エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

南日高・オムシャヌプリ(1379m)

2009年08月25日 | 山紀行 (日高山系)
南日高・オムシャヌプリ(1379m) 沢登り
(野塚川北東面直登沢~オムシャヌプリ
~北尾根1232峰直下東面薮下降~無名沢~野塚川570二股)

■ 1/25000地形図 「楽古岳」
■メンバー  CL ganさん、山さん、岩さん、カトちゃん、寺さん、宮王さん、りえちゃん、エバ
■山行日 2009年8月22日(土)~23(日)


8/22 野塚川林道からオムシャヌプリを望みながら林道終点まで歩く(左の鋭鋒がオムシャ東峰)

山の魅力凝縮・・
 南日高の山々の中で登山道のある山は、最南端のアポイ岳(810m)とその稜線上の吉田岳(798m)、ピンネシリ(957m)の3座そして楽古岳(1472m)を含めた4座しかなく他は沢登りか積雪期に登るしか登頂の方法は無い。花の百名山で有名なアポイ岳は全国から訪れる登山者も多く賑やかな時期もあるだろうが、それ以外の山はいわいる地元の山ヤ、沢ヤの静かな癒しの場となっているだけで訪れる者は少ないだろう。その山の魅力が凝縮されているのが登山道のある楽古岳を含めた十勝岳、オムシャヌプリ(双子山)、野塚岳の山々だ。ただ人により山の魅力とは・・の見解に相違があるだろうから必ずしも「魅力」を感じるとは言い切れないが、そこは主観的意見として承知していただきたい。

楽しき仲間 HYMLメンバーたち・・・
 今回の計画は、HYML(北海道の山メーリングリスト)のganさんの誘いで定員オーバー気味のところを切望して参加させて頂いた。経験や技術が無くても体力と根性さえあれば大方参加OKの称号が与えられる。ただし、怪我と弁当は自分持ちというルールもあるが・・・。6月の野塚岳に続き2度目となるHYMLの遡行に胸膨らませるエバである。


【8/22(土)】
 
 エバ宅までお迎えが来てくれるという贅沢な山も久々だがありがたく甘えて山さんの車に乗り込む。途中でリーダーのganさんを拾って全員集合、2台の車で登山口を目指した。
 国道235号線新ひだか町(旧静内町)で運転を変わり、国道236号線天馬街道・野塚トンネルを越えて十勝側広尾町に降りる。運転に関わっていないganさんや寺さんはもう半分出来上がっているようだ。天馬街道を降りた国道分岐から右折し国道336号線に入り5㌔程走ると野塚川に架かる「野塚橋」がありそのすぐ手前の舗装された農道に右折する。舗装路から途中ダートとなり野塚川林道となって国道から約17㌔進んだところで行止まりのテープが付けられていた。その先も林道は続くが50mほど先で道が崩壊し車は通行出来ない状態だった。(野塚川左岸林道C310付近に駐車)

贅沢なテン場・・・
30分ほど林道を歩いたC380付近で野塚川本流と出合い、ここをテン場に決める(16:40頃)。テントを3張り設営、大焚き火用の流木を集め夕食の華となるか釣り師が早々と沢に散って行く。釣り師は、岩さん、カトちゃん、宮王さんと私だ。30~40分は釣っていたか全員で20尾前後のイワナとヤマベを釣り上げ食卓の華となった。しかし、生きている魚をさばく様子を始めて見たと言うりえちゃんが「可哀そう」と涙を流すと調理人の寺さんの手が一瞬止まった。今回の紅一点乙女の繊細な神経に感銘を受けた・・と言ったのはganさんだったか?


本流出合で実質林道終点の場所、テン場としては贅沢な場所だった・・・


釣り上げたイワナとヤマベの一部・・・全部空揚げにして頂く

供養と前祝い・・
 焚き火は大きく炎を上げ準備も整って全員が火を囲んで祝杯が始まった。涙を流したりえちゃんは食べる事が「供養」だよと言われ「んっ美味しい」と3尾の空揚げを食べてしっかり供養し笑顔に変わる。ganさん定番という釜揚げうどんも人気で足りずそうめんも追加された。


夜のひととき・・・

 尽きない山談義より供養話が多かったか?星の広がる21時に全員テントに散った。わざわざ3張りのテントを用意したのは、イビキ組、非イビキ組、紅一点と分けるためだったのか・・と後で気が付く。そんな中で深夜に抜け出して呑んでいた奴が居ると誰かの申告があったがエバは非イビキ組で何も知らずに寝込んでいた・・と証言したい(証拠は無いが)。


【8/23(日)】

遡行開始・・・
 夜中にテントが飛ばされそうな突風で目を覚ました事もあったが朝には風も治まって3時に起床する。各自で朝食を済ませ予定通り4時30分に歩き始めた。
 川幅10m以上ある本流を渡渉(水量は足首より少し上)し対岸に続く廃道化した林道に出る。10分ほど歩いて林道の広場から右側の踏み跡を辿ると411二股の左岸に出る。いよいよ遡行開始だ(4:40)。二股は左へ進み平凡なゴーロ状の沢と右岸左岸の鹿道をうまく使って登ると楽だ。450二股は右へ570二股は左へ進む。ここまで約1時間だった。570二股の右股は下山時に利用する出合の沢だ。


570二股を過ぎた付近の沢・・・


580付近で現われた最初の滝(F1)は、3段10mほどの滝で左を巻いた。


605付近のF2は10m、左を直登する。

F2は左を直登?巻く。

F2も上から撮るとちょっと迫力があるかな?

1000m付近まで止めど無く滝が連続する・・・
滝の数を数えたのは3つ目までだった。連続する滝に以降は必死に登るだけで数はわからない。直登不可能な滝もすべて巻きルートはあるが、ドボンを覚悟で挑戦したくなる滝も多い。実際、山さんやganさんは直登して登った滝もあるが他はロープを出さずに高巻きをして登った。
740付近では僅か4mほどの滝だが深い釜を持ち寺さんが右岸壁を登ろうとするが難儀する。続くエバは果敢に(自分で言うのも何ですが)挑戦し何とか残置ロープに手が届き滝上に上がった。


740付近の4mの滝で 補助ロープで登るりえちゃん・・

同じ滝の岩さん・・・


1000m付近のナメが100mほど続く・・この先滝は無く源頭となる。

割愛・・・
 1000mまでの間紹介したい滝は沢山あるが載せ切らないので割愛させて頂く
のをお許し下さい。日高らしく飽きることのない滝の連続に緊張するも満足の行く遡行であったことは間違いない。
 790で休憩して暖かいコーヒーを飲んだのもホッと出来たひとときであり、源頭を過ぎて軽い薮になると頂上が近いぞとガスの中でも期待が膨らんだ。

何度でも味わいたい登頂の喜び・・・






登り 4時間30分の末登頂に成功した オムシャヌプリ(1379m)・・全員で

悪天で予定のルート変更・・・
 全員でしっかりと手を握り合って登頂を喜び、ガスが立ち込める強風の中でも山頂ビールは欠かせなかった。外は寒いが心が熱く旨いビールに至福の喜びを感じたのは私だけではないだろう。それは、全員のすばらしい笑顔が証明しているからだ。暫しの休憩後、予定では稜線を北上し野塚岳南コルから東面沢に下降し野塚川570二股に出合うはずだったが濃いガスと強風にあられ混じりの強い雨にも打たれて下降ルートを変更することになった。
 オムシャと野塚の中間1232峰ピークを過ぎた辺りから東面に下降し僅かな沢筋を頼りに無名沢に出合う。750で予定の下降沢と出合無事下山となった。
 
 インターネットを介したグループ山行は、見知らぬ同志個人の集まりで一見「危険な山登り」という印象も強くなるかも知れない。でもそうならないよう一定のルールと自分の力量を踏まえた者同志が志一つに行動することは難しい事ではなかった。初めて会う人もそうでない人もそれぞれを尊重しながら計画を遂行すれば「安全で楽しい山登り」や「不可能を可能」にする力にもなると実感した遡行だった。
 ganさんをはじめ同行した皆さんに感謝とお礼を申し上げ紀行を終えたい。本当にありがとうございました。

<コースタイム>  411二股より約4~500m手前テン場(C380付近)からスタート

テン場出発 4:30---411二股左へ 4:40---450二股右へ 5:00---570二股左へ 5:35---680二股右へ 6:15---800付近大休憩 7:00~20---820二股右へ 7:25---1100付近源頭 8:15---オムシャヌプリ(1379m)頂上 9:00(登り 4時間30分)下山開始9:25---北尾根1232峰北側直下から東面に下降 11:00---1050付近休憩 11:20~12:00---750二股合流 12:50---570二股合流 14:00---テン場 14:55(下り 5時間30分)

※ 9/1 更新しています。