エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

チロロ西峰(1848m)

2021年09月02日 | 山紀行 (日高山系)
15年ぶりにリトライお初の西峰ようやく・・・
北日高・・チロロ西峰 (1848m)
■ 山 行 日     2021年09月01日(水)    日帰り
■ ル ー ト     パンケヌーシ林道~パンケヌーシ川曲り沢~二ノ沢 ルート 往復
■ メ ン バ ー      夫婦登山 №22
■ 登 山 形 態      林道歩きと沢登り
■ 地 形 図     1/25000地形図 「ペンケヌーシ岳」「ピパイロ岳」
■ 三角点・点名    チロロ西峰 標高点のみ 三角点無し
■ コースタイム    登り  4時間45分  下り  4時間35分
<登り>
06:00       駐車地出発
06:28       新曲り沢橋(駐車地から約2.2㎞)
06:30       登山口ゲート
06:40~43    取水ダム       休憩
07:15~18    C900       休憩
07:43       C1037二股 右へ
08:03       C1145二股 右へ
08:15       C1220付近~涸れ沢となる
08:50       C1440尾根コル
08:55       C1390二ノ沢出合
10:05       C1713分岐標識
10:45       チロロ西峰(1848m) 

<下り>
11:05       下山開始
11:35~55    分岐標識 (山友と再会)
12:45       尾根乗越出合
12:50       C1440尾根コル
13:30       C1145二股
13:57       C1037二股
14:55       取水ダム
15:05       登山口ゲート
15:40       駐車場



GPSを元に作成したルート図です・・・

★ 未踏1000m超峰シリーズ・・・
15年前の2006年9月、千呂露川右沢から登頂したチロロ岳がチーヤン初登頂の日だった。
この時、計画ではチロロ西峰も登る予定だったが、右沢の登りでルートミスやハイマツに難儀し
タイムアウトで西峰を断念。コルから左沢を下降した闇夜の下山だった。

私自身は、96年と99年に曲り沢ルートから二度登頂し、千呂露川右沢が三度目だった。
しかし、なぜか西峰は未踏のままであったのは、近くでいつでも登れると高を括っていたのかも
知れない。その後台風などの大雨による林道崩壊で通行止めが続き、北日高の計画が後回しにな
った事が、近くて遠くなった「西峰」だったと思う。

それがようやく行く気になったのは、YAMAP情報だった。
これまでチロロ岳登山口まで行くパンケヌーシ林道が出合から通行止めで約7㎞あったが、復旧
作業が進み現在は約2㎞手前まで車が入れる事が分かった。ゲート手前には数台の駐車スペース
がある事も分かり計画の具体化は早かった。

ヤマッパーで山友のみなみんみんさんがここに車を停め、四ノ沢から「ぺンケヌーシ岳南峰」に
登った事(8/29)にも背中を押された理由で彼女には感謝しかない。

今年ようやく2座目となる未踏1000m超峰・・・
念願の挑戦がようやく出来る事に感謝して、久しぶりの日高に緊張感は高まった。



2021.09.01 初登頂 「チロロ西峰(1848m)」にて 可愛い新標識が付けられていた・・

★ 早朝の出発・・・
YAMAPの記録を見ると林道歩きを含めて往復10~12時間を要して下山していた。
久しぶりの登山で挑戦する私たちに取ってコースタイムはプラス αが必要で、キツイ山行になる事
は予想していた。久しぶり日高に挑戦となり緊張感はマックスだったが、現地に着くと先行者と思
われる車が3台もあり直ぐ後からもう1台来て5台となった。平日の日高だから貸切の山行だと思
っていたので、少し気持ちが落ち着きありがたかった。

スタートを5時30分に設定した時、往復12時間では遅過ぎで、かと言ってもっと早くの設定に
は慣れないものがあった。

結果的には、現地駐車場には5:50に着きスタートは6:00になってしまった。

こういう場合の夫婦登山は、登りの制限時間を設けてその都度現地判断で行動を決める事にしてい
る。



車止めとなったゲート手前に駐車スペースがある・・・


林道を約2㎞30分歩くと曲り沢コースの登山口に着いてゲートされている。

★ 良きウォーミングアップ・・・
国道から駐車地までパンケヌーシ林道は約9㎞だった。
修復された林道は走り易く、真新しい立派な橋にも驚いた。しかし、荒れた河原に散乱し堆積し
た流木や流された橋の残骸はそのままで、当時の爪痕に自然の驚異も感じる林道だった。

登山口まで林道は約2㎞で手前に新曲り沢橋がある。橋を渡ってすぐ前の道路脇に簡易トイレが
ありその裏側に登山口がある。ゲートはされているが、車も走れる立派な林道で最近整備されて
いると一目でわかるほどだ。登山口からの林道は登り坂で今までの良きウォーミングアップから
ひと汗掻きそうな辛い歩きとなる。それでも10分ほど歩くと終点となり、「取水ダム」が見え
て来る。

ここから入渓となり、長い沢登りのスタートだ。



登山口からは登りの林道となり更に10分ほどの歩きが辛い。


林道の終点が「取水ダム」でこの上から入渓となる・・。


久しぶりも馴染みの「大文字草」が沢山咲いていた・・。


「ヒダカトリカブト」上流部に沢山咲いていた・・・


滝らしい滝の少ない曲り沢に於いて唯一の癒し系滝に出会った・・・C1000付近にて


この滝の右岸に高巻きルートがあり残置ループまで用意されていた・・・


見映えのしない沢の中にナメ滝の光景についシャッターを切る


鬱蒼とした日高の沢の中に癒される苔むしたナメはホッとします・・・


C1180付近・・・背景にはペンケヌーシ岳南峰を望む絶景

★ 薄れるサバイバル感も・・・
曲り沢自体は水量も少なく、大きな滝も無いので技術的には★☆☆のレベルで初心者でも大丈夫
かも知れない。しかし、渡渉場面は多く小滝でも直登困難な滝に出合った場合のルート判断には
慎重さとある程度の経験と技術も要求されるところだ。経験者無しで初心者同士や単独の遡行で
ルートミスをした場合のリスク(タイムオーバー等)は、頭に入れて挑戦すべき沢だと思った。

遡行が難しい沢では無いが、ルートを選びながら進むサバイバル感を備えた沢でしっかり読図し
ながら登るなら、それなりに楽しさもあるかも知れない。しかし、ルート上には頻繁にピンテが
付けられ、迷わずに進めたし危ない場所には残置ロープもあり助けられた。

ピークハントの遡行なら何も考えずピンテに注視して登れば問題無いが、緊張感は失せてサバイ
バル感が薄れる遡行だった。ただ体力だけは要求される沢なので、挑戦する方は準備が必要だと
思う。繰り返しになるが、もしピンテが無かったらルーファイは慎重となり時間はもっと掛った
と思うとピンテに助けられた遡行になった事は否めない事実である。



二ノ沢C1600付近から右岸の斜面に咲く「ウメバチソウ」


「エゾノオヤマリンドウ」がC1600付近から分岐まで群落になって咲いていた・・

★ 乗越し二ノ沢へ・・・
曲り沢ルートは、登り詰めると頂上ではなく、小さな尾根を乗越してもう一つ別の沢を遡行する
珍しいコースになっている。ルート図を参考にして欲しいが、曲り沢を登り詰めたところがC1
440コルで、一気に約50m下降する。そこにまた沢が現れるがこれが二ノ沢である。

コルから下る時、「せっかく登って来たのに下りかよぉ~」って消沈するが、気を取り戻して再
び遡行を再開し頑張るのみである。二ノ沢の写真は無いが、ゴーロ帯で少し登ると涸れ沢となり
急登に耐えながら高度を稼ぐ感じだった。



1713m標高点のコルにある分岐標識だが、実際の分岐はここに来る少し手前だった

★ 迷った分岐広場・・・
途中の分岐コルは、平坦な広場になっていて標識がある。標識は、矢印でチロロ岳とチロロ西峰
の方向を示しているのでその登山路を探すが、最初迷ってしまった。その前にコル広場に出て来
た場所を見失う。周りはすべてハイマツ帯で入口出口が不明瞭だったし、ピンテも無かった。

その後チロロ岳に登る入口は判明したが、チロロ西峰に登ると思われる入口が2ヶ所見つかりま
た迷う。もう一度、今自分たちが出て来た出口を振り返りもう一方の入口に入って見た。
しかし、少し進むと違いに気が付き、コルに戻った。ならば、出て来たもう一つの道に入るしか
なく来た道を戻って見た。すると何の事ない10数メートル戻ると分岐のような踏み跡に気付き
ピンテも付いていた。西峰に行く分岐は、コルの手前だったのだ・・。

細かいが見落とししそうな重要ポイントだと思った。

踏み跡を辿る東斜面は、草地でところどころにピンテはあった。しかし、踏み跡はあっちにもこ
っちにもあり更に熊の掘り返しが半端なくあると正しいルートに迷うかも知れない。上を目指せ
ば良いのかも知れないが、その上は巨岩帯の岩登りもありそうで、やはり頼りはピンテだった。

慎重に見極めながら岩峰帯を登り切るとそこは頂上の肩で、高度感ある絶景である。この先はハ
イ松帯を含む灌木帯の中に踏み跡があり、比較的平坦な頂上尾根を辿る。



チロロ西峰へ・・・岩峰群のある頂上尾根の肩 C1780付近にて


肩から望むチロロ岳はガスに覆われ、僅かに分岐のコルが見える


岩峰のチロロ西峰でした。絶景はガスで望めませんでしたが価値ある初登頂は貸切でした。

★ 価値ある初登頂・・・
10時45分、チロロ西峰岩峰に初登頂した。登り4時間45分だった。
もっと時間が掛ると思っていたが、5時間を切るペースで登って来れた事は嬉しかった。ただ、
非常に疲れていた。足は痙攣する一歩手前で膝もガクガクしそうで限界を感じていた。

でも、なんとも言えない達成感と充実感は初登頂に付き物なんだと改めて感じる。15年ぶり
もリトライ出来てようやく踏んだチロロ西峰。二人にとっては価値ある初登頂だと頂上での会
話だった。
周りの景色は、ガスでほとんど見えなかったが静か過ぎる貸切の頂上で安堵の一時を過ごした。

もうこの時点でチロロ岳はパスしたいと思っていたのは、私だけでは無かった。妻チーヤンも
久々の山行であった事もあるが、疲れは隠し切れず登頂済みのチロロ岳にもう一度登る気力は
無かったようだ。
最初から明るい内の下山も望んでいたし、互いの疲れを鑑みて無理をしない選択をする事にし
た。
頂上で20分ほど休んだ後の下山は、新たな力がみなぎった感じで元気が出て来るから単純な
構造だった。自然と足早になり体が軽く感じるのは何故だろう・・ね?



是非論は別にして、今年付けられたと思う頂上標識。アイディアと取付の苦労は評します・・・


頂上から登って来た長い尾根を振り返る・・・


ガスの中から望むチロロ岳

★ 山友との再会・・・
頂上肩を降りる頃、先行者たちがチロロ岳から下山して来る姿が見えていた。
先行者は、全員チロロ岳に登ってからチロロ西峰に登るようで単独の男性には肩を少し降りたと
ころで交差した。そして、再びコルに到着すると出迎えてくれたのが、山友の「りょうまさん」
だった。声を掛けられた時はまだりょうまさんと気が付かず失礼したが、「りょうまです」と言
われてもまだ信じがたく疑てしまった。彼は普段沢登りはしないと言っていたし、いつも仲の良
い相方「金ちゃん」が居なかったので、気付くのが遅れたと言い訳する。



降りて来たバッタリ・・・チロロ岳から降りて来た山友のりょうまさんと分岐にて

★ 安全優先の下り・・・
これは結果論だが、今日の目的は最初から「チロロ西峰」であり、15年前に踏んだチロロ岳を
再び踏む自信は最初から無かったかも知れない。理由を上げればきりが無いが、二人とも久しぶ
りのハード山行であり、登行時間の予測や何より体力に自信が無かったのだ。そして、明るい内
に下山したいと言う希望は、安全登山に徹するエバ夫婦の基本方針だと言えば、良い訳になるだ
ろうか?・・・笑

ホントに言い訳がましく自分でも嫌になるが、これが現実。
沢の下りは、登りと同じくらい時間を要すると考えれば、チロロ岳をパスした事は「正解」だと
思った。下山は15時45分だった事は、明るい内の下山で余裕と言えば、格好良いかも知れな
いが、これが安全登山の勧めだと思っている。

仮にチロロ岳も未踏であれば、最低でもあと1時間早い出発だったと思うし、体力が追い着かな
ければ、2座踏破は出来なかったはずである。

良い訳ばっかり考えながら、無事登山口に着いた時は心底「ホッ」としたのが本音だった。




沢中の倒木に生えていた「イタチダケ」というらしい。風味には癖が無いのでバター炒めが美味しいらしい。


「ナラタケ・ボリボリ」何ヶ所か大量にあったが、撮っただけでした・・・


癒しの滝で最後の記念撮影でした・・・






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