期咲いてます・・・イワウメたち


花期は終えているのに一株だけ花を付けていましたキバナシャクナゲ


頂上直下でピースポーズの美人女房・・・


夕張岳頂上にて


頂上に咲くミヤマオグルマ


イワブクロも少ないが咲いてますよ~・・・


目立たないが可愛いツマトリソウ


吹き通しの夏の花ユキバヒゴタイはまだ蕾でした・・・


やっぱりエゾタカネスミレですね・・・


芦別岳を遠望する


夕張岳の癒しの場所は1400m湿原の花畑かな?


唯一ピントの合ったチシマフウロでした・・・


ガマ岩の近くで再発見、ミヤマハンショウズル


夏なのにまだ咲いています・・・憩いの沢の水芭蕉


登山道脇にひっそりとノウゴウイチゴ

★ 一歩ずつ前へ・・・
1989年4月に創立した「ユウパリコザクラの会」
当時「タンコウからカンコウへ」の動きが活発となり夕張岳にスキー場開発計画が公表される。
これを発端に夕張岳の自然を守ろう運動が広がり様々な取り組みを繰り返し、開発計画の反対・中止を
訴えて来た。その先頭に立って活動を進めて来たのがユウパリコザクラの会だ。
今年で創立25周年を迎えた。

夕張岳ヒュッテは、元々夕張市市営の避難小屋。現在もそれは変わりない。
しかし、旧ヒュッテの老朽化が進み運営・管理を委託されていたユウパリコザクラの会は、市の取壊し
案に対し建替えの計画を打ち出し広く内外に寄付金を募った。3年計画で寄付金の活動が進められる
のと同時に新ヒュッテの建設計画も進められ2011年から本格的に建替え事業が始まった。

昨年の秋にほぼ完成し、旧ヒュッテを解体した。今年から新ヒュッテとしての避難小屋の役割を引継ぎ
6月21日から運営が始まっている。

間近で見て、その出来映えは素人が手作りした小屋とは思えないすばらしいものだった。
それでもまだ完成では無く、手を加え改良する箇所は多々あり本当の完成が待ち遠しい。

その間も夕張岳の自然保護活動は継続し同時にヒュッテの運営管理や完成に向けた様々な作業を
行っているユウパリコザクラの会に敬意を表したい・・・と変な自画自賛だ。

すべてボランティア、会員が手弁当で活動に参加している。

まだまだ問題も課題も山積みのようではあるが、焦らずに一歩ずつ前に進む方向と未来に託す活動の
継続は欠かせないだろうと勝手ながら思うところだ。



最終目的の新ヒュッテにようやく逢えましたぁ~・・・

★ 激走でチェーンが切れた・・・
無事下山して楽しみの林道7キロの下りだ。
駐車場からチャリを漕ぎ出し、登り返しも辛くは無い。登り切れば一気の下りが待っている。
軽いMTBがどっかに飛んでしまいそうなダートの下り。行き追い付いてブレーキは必至だ。
早過ぎてチーヤンが追い着いて来ない。

約半分くらい走った時、突然チャリのペダルが空回りする。

チェーンが切れてしまった。

でもチャリは走っている・・・。

ほとんどが下り勾配の林道、チェーンが無いチャリでも大丈夫。
30分で車のある林道ゲートに着いてしまった。


★ 林道整備を早急に・・・
山開きを終えてヒュッテの運営も通常通りと言うのに林道が危険?だから・・・
車両通行止め?担当する森林管理署の言い分も分からない訳では無いが、事実関係者の車は
林道を使用している。日本花の百名山に数えられ日本二百名山の夕張岳を目指す登山者は年々
増加している。今が旬の夕張岳なのに7キロの林道を歩いて来い・・・。は、殿様商売と言われても
仕方ないのではないか。

まぁ山に行きたい者のわがままは行政側のご都合は理解しようとしないから暴言ならご容赦願いたい。

いずれにしても林道整備は急務だし早急に復旧する事を願うばかりだ。

個人的にまたチャリを漕いでも夕張岳には登りたいと思える素晴らしき自然がここにある。