エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

12年振りの再訪・・幌向岳(836m)

2018年03月30日 | 山紀行 (道央・札幌・積丹)
12年振り6度目の再訪は単独行・・・
岩見沢の最高峰・・・幌向岳 (836.3m)
■ 山 行 日    2018年3月30日(金)   日帰り
■ ル ー ト    国道452号線 沢見橋~東尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー     単独
■ 登 山 形 態     山スキー
■ 地 形 図    1/25000地形図   「栄 町」
■ 三角点・点名   二等三角点  点名「幌向岳 ホロムイダケ」
■ コースタイム    登り  2時間20分   下り  1時間15分
<登り>
08:50      林道出合スタート
09:20      林道二股(左へ)
10:20      東尾根上 標高点735
11:10      幌向岳頂上

<下り>
11:25      下山開始
11:55      東尾根 標高点735
12:23      林道二股
12:40      登山口(国道出合)



GPSを元に作成したルート図

★ 12年振り6度目の再訪・・・
【過去の幌向岳山行】
99.12 万字ルート ①
03.02 東尾根ルート②
03.03 東尾根ルート③
03.12 万字ルート ④
06.01 東尾根ルート⑤

そして、今回12年振り6度目は東尾根ルートを単独で再訪してみた。

前日から30日は快晴の予報ながら妻のチーヤンが仕事なのが残念。
じゃ~山は諦めるか?と言うには余りにも勿体無い天気に気持ちはどんどん山へ傾く・・・。

先日ブロ友のAmigoさんが「幌向岳」に登った記録を読んで、ちょっと触発されたが彼が登った
ルートは、三夕トンネルの夕張側から取付き三笠市と夕張市の境界線上にある北東尾根ルート
だった。登行距離に大きな差は無いように見えたが、東尾根よりアップダウンが多いようにも
見えた。ただ、いつかは北東尾根ルートも試してみたい。

Amigoさんも危惧していたのは、登山口の駐車スペース問題。
東尾根ルートの場合林道出合に停められるのはせいぜい1台分のスペースのみ。
それに対して三夕トンネル手前には大きく除雪された駐車スペースがあるので安心だ。

いずれにせよどちらもマイナールート。
北海道新聞社出版の「北海道雪山ガイド」最新版で紹介されているのは万字ルートのみなので
北東尾根も東尾根ルートも載っていない。


29日札幌市の積雪ゼロの情報が報じられた。
例年より8日早く昨年より5日早いゼロの記録らしいが、車を走らせる道中も道は乾燥し
街の周りや小高い山にもほとんど雪が解けている状態だった。果たして幌向岳に雪は残って
いるのか?走りながら不安が過る・・。

しかし、不安は当たらず。
沢見橋手前の林道入口にはまだ多くの残雪があり、胸を撫で下ろした。



林道出合に駐車してゲートを超えたところ・・・

★ 終始雪面は固く歩き易い・・・
8:50  スタート
出合から山スキーで歩く。
林道の積雪はまだ1m以上はありそうだが、右下の沢は口が開いていて意気追い良く流れている。
所々雪崩によるデブリが沢を埋めている所もあったが、林道は順調に歩を進められた。

雪面は固く沈む事も無くガリガリでも無い。
20分程歩くと少し広い土場のようなところに出て、林道の二股に出合う。
記憶は定かではないが、ここは左に入り少しずつ高度を上げ始めた。
林道はしばらく続くがルート的には林道から外れて斜面に取付いた方が近いかも・・と
東斜面に取付き、735東尾根を目指す事にした。斜度は徐々に増していく。

昔の記憶が少しずつ蘇るが、C650付近から700までが急斜面で一部が全層雪崩状態。
少しでも雪が繋がっている場所を見つけながら慎重に登り切ると緩斜度の大きな東尾根上に
出て一安心だ。ここからは最後まで尾根上を辿るので迷う事は無い。

地形図上の735手前には大きなダケカンバが三本並ぶように立っている。
実はこのダケカンバには懐かしくも怖い思い出があった・・・。



歩き始めた林道も被写体が無いと分かりにくいかも・・・


二股から左に入った林道にて自撮りしてみた・・・


C650~700への急斜面・・・一部が全層崩れて笹が剥き出し 慎重に登った

★ 山の守り神?・・・
2003年2月と3月の事である。
2月に夫婦で東尾根から登った時、この三本のダケカンバの真ん中の木に凄く大きな
「カバノアナタケ」を発見した。しかし、高い場所にあり採る事が出来ず諦めて帰る。
しかし、諦めきれず翌3月にカバノアナタケ採取を目的に再訪した時の事だ・・・。

頂上には登って、下りでカバノアナタケを採ろうと必要装備を準備していた。
アイゼン、ハーネス、ロープ、ノミ、ハンマー、ノコギリそしてハーケンも用意済みだ。
「これだけあれば高い場所でも登れるぞ!」と意気込んだものだった。

高さは約5mだろうか。
順調に3mほど登った時・・・突然、突風が吹いて木が揺れた。
太く大きなダケカンバなのにどうしたんだろう?
下で見守るチーヤンも不安気に見ていたが、突風には気が付かなかったようだ。

更に登ろうとすると再び突風だ・・・!

嫌な予感がした。
急に雲行きも怪しくなり「採ってはいけないよ」とお告げが聞こえた。
急に怖くなって採るのを止め、降りると風は無くなった・・・。

不思議だ・・・。

この木は、きっと「山の守り神」なのかも知れない。
その木を傷付けカバノアナタケを採る者は許さないと怒りの風で知らしめたのだ。

そんな夫婦だけ知っているエピソードが15年前の東尾根にあった。



東尾根上にある三本並んだダケカンバがこれだ・・・

当時、下山した後「漆」にかぶれる罰を受けた・・・。
あのダケカンバにはツタウルシが巻き付いていたのだ・・・


★ 無くなっていた・・・
三本のダケカンバに再会した時すぐに当時が蘇った・・。
そして、あの巨大なカバノアナタケ?は・・・と、グルッと探したがどこにも無かった。
真ん中の木の上にその痕跡はあったが、採られたとしても15年前だとしたら傷は残っていなかった。

山の守り神では無かったのか?
自然に落ちてしまったのか?  誰かが採ったのか?・・・山は穏やかだった。


★ 東尾根は楽勝・・・
このルートの核心部は、前半にある。
林道を離れ東尾根のC700まで登るルート取りとC650付近~700に登る急斜面をどうクリア
するかである。今回通過出来た急斜面は、2~3箇所全層で斜面がずれ落ち笹が剥き出しになった
状態だった。それでもなんとか雪が繋がっていたので慎重に登り乗っ越す事が出来た。

まだ残雪の量は多いが、この斜面の雪が雪崩落ちてしまったらもう使えないルートである。

しかし、核心部を越えて東尾根上に辿り着けば、後は楽勝と言える尾根が続き登頂に至るだろう。



東尾根上・・・右側は急斜面で雪庇もあるが小さい


三脚を立てて再び自撮りしてみた・・・


楽勝の東尾根だが、2箇所ほどアップダウンがあり帰路もシールは外せない


最後の頂上斜面は、疎林帯でスキーが楽しめるところなのでシールを外したくなるも我慢


頂上にある白樺の木と一本松・・・白樺にピンテが巻いてあった

★ 貸切も遠望悪く・・・
11:10  幌向岳頂上
幌向岳頂上は、広大な台地状になっていて木も疎らにあるだけだ。
天気が悪ければどこが頂上なのか分からないかも知れない。
携帯GPSで位置を確認すると白樺の木2本と一本松のある場所がそれで、白樺の木にピンテが
巻いてあるだけだった。頂上標識は付いていなかった。

風が少し強いのでアウターを着てゆっくり休もうと思ったが、遠望も利かず風を遮る場所も無いので
写真だけ撮って早々下山する事にした。

誰かに会う事も無く終始貸切の山行だったが、久しぶりの単独行を楽しみ登頂して良かったと満足である。



6回目の登頂となった幌向岳 白樺の木にピンテが巻いてあった・・・


頂上から少し移動すると展望出来るが雲が低く「芦別岳」頂上と夕張岳はまったく見えなかった。


遥か北東に望むのは十勝岳連峰なのだが・・・

★ 2時間ドラマ・・・
12年ぶりに再訪した幌向岳・・・
特に東尾根ルートは、このルートを見つけた当時山岳会の先輩に教えて頂いた場所。
国道452号線を通り富良野方面に向かう度に「沢見橋」を見るとこのルートと幌向岳を思い出す。

ブロ友に触発され再訪するチャンスに感謝しながら、不安な単独行で臨んで見た。

3月も下旬・・・残雪も心配、ルートも心配、雪も腐って帰りはザクザク?と色々心配ばかり。
しかし、この日は気温も低く残雪は終始固く、ルートは一部修正もあったが東尾根に乗った時は
安堵したし、思い出のダケカンバに再会し当時を懐かしく思い出せた。

登って見れば僅か2時間で登頂してしまったが、色々な思いがこもったドラマがあったなぁ~と
独り淡々と歩きながら楽しめた山行だった。

下りもずっとシールを付けたままだったが、適度に融けた雪面でスキーもそれなりに楽しめ
1時間ちょっとで登山口は正直「物足りない」と感じた。

GPSログを見ると往復距離10.4キロ、登行時間も4時間を切っていたので、手軽な山
として再認識したところだった。



帰路の東尾根から夕張岳が見えて来たのでズームする・・・


東尾根の更に東に望む夕張岳・・・


芦別岳と夕張岳の中間にある鋭鋒は夕張マッターホルン・1415峰だ


林道から緑色の沢見橋が見えると終了・・・


帰路の国道452号線から望む「夕張岳」


シューパロ湖はまだ全面結氷していた・・・