前日は三段山でBCを満喫・・・ (夫婦登山 №12)
侮れない道北の一座 宇江内山(うえんないざん)(1187m)
■ 山 行 日 2020年3月24日(火)~25日(水)
(前泊で山行は日帰り)
■ ル ー ト 豊原牧場~南尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №12&№13
■ 登 山 形 態 山スキー
■ 地 形 図 1/25000地形図 「宇江内山」「上川」
■ 三角点・点名 三等三角点 点名「宇江内山 ウエンナイザン」
■ コースタイム 登り 4時間27分 下り 2時間10分
<登り>
06:50 豊原牧場最終除雪地出発
09:00 833(北)
10:10~25 主稜線C1080付近 休憩
11:17 宇江内山(1187m)頂上
<下り>
11:40 下山開始
12:07~10 C1080
12:33 833(北)
12:53~57 833(南) 休憩
13:50 登山口P
GPSログを元に地形図に移行したルート図です・・・
★ 前哨戦は再び三段山でBC・・・
1月22日、美瑛丸山(1237m)に登る前日にも三段山の登山口となる吹上温泉「白銀荘」
に訪れBCを楽しんでから現地に移動した。
今回も同様にアタックの前哨戦と題して三段山に訪れ3時間ほどBCを楽しんだ。
前日に降った新雪は、3月とは思えないパウダーで20㎝以上あり風も弱く絶好のBC
日和だった。元々山頂まで行く予定も無く妻チーヤンにお勧めのBCルートを楽しんで
もらうのが目的だったので二段目上まで登り、シールを外して元スキー場ルートを滑っ
て来た。正にパフパフのパウダーに感激したのはチーヤンだけではない。スキー場の途
中から登り返して次は樹林帯に入る。ここもノートラックでパフパフ・・・気が付けば
直接白銀荘まで降りてしまった。普通ならこれで終わりなのだが、チーヤンだけもう一
度樹林帯を登り返したいようで、仕方なく付き合い2度目の登り返しとなった。
平日で入山者も少なく、少し遅い出発もコースはそれ程荒れていなかった。二段から上
は、少し風もあったが時間があれば頂上まで登れそうなコンディションだった。
今回は山頂部だけ拝んで下山することにした。
下山後は、お風呂にも入らず次なる目的地へ急ぐ事にした・・・。
通称一段目上から振り返る白銀荘からのルート
前日3月とは思えないパウダーの降雪がありパフパフの滑りが楽しめた・・・
通称、旧スキー場コースの上で今日の記念写真を撮る・・・
★ 前泊は層雲峡駐車場・・・
四季を通じて大雪周辺の山に臨むとき何度も利用させて頂いてる「層雲峡駐車場」。
利用無料で一階(中地下)は、屋根もあり風や雨が避けられるし、夜は蛍光灯が点いてい
るので明るく外には24時間使用出来る水洗トイレと洗面台もある。小さな道の駅とい
う感じで居心地が良い駐車場だ。しかし、この駐車場には良い思い出だけでなく悪夢の
事故もあり、高額な修理代と山行が無駄に終わって帰宅した2007年12月の事も忘
れられない夫婦の思い出になっている場所でもある。
未踏の1000m超峰がある限り、これからも利用するだろう層雲峡駐車場。
感謝と変な愛着と慎重に利用する事を心掛けて今回もここを前泊のホテルハイエースと
して停める事にした。
★ 異様な温泉街・・・
今まさに世界中で蔓延しつつある新型コロナウイルス感染拡大の影響で外国からの観光
客は元より日本人も不要不急の外出を控える要請や濃厚接触、集団感染(クラスター)の
防止対策としても観光ツアーが自粛され温泉街の宿はどこも明かりが消えたままだった。
駐車場の車も少なくこの日車中泊した車は私たちの一台だけだった・・。
幸い名湯「黒岳の湯」は営業していたので入浴したが、貸切と言っていいほど閑散とし
て寂しかった。少しでも明るく・・と言う訳ではないが、湯上りに注文した「生ビール」
で明日の山行の成功を祈念し、夫婦貸切の休憩室で乾杯させて頂いた。
一日も早くコロナ感染が終息し、賑やかな温泉街に戻る事を願うばかりである・・。
ホテルハイエースでは、改めて安着と夕食タイムとしたが、なんとなく寂しさが漂い早
めの就寝となった。
これまでに何度も利用させて頂いた層雲峡温泉の無料駐車場
★ 快晴の登山日和・・・
<3/25>
実は、前日に登山口の偵察は終えていた・・。
心配していた「豊原牧場」内の林道の除雪状況は、なんと最終地点まで除雪されていて
車の走行に支障が無かった。2月に登った岳友ogino氏は、林道出合から除雪されていな
かったので片道約1.5㌔のアルバイトが付加され1時間以上のタイムも加算されたが、
ひと月以上違えばこれだけ状況も変わると言う事なのだろうか・・?
更に快晴・微風で絶好の登山日和は想定しての再来なのだが、余りに良過ぎると何故か
引け目を感じるのはなんだろう?
登山口から意外と近い「摺鉢山」
登山口から朝陽を浴びた大雪山
★ 宇江内山・・・
1/25000地形図の「宇江内山」の読み方は「うえんないざん」となっているが、
文献によっては「うえんないさん」や「うえんないやま」と呼ぶ場合もある。
道北上川町の北部に位置し、上川町と士別市の境界線上にある1200m弱の山である。
稜線上を辿れば西に上川三山の一つ「突角山(1060m)」があり、北東には秀峰「天塩岳
(1558m)」が純白の衣を羽織って優美な姿が印象的だ。
夏道は無く、積雪期に主稜線を辿るルートが一般的と思われるが、地形が複雑で小さな
沢が入り組みルートの選択に悩んでいたところだった。今回のルートは、摺鉢山に登っ
た時に検討はしていたが、その距離と地形がネックになり足が遠のいていた。
しかし、今年2月に同ルートから登った岳友ogino氏のHP「道北ヤブ山日記」の記録に
背中を押され、密かに温めていた計画だった。
ogino氏の 「宇江内山」 は左の山名をクリックして下さい。
2月と3月では同じルートであっても条件は全く違う。それでも自分たちにとって登行
記録は貴重であり、成功への近道なのだ。・・・言い訳の繰り返しになるが、人真似で
登っても同じように登れるとは限らないし、条件が変われば難易度も変わる。達成感も
大事だが何より登頂を優先する事が第一で、独自で選んだルートや方法には拘っていな
い。
★ 紀行・・・
偵察した豊原牧場の林道終点を6:00に出発する予定だった。
層雲峡駐車場からおよそ30㎞、約40分を要するので5:00に出る計画だった。
しかし、5:20の出発で到着したのは6:00だった。前日の偵察時より雪解けが進
み林道はより走り易かった。眩しいほどの太陽と青空が広がり最終除雪地に車を停めて
早々に準備を始めた。遅くても6:30にはスタート出来たはずなのだが・・・
携帯に取り込む地形図のダウンロードが出来ず、操作に時間が掛かってしまった。結局
ダウンロードは出来ないまま、昔のように地図とコンパスを使って6:50の出発にな
ってしまった。
何はともあれ好条件でのスタートが切れてテンションは高い。
摺鉢山を目の前に望みながら広い雪原となった牧場を突き抜けるように進む。ほとんど
ラッセルは無く僅かに沈み込んだトレースを残しで行く・・。
広い広い牧場の雪原を通り抜ける・・・
15分程歩くと牧場の端となり、摺鉢山に繋がる小さな尾根に取付く。緩斜度で比較的
疎林帯なので登り易く30~40mも登れば尾根上に達する。ウエンナイ支流沢と擂鉢
沢に挟まれた顕著な尾根を辿り摺鉢山の波状に広がる南西尾根が最初の目標にしていた。
問題無く順調に登っている途中で、再びGPS機能のログを別のアプリで取り込む事に
成功してようやく現在地が携帯で確認できるようになりホッとする。
この先がこの山行の核心部だったので、GPS復活は心強かった。
★ 核心部・・・
摺鉢山の南西尾根をC820付近まで登り、西斜面をトラバースしながら北斜面の833
(南)標高点までが次の目標でこの山行の核心部となったところだ。頂上直下の西斜面は急
斜面で小さな沢筋が何本か入り組み簡単にはトラバース出来ない。なので沢の源頭部近く
までトラバースラインを上げながら、沢への高低差が少ない場所を選ぶのに苦労した。
雪面の下がカリカリのところもあり何度かスキーがずり落ちてヒヤリとした。最終的には
850mラインをトラバースして核心部を脱し833に着く事が出来た。
振り返る摺鉢山の北斜面も半端なく急でスキーで登れるレベルではなく下りもトレースを
辿ってトラバースする事にした。
主稜線上C1080付近から望む摺鉢山・・・写真右側の斜面をトラバースしてきた
主稜線1098付近から望む、摺鉢山(1026m)と大雪山
南の833~すぐ北にある833の間には小さな尾根が一本ありアップダウン地形とな
る。ここから主稜線上の1098を目標に広い南尾根を辿れば、山行の8割が終えたと
言えよう。しかし、稜線までの標高差は200m以上ありジグを切りながらゆっくりと
登った。雪質は軽いモナカ状だが、疎林帯なので下りのスキーはそれなりに楽しめそう
だった。でもその後の登り返しを考えるとシールは外さずに下る事になるだろう。
北の833から主稜線C1080までの登りに約1時間ほど要したが、時々振り返り見
る摺鉢山と大雪の絶景に疲れを飛ばす元気をもらって頑張る事が出来た。
C1080でゆっくり休憩し、頂上までの約2㎞は1時間と掛からずに登頂する事が出
来た。
先日の南の天幕山に続く道北の2座を制し、大満足で下山が出来そうだ!
頂上直下の広い稜線上にて・・・登り返しが無ければスキーが楽しめそうな斜面だった
たまには被写体の私・・・
2020年3月25日 初登頂「宇江内山(1187m)」にて 背景は天塩岳
頂上から望む天塩岳1558mも稜線で繋がっているから山中泊でと臨みたいところだが・・・
本峰よりも高い、形の良い北峰に行かなくてはと心誘われるが、往復3~40分を掛ける気力が無かった・・
初登頂で気力・体力燃え尽き、北峰には行かなかった・・・
★ 下り・・・
360度の眺望を楽しむが、いつもの山頂コーラは買うのを忘れていた。
大きな地形図があれば山座同定も楽しめたのに、天塩岳と摺鉢山以外は分からないまま
下山となった。帰宅してから改めて地形図を広げ天塩岳の左奥に「馬背山1198m」が見
えていたかも知れないし、西稜線上の「突角山1060m」は意外に近くにあるのに探す事
もしなかった。そして、上川三山の最後に「天幕山1052m」はどこだろう?・・・と南
の山に目を転じてもまったく分からないからすぐに諦めている自分だ。
何かが違う・・・とは思うが、苦労して未踏峰を制すれば制するほど他の山の事を考え
る余裕など更々なかったのかも知れない。初登頂した感動と同様にそこからの眺望は登
った者だけが味わえる特権だ。そして、二度と訪れる事も無いだろうマイナーな頂きも
短い滞在ですぐに過去になるから面白い。登ったら降りる山登りの基本セオリーに従っ
て下山すると残して来たトレースを追い掛けるように無心で下山していた。
シールは最後まで着けたままだが、下り場面ではそこそこ楽しめるからスキー登行が止
められない。
登りの核心部だった西斜面のトラバースも下りの事を考えて下り気味のトレースを付け
たから苦労しなかったし、沢の渡渉も楽だった。核心部を過ぎて摺鉢山の南西尾根に乗
った時は、これで帰れると確信し緊張感から解き放されて安堵した。山行中で一番好き
な場面がこの時なのかも知れないと気付く。
実力も技術も無い私たちが、とんでもない目標を夢にしたことで結果的にハードな山行
を強いられ精魂尽きた闇夜の下山も今は思い出としてファイルされている。
安全登山に徹し「無理は禁物」「ダメなら下山」の方針でのんびりとでも確実に一つ一
つクリアしていければ、いつかゴールは見えて来るものと信じている。
今シーズン4座目の未踏1000m超峰も忘れられない良き山行だった。
帰路では、いつもの当麻町の温泉「当麻ヘルシーシャトー」で汗を流し、軽く食事も取
って19時、無事帰宅した。
何と言っても下りは早く、核心部を過ぎた時ホッと安堵してようやく充実感に浸りながら歩く事が出来た
※ 3/28 アップを終了しました・・。
侮れない道北の一座 宇江内山(うえんないざん)(1187m)
■ 山 行 日 2020年3月24日(火)~25日(水)
(前泊で山行は日帰り)
■ ル ー ト 豊原牧場~南尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №12&№13
■ 登 山 形 態 山スキー
■ 地 形 図 1/25000地形図 「宇江内山」「上川」
■ 三角点・点名 三等三角点 点名「宇江内山 ウエンナイザン」
■ コースタイム 登り 4時間27分 下り 2時間10分
<登り>
06:50 豊原牧場最終除雪地出発
09:00 833(北)
10:10~25 主稜線C1080付近 休憩
11:17 宇江内山(1187m)頂上
<下り>
11:40 下山開始
12:07~10 C1080
12:33 833(北)
12:53~57 833(南) 休憩
13:50 登山口P
GPSログを元に地形図に移行したルート図です・・・
★ 前哨戦は再び三段山でBC・・・
1月22日、美瑛丸山(1237m)に登る前日にも三段山の登山口となる吹上温泉「白銀荘」
に訪れBCを楽しんでから現地に移動した。
今回も同様にアタックの前哨戦と題して三段山に訪れ3時間ほどBCを楽しんだ。
前日に降った新雪は、3月とは思えないパウダーで20㎝以上あり風も弱く絶好のBC
日和だった。元々山頂まで行く予定も無く妻チーヤンにお勧めのBCルートを楽しんで
もらうのが目的だったので二段目上まで登り、シールを外して元スキー場ルートを滑っ
て来た。正にパフパフのパウダーに感激したのはチーヤンだけではない。スキー場の途
中から登り返して次は樹林帯に入る。ここもノートラックでパフパフ・・・気が付けば
直接白銀荘まで降りてしまった。普通ならこれで終わりなのだが、チーヤンだけもう一
度樹林帯を登り返したいようで、仕方なく付き合い2度目の登り返しとなった。
平日で入山者も少なく、少し遅い出発もコースはそれ程荒れていなかった。二段から上
は、少し風もあったが時間があれば頂上まで登れそうなコンディションだった。
今回は山頂部だけ拝んで下山することにした。
下山後は、お風呂にも入らず次なる目的地へ急ぐ事にした・・・。
通称一段目上から振り返る白銀荘からのルート
前日3月とは思えないパウダーの降雪がありパフパフの滑りが楽しめた・・・
通称、旧スキー場コースの上で今日の記念写真を撮る・・・
★ 前泊は層雲峡駐車場・・・
四季を通じて大雪周辺の山に臨むとき何度も利用させて頂いてる「層雲峡駐車場」。
利用無料で一階(中地下)は、屋根もあり風や雨が避けられるし、夜は蛍光灯が点いてい
るので明るく外には24時間使用出来る水洗トイレと洗面台もある。小さな道の駅とい
う感じで居心地が良い駐車場だ。しかし、この駐車場には良い思い出だけでなく悪夢の
事故もあり、高額な修理代と山行が無駄に終わって帰宅した2007年12月の事も忘
れられない夫婦の思い出になっている場所でもある。
未踏の1000m超峰がある限り、これからも利用するだろう層雲峡駐車場。
感謝と変な愛着と慎重に利用する事を心掛けて今回もここを前泊のホテルハイエースと
して停める事にした。
★ 異様な温泉街・・・
今まさに世界中で蔓延しつつある新型コロナウイルス感染拡大の影響で外国からの観光
客は元より日本人も不要不急の外出を控える要請や濃厚接触、集団感染(クラスター)の
防止対策としても観光ツアーが自粛され温泉街の宿はどこも明かりが消えたままだった。
駐車場の車も少なくこの日車中泊した車は私たちの一台だけだった・・。
幸い名湯「黒岳の湯」は営業していたので入浴したが、貸切と言っていいほど閑散とし
て寂しかった。少しでも明るく・・と言う訳ではないが、湯上りに注文した「生ビール」
で明日の山行の成功を祈念し、夫婦貸切の休憩室で乾杯させて頂いた。
一日も早くコロナ感染が終息し、賑やかな温泉街に戻る事を願うばかりである・・。
ホテルハイエースでは、改めて安着と夕食タイムとしたが、なんとなく寂しさが漂い早
めの就寝となった。
これまでに何度も利用させて頂いた層雲峡温泉の無料駐車場
★ 快晴の登山日和・・・
<3/25>
実は、前日に登山口の偵察は終えていた・・。
心配していた「豊原牧場」内の林道の除雪状況は、なんと最終地点まで除雪されていて
車の走行に支障が無かった。2月に登った岳友ogino氏は、林道出合から除雪されていな
かったので片道約1.5㌔のアルバイトが付加され1時間以上のタイムも加算されたが、
ひと月以上違えばこれだけ状況も変わると言う事なのだろうか・・?
更に快晴・微風で絶好の登山日和は想定しての再来なのだが、余りに良過ぎると何故か
引け目を感じるのはなんだろう?
登山口から意外と近い「摺鉢山」
登山口から朝陽を浴びた大雪山
★ 宇江内山・・・
1/25000地形図の「宇江内山」の読み方は「うえんないざん」となっているが、
文献によっては「うえんないさん」や「うえんないやま」と呼ぶ場合もある。
道北上川町の北部に位置し、上川町と士別市の境界線上にある1200m弱の山である。
稜線上を辿れば西に上川三山の一つ「突角山(1060m)」があり、北東には秀峰「天塩岳
(1558m)」が純白の衣を羽織って優美な姿が印象的だ。
夏道は無く、積雪期に主稜線を辿るルートが一般的と思われるが、地形が複雑で小さな
沢が入り組みルートの選択に悩んでいたところだった。今回のルートは、摺鉢山に登っ
た時に検討はしていたが、その距離と地形がネックになり足が遠のいていた。
しかし、今年2月に同ルートから登った岳友ogino氏のHP「道北ヤブ山日記」の記録に
背中を押され、密かに温めていた計画だった。
ogino氏の 「宇江内山」 は左の山名をクリックして下さい。
2月と3月では同じルートであっても条件は全く違う。それでも自分たちにとって登行
記録は貴重であり、成功への近道なのだ。・・・言い訳の繰り返しになるが、人真似で
登っても同じように登れるとは限らないし、条件が変われば難易度も変わる。達成感も
大事だが何より登頂を優先する事が第一で、独自で選んだルートや方法には拘っていな
い。
★ 紀行・・・
偵察した豊原牧場の林道終点を6:00に出発する予定だった。
層雲峡駐車場からおよそ30㎞、約40分を要するので5:00に出る計画だった。
しかし、5:20の出発で到着したのは6:00だった。前日の偵察時より雪解けが進
み林道はより走り易かった。眩しいほどの太陽と青空が広がり最終除雪地に車を停めて
早々に準備を始めた。遅くても6:30にはスタート出来たはずなのだが・・・
携帯に取り込む地形図のダウンロードが出来ず、操作に時間が掛かってしまった。結局
ダウンロードは出来ないまま、昔のように地図とコンパスを使って6:50の出発にな
ってしまった。
何はともあれ好条件でのスタートが切れてテンションは高い。
摺鉢山を目の前に望みながら広い雪原となった牧場を突き抜けるように進む。ほとんど
ラッセルは無く僅かに沈み込んだトレースを残しで行く・・。
広い広い牧場の雪原を通り抜ける・・・
15分程歩くと牧場の端となり、摺鉢山に繋がる小さな尾根に取付く。緩斜度で比較的
疎林帯なので登り易く30~40mも登れば尾根上に達する。ウエンナイ支流沢と擂鉢
沢に挟まれた顕著な尾根を辿り摺鉢山の波状に広がる南西尾根が最初の目標にしていた。
問題無く順調に登っている途中で、再びGPS機能のログを別のアプリで取り込む事に
成功してようやく現在地が携帯で確認できるようになりホッとする。
この先がこの山行の核心部だったので、GPS復活は心強かった。
★ 核心部・・・
摺鉢山の南西尾根をC820付近まで登り、西斜面をトラバースしながら北斜面の833
(南)標高点までが次の目標でこの山行の核心部となったところだ。頂上直下の西斜面は急
斜面で小さな沢筋が何本か入り組み簡単にはトラバース出来ない。なので沢の源頭部近く
までトラバースラインを上げながら、沢への高低差が少ない場所を選ぶのに苦労した。
雪面の下がカリカリのところもあり何度かスキーがずり落ちてヒヤリとした。最終的には
850mラインをトラバースして核心部を脱し833に着く事が出来た。
振り返る摺鉢山の北斜面も半端なく急でスキーで登れるレベルではなく下りもトレースを
辿ってトラバースする事にした。
主稜線上C1080付近から望む摺鉢山・・・写真右側の斜面をトラバースしてきた
主稜線1098付近から望む、摺鉢山(1026m)と大雪山
南の833~すぐ北にある833の間には小さな尾根が一本ありアップダウン地形とな
る。ここから主稜線上の1098を目標に広い南尾根を辿れば、山行の8割が終えたと
言えよう。しかし、稜線までの標高差は200m以上ありジグを切りながらゆっくりと
登った。雪質は軽いモナカ状だが、疎林帯なので下りのスキーはそれなりに楽しめそう
だった。でもその後の登り返しを考えるとシールは外さずに下る事になるだろう。
北の833から主稜線C1080までの登りに約1時間ほど要したが、時々振り返り見
る摺鉢山と大雪の絶景に疲れを飛ばす元気をもらって頑張る事が出来た。
C1080でゆっくり休憩し、頂上までの約2㎞は1時間と掛からずに登頂する事が出
来た。
先日の南の天幕山に続く道北の2座を制し、大満足で下山が出来そうだ!
頂上直下の広い稜線上にて・・・登り返しが無ければスキーが楽しめそうな斜面だった
たまには被写体の私・・・
2020年3月25日 初登頂「宇江内山(1187m)」にて 背景は天塩岳
頂上から望む天塩岳1558mも稜線で繋がっているから山中泊でと臨みたいところだが・・・
本峰よりも高い、形の良い北峰に行かなくてはと心誘われるが、往復3~40分を掛ける気力が無かった・・
初登頂で気力・体力燃え尽き、北峰には行かなかった・・・
★ 下り・・・
360度の眺望を楽しむが、いつもの山頂コーラは買うのを忘れていた。
大きな地形図があれば山座同定も楽しめたのに、天塩岳と摺鉢山以外は分からないまま
下山となった。帰宅してから改めて地形図を広げ天塩岳の左奥に「馬背山1198m」が見
えていたかも知れないし、西稜線上の「突角山1060m」は意外に近くにあるのに探す事
もしなかった。そして、上川三山の最後に「天幕山1052m」はどこだろう?・・・と南
の山に目を転じてもまったく分からないからすぐに諦めている自分だ。
何かが違う・・・とは思うが、苦労して未踏峰を制すれば制するほど他の山の事を考え
る余裕など更々なかったのかも知れない。初登頂した感動と同様にそこからの眺望は登
った者だけが味わえる特権だ。そして、二度と訪れる事も無いだろうマイナーな頂きも
短い滞在ですぐに過去になるから面白い。登ったら降りる山登りの基本セオリーに従っ
て下山すると残して来たトレースを追い掛けるように無心で下山していた。
シールは最後まで着けたままだが、下り場面ではそこそこ楽しめるからスキー登行が止
められない。
登りの核心部だった西斜面のトラバースも下りの事を考えて下り気味のトレースを付け
たから苦労しなかったし、沢の渡渉も楽だった。核心部を過ぎて摺鉢山の南西尾根に乗
った時は、これで帰れると確信し緊張感から解き放されて安堵した。山行中で一番好き
な場面がこの時なのかも知れないと気付く。
実力も技術も無い私たちが、とんでもない目標を夢にしたことで結果的にハードな山行
を強いられ精魂尽きた闇夜の下山も今は思い出としてファイルされている。
安全登山に徹し「無理は禁物」「ダメなら下山」の方針でのんびりとでも確実に一つ一
つクリアしていければ、いつかゴールは見えて来るものと信じている。
今シーズン4座目の未踏1000m超峰も忘れられない良き山行だった。
帰路では、いつもの当麻町の温泉「当麻ヘルシーシャトー」で汗を流し、軽く食事も取
って19時、無事帰宅した。
何と言っても下りは早く、核心部を過ぎた時ホッと安堵してようやく充実感に浸りながら歩く事が出来た
※ 3/28 アップを終了しました・・。