夕張山魂・・・前 岳(夕張西岳) (1501m)
順調な登頂も石原平らから迷走して日没下山となったちょっと痛い山行
■ 山 行 日 2009年5月26日(火) 日帰り
■ ル ー ト 冷水コース~前岳西斜面~頂上~東斜面(憩沢)~冷水コース
■ メンバー 夫婦登山 No.19
■ 登山形態 残雪の登山道から簡易アイゼン・ピッケル使用
■ 地 形 図 1/25000地形図 「夕張岳」
■ 三角点・点名 三角点無し 標高点のみ
■ コースタイム 登り 4時間10分 下り 6時間25分
<登り>
7:20 登山口駐車場出発
7:27 冷水コース登山口
8:30 冷水の沢
8:40~55 前岳の沢付近(アイゼンを装着)
10:40 南西尾根コル(薮漕ぎ開始)
11:30 前岳 頂上
<下り>
11:55 下山開始
12:10 コル
12:30 憩の沢
12:52~55 望岳台
13:15 石原平道迷い・・・・・・・・
18:20 登山口駐車場
★ 洞爺湖マラソンの2日後・・・
この日は単純に休養日にしようと思っていた1日の休みだった。しかし、天気もまずまずで5月の山は芦別
本谷の1回に終わっていた事もあり、日帰りで行ける未踏の山はないか?と模索していると、すぐに「前岳」
が浮かんだ。灯台元暮らしとはこの事なのか・・何度となく訪れていた夕張岳。その前峰・未踏の前岳(夕張
西岳)をいつも意識していながら登る機会を見失っていたかも知れない。
この山を登るには冬季積雪期か春の残雪期しかないと思っていたので、今日がチャンスかもと軽い気持ちで
決行した計画だった。
ルートは、夕張岳(大夕張コース)の登山口から夏の冷水コースを辿り、馬の背分岐から前岳北西斜面直下の
石原平、望岳台を経由して雪に埋まった憩の沢を詰め、前岳稜線に出てピークを踏む計画だった。
★ 森林と登山道パトロールを兼ねて・・・
夕張岳の登山口までは、国道から約14㌔に及ぶ林道を走らなければならないが、この時期林道はま
だ閉鎖され国道から5㌔地点で大きなゲートで塞がれている。つまり一般登山者ならこのゲートから約9
㌔の林道を歩き登山口に到着というプロセスが待っている。だから、訪れる登山者は稀である。
そんな中で少しだけ夕張岳の自然保護活動に関わっているエバは、「森林と登山道パトロール」という
名目でゲートのカギを借り受け登山口まで車で乗り入れる事が出来た。林道自体は多少の凸凹や落石
による小石の散乱は見られるものの通常に登山口まで到着出来た。(7:05登山口駐車場到着)
7:20 登山開始。沿道にはまだ花らしき花は少なく小さなエンレイソウの葉が点在していたり、僅かにタ
チツボスミレやエゾエンゴサクが春の訪れを告げていた。
沿道に咲く タチツボスミレ・・
色んな色の エゾエンゴサク が観れた・・・
冷水の沢付近に残る残雪・・
8:30 冷水沢。
途中でも登山道に残る残雪を避けながら登って来たが、ここにて一面が残雪に覆われるようになった。
普段より一段と水量の多い冷水の沢で喉を潤おし、いざ出発と相成るが・・登山道が判らなくなるほど
残雪の深さを増して、まさに感を頼りに登山道らしきを辿らなければという感じだった。
ほんの10分登った馬の背分岐への上り口(標高1050m付近)で前方を見ると前岳の西斜面に張り付いた
雪渓と取り付まで繋がった雪が目に入り・・つい欲が出てしまった。二人の協議の末登山道から一脱し、
目の前の西斜面を登って前岳の南西稜コルに出ようとルートの変更を決める。
(これが後のハプニングに繋がるキッカケとなるとは想像も付かなかった二人だった)
6本爪の簡易アイゼンを装着し、ピンクのテープを付けながら間もなく西斜面の取付きに着く。(9:00)
所々雪渓は切れているが、潅木や笹を掴みながら急な西斜面を登ってみた。
ふと・・気が付くと足元から斜面全体にかけて異様な香り漂う植物が群落を成していた。
ギョウジャニンニク畑と言って過言ではない多さだ・・
★ 前岳はネギの山・・・・
前岳西斜面の取付き付近・・
写真の残雪の周辺は、まさにネギ畑という位に咲き乱れている。それも太く葉の開いていない食べ頃ば
かりだった。商売になるくらいの質と量に一時足が止まるが、まだ先が見えないルートだったのでまずは
稜線コルまで急ぐことにした。
西斜面は、登ってみると大きく分けて二段になっていて頂上から派生している南西尾根の西斜面まで
は少し距離がありその間に急な沢形のルンゼを登らなくてはならなかった。幸い沢形は雪渓で埋まりア
イゼンとピッケルそして潅木を掴みながら登ることは出来たが、ここはこの時期限定のルートと言ってお
こう。
西斜面を攀じ登るチーヤン・・
稜線直下の雪渓にて・・背景は「前岳」南面
稜線直下では、山菜の資料として少しだけ採取してザックに入れる。
★ 短くも強烈な薮漕ぎに泣く・・・
10:40稜線コルに到着。取付きから1時間40分(休憩・採取含む)だった。
雪渓にも助けられたがここまでは意外と容易な登りと言えるも時間だけは掛かっていた。
そして、陽の当たる稜線から頂上にかけて残雪は無く生い茂るハイ松と潅木に覆われた稜線だった。
短くも強烈な薮漕ぎに一時泣きが入るチーyanだったが、持ち前の根性でハイ松を掻き分けて登って来た。
頂上直下から南西尾根を見下ろす・・
頂上手前のコブと南西尾根・・(左の雪渓を降りると憩の沢)
頂上手前のポコに咲くめずらしい「ユウパリキンバイ」に感動・・
★ 苦労の末は、絶景初登頂「前岳」・・・
11:30 前岳頂上。
予定では登り3時間と見ていたのでルート変更で登って来たことを少し後悔もしたがそれなりに楽しく登
って来たので・・と楽観的だった。その分下りで時間を取り戻し、予定に近い下山をしてゲートの鍵を返し
他の用事もこなせばいい・・と、絶景の頂上からそう思っていた。
頂上では、いつもの山頂コーラで乾杯し、苦労した薮の事も忘れて眺望を楽しんでいた。
前岳(1501m) 頂上にて・・(背景は芦別岳)
頂上から夕張岳本峰を望む・・
唯一頂上に咲いていたキバナシャクナゲと夕張岳・・・
11:55 下山開始。
登りで泣かされたハイ松の薮も下りは楽々だった。
15分で稜線コルに着き暫しの休憩とアイゼンを付ける。
稜線から東側の斜面には直下から雪渓となり憩の沢を埋め尽くしていた。どこまで降りれば夏道の登山
道がある場所なのかまったく判らない状態だった。慎重に下りながら沢と潅木の境目に注視しているとな
んとか夏道の痕跡を発見し、前岳の東面をトラバースするように雪渓を辿った。
12:52 望岳台
13:15 石原平に到着する。
残雪で埋まる「石原平」ならぬ雪原平らだった・・・
写真と記録は、ここまでだった・・・
★ 基本の地形図を見ずに下り過ぎだった・・・
下山予定から1時間以上遅れていたが、石原平からは馬の背分岐まですぐだし後は1時間も掛からず
に下山出来ると、この時はまだ気持ちも晴れやかだった。シラネアオイの群生地石原平はまさに雪原平
と化していて春はまだ遠し・・と感じながら次の登山道を求めて歩き始めた。
雪原平にすっかりと気を緩めてしまったのか基本の地形図を見る事無く「登山道はこっちだろう」で雪渓
を下ってしまったのだ。しばらく降りてから立ち止まり中々登山道に出ないことに疑問を抱いて振り返り、
始めて地図を出した。
下り過ぎだった・・・間違いと気付き急でも雪渓を登り返せば後の祭りにはならなかったものを・・・
更に下りてとんでもない道迷いの世界にはまってしまった。
★ 再びの薮漕ぎに一時パニックになる・・・
もう多くは語るまい。
経過としては、馬の背を乗っ越し冷水コースも気が付かずに雪渓と薮を漕ぎ、冷水ノ沢上流に下りてしま
い沢沿いを辿る羽目となった。高度と方向だけを頼りにひたすら歩くと冷水ノ沢左岸に大きな林道を見つ
けまたひたすらこの林道を歩いた。
そして、日没間近の17:43に見覚えのある林道に出て40分ようやく車のある駐車場に着いた。
(18:21である)
後から判った事だが、駐車場から迷った林道の出合までは2.4キロもあった。
一時はどうなるものか・・と「遭難」の二文字が
脳裏をかすめたが、なんとか日没前に辿り着けたことに安堵した。
本当に怖い道迷いの経験だった・・・
順調な登頂も石原平らから迷走して日没下山となったちょっと痛い山行
■ 山 行 日 2009年5月26日(火) 日帰り
■ ル ー ト 冷水コース~前岳西斜面~頂上~東斜面(憩沢)~冷水コース
■ メンバー 夫婦登山 No.19
■ 登山形態 残雪の登山道から簡易アイゼン・ピッケル使用
■ 地 形 図 1/25000地形図 「夕張岳」
■ 三角点・点名 三角点無し 標高点のみ
■ コースタイム 登り 4時間10分 下り 6時間25分
<登り>
7:20 登山口駐車場出発
7:27 冷水コース登山口
8:30 冷水の沢
8:40~55 前岳の沢付近(アイゼンを装着)
10:40 南西尾根コル(薮漕ぎ開始)
11:30 前岳 頂上
<下り>
11:55 下山開始
12:10 コル
12:30 憩の沢
12:52~55 望岳台
13:15 石原平道迷い・・・・・・・・
18:20 登山口駐車場
★ 洞爺湖マラソンの2日後・・・
この日は単純に休養日にしようと思っていた1日の休みだった。しかし、天気もまずまずで5月の山は芦別
本谷の1回に終わっていた事もあり、日帰りで行ける未踏の山はないか?と模索していると、すぐに「前岳」
が浮かんだ。灯台元暮らしとはこの事なのか・・何度となく訪れていた夕張岳。その前峰・未踏の前岳(夕張
西岳)をいつも意識していながら登る機会を見失っていたかも知れない。
この山を登るには冬季積雪期か春の残雪期しかないと思っていたので、今日がチャンスかもと軽い気持ちで
決行した計画だった。
ルートは、夕張岳(大夕張コース)の登山口から夏の冷水コースを辿り、馬の背分岐から前岳北西斜面直下の
石原平、望岳台を経由して雪に埋まった憩の沢を詰め、前岳稜線に出てピークを踏む計画だった。
★ 森林と登山道パトロールを兼ねて・・・
夕張岳の登山口までは、国道から約14㌔に及ぶ林道を走らなければならないが、この時期林道はま
だ閉鎖され国道から5㌔地点で大きなゲートで塞がれている。つまり一般登山者ならこのゲートから約9
㌔の林道を歩き登山口に到着というプロセスが待っている。だから、訪れる登山者は稀である。
そんな中で少しだけ夕張岳の自然保護活動に関わっているエバは、「森林と登山道パトロール」という
名目でゲートのカギを借り受け登山口まで車で乗り入れる事が出来た。林道自体は多少の凸凹や落石
による小石の散乱は見られるものの通常に登山口まで到着出来た。(7:05登山口駐車場到着)
7:20 登山開始。沿道にはまだ花らしき花は少なく小さなエンレイソウの葉が点在していたり、僅かにタ
チツボスミレやエゾエンゴサクが春の訪れを告げていた。
沿道に咲く タチツボスミレ・・
色んな色の エゾエンゴサク が観れた・・・
冷水の沢付近に残る残雪・・
8:30 冷水沢。
途中でも登山道に残る残雪を避けながら登って来たが、ここにて一面が残雪に覆われるようになった。
普段より一段と水量の多い冷水の沢で喉を潤おし、いざ出発と相成るが・・登山道が判らなくなるほど
残雪の深さを増して、まさに感を頼りに登山道らしきを辿らなければという感じだった。
ほんの10分登った馬の背分岐への上り口(標高1050m付近)で前方を見ると前岳の西斜面に張り付いた
雪渓と取り付まで繋がった雪が目に入り・・つい欲が出てしまった。二人の協議の末登山道から一脱し、
目の前の西斜面を登って前岳の南西稜コルに出ようとルートの変更を決める。
(これが後のハプニングに繋がるキッカケとなるとは想像も付かなかった二人だった)
6本爪の簡易アイゼンを装着し、ピンクのテープを付けながら間もなく西斜面の取付きに着く。(9:00)
所々雪渓は切れているが、潅木や笹を掴みながら急な西斜面を登ってみた。
ふと・・気が付くと足元から斜面全体にかけて異様な香り漂う植物が群落を成していた。
ギョウジャニンニク畑と言って過言ではない多さだ・・
★ 前岳はネギの山・・・・
前岳西斜面の取付き付近・・
写真の残雪の周辺は、まさにネギ畑という位に咲き乱れている。それも太く葉の開いていない食べ頃ば
かりだった。商売になるくらいの質と量に一時足が止まるが、まだ先が見えないルートだったのでまずは
稜線コルまで急ぐことにした。
西斜面は、登ってみると大きく分けて二段になっていて頂上から派生している南西尾根の西斜面まで
は少し距離がありその間に急な沢形のルンゼを登らなくてはならなかった。幸い沢形は雪渓で埋まりア
イゼンとピッケルそして潅木を掴みながら登ることは出来たが、ここはこの時期限定のルートと言ってお
こう。
西斜面を攀じ登るチーヤン・・
稜線直下の雪渓にて・・背景は「前岳」南面
稜線直下では、山菜の資料として少しだけ採取してザックに入れる。
★ 短くも強烈な薮漕ぎに泣く・・・
10:40稜線コルに到着。取付きから1時間40分(休憩・採取含む)だった。
雪渓にも助けられたがここまでは意外と容易な登りと言えるも時間だけは掛かっていた。
そして、陽の当たる稜線から頂上にかけて残雪は無く生い茂るハイ松と潅木に覆われた稜線だった。
短くも強烈な薮漕ぎに一時泣きが入るチーyanだったが、持ち前の根性でハイ松を掻き分けて登って来た。
頂上直下から南西尾根を見下ろす・・
頂上手前のコブと南西尾根・・(左の雪渓を降りると憩の沢)
頂上手前のポコに咲くめずらしい「ユウパリキンバイ」に感動・・
★ 苦労の末は、絶景初登頂「前岳」・・・
11:30 前岳頂上。
予定では登り3時間と見ていたのでルート変更で登って来たことを少し後悔もしたがそれなりに楽しく登
って来たので・・と楽観的だった。その分下りで時間を取り戻し、予定に近い下山をしてゲートの鍵を返し
他の用事もこなせばいい・・と、絶景の頂上からそう思っていた。
頂上では、いつもの山頂コーラで乾杯し、苦労した薮の事も忘れて眺望を楽しんでいた。
前岳(1501m) 頂上にて・・(背景は芦別岳)
頂上から夕張岳本峰を望む・・
唯一頂上に咲いていたキバナシャクナゲと夕張岳・・・
11:55 下山開始。
登りで泣かされたハイ松の薮も下りは楽々だった。
15分で稜線コルに着き暫しの休憩とアイゼンを付ける。
稜線から東側の斜面には直下から雪渓となり憩の沢を埋め尽くしていた。どこまで降りれば夏道の登山
道がある場所なのかまったく判らない状態だった。慎重に下りながら沢と潅木の境目に注視しているとな
んとか夏道の痕跡を発見し、前岳の東面をトラバースするように雪渓を辿った。
12:52 望岳台
13:15 石原平に到着する。
残雪で埋まる「石原平」ならぬ雪原平らだった・・・
写真と記録は、ここまでだった・・・
★ 基本の地形図を見ずに下り過ぎだった・・・
下山予定から1時間以上遅れていたが、石原平からは馬の背分岐まですぐだし後は1時間も掛からず
に下山出来ると、この時はまだ気持ちも晴れやかだった。シラネアオイの群生地石原平はまさに雪原平
と化していて春はまだ遠し・・と感じながら次の登山道を求めて歩き始めた。
雪原平にすっかりと気を緩めてしまったのか基本の地形図を見る事無く「登山道はこっちだろう」で雪渓
を下ってしまったのだ。しばらく降りてから立ち止まり中々登山道に出ないことに疑問を抱いて振り返り、
始めて地図を出した。
下り過ぎだった・・・間違いと気付き急でも雪渓を登り返せば後の祭りにはならなかったものを・・・
更に下りてとんでもない道迷いの世界にはまってしまった。
★ 再びの薮漕ぎに一時パニックになる・・・
もう多くは語るまい。
経過としては、馬の背を乗っ越し冷水コースも気が付かずに雪渓と薮を漕ぎ、冷水ノ沢上流に下りてしま
い沢沿いを辿る羽目となった。高度と方向だけを頼りにひたすら歩くと冷水ノ沢左岸に大きな林道を見つ
けまたひたすらこの林道を歩いた。
そして、日没間近の17:43に見覚えのある林道に出て40分ようやく車のある駐車場に着いた。
(18:21である)
後から判った事だが、駐車場から迷った林道の出合までは2.4キロもあった。
一時はどうなるものか・・と「遭難」の二文字が
脳裏をかすめたが、なんとか日没前に辿り着けたことに安堵した。
本当に怖い道迷いの経験だった・・・